2018年02月16日

柳家三三月例会 イイノホール

三三独演会 イイノホール月例会。
開口一番は「高砂や」。
市馬師匠のが面白かったし
声が良すぎたせいで印象が濃いんです。
三三もよかった。
市馬師匠より軽妙。
でも大工の主人公だから
これでいいと思います。

続けて「幇間腹」。
若旦那の道楽、鍼の実験台にされた
選ばれた幇間の一八。
いやいや付き合う一八の幇間らしさが
出ていました。
ただ、そんな大した噺ではないですね。
演技力は必要な噺ですよ。

中入り。

正太郎の「四段目」。
いい声だけど歌舞伎の真似のところは
睡魔に勝てなかった。

三三、「品川心中」。
うーむ。うまかった。三三だから聴けた。
ストーリー展開や人物造形がしっかりしていて
ああそういう噺なんだとよく理解できました。
初めて聴いたのです、実は。
でも、噺自体が好きじゃない。
だっていくら苦労しているかは知らないけど
トウのたったお女郎が金なくて将来の展望がなくて
適当に心中する相手を選んで
結局金ヅル出てきたから死ぬのヤーメタって
最悪ですよね。
おまけに選ばれた相手を突き落としておいてって。
おまけにその男も情けなさの極み君で。
噺として好きじゃない。
やな感じ。

今回のは三三の追っ掛けとしては
会えて聴けてよかった、でも
噺はどれもお気に入りができなかった、
ということですね。
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2018年02月12日

中村文則「去年の冬、君と別れ」(幻冬舎文庫)

今日は小ねこの1日遅れお誕生会。
雅叙園のバイキングでランチです。
わざわざ南北線はるか遠くの目黒駅まで。
それはそれは高級感あふれる場所で
ランチもどれも美味しく、満足でした。
にしても、目黒駅前は田端駅風、
アトレ以外商店街らしきものもなくて
中継地的便利だけど味わいは少ない場所かなぁ。
まあ雅叙園があってホリプロがあるからな。
都会ですよ。
ついでに寄ったのはアトレのニトリ。
時計激安で壁掛けと目覚まし両方買いました。

その行き帰りに読み終えたんですが
まあ後味悪いこと。
映画化して話題ですが
伏線につぐ伏線で衒学的に読み手を惑わし
犯人と思われる写真家が実は無実で
その事件の顛末や写真家の人生をルポするライターが
二人いて、
その片方が実はーーという手の込んだ話。
猟奇性満載、妖しさ満載、
けれど献辞兼物語エピローグの重要な要素の
イニシャルが「この本全体がフィクションで仮名だから」
という物語内の理屈で意味不明の本名イニシャルって
これはいただけません。
勝手な理屈だなあ。
散散読み手を翻弄しておいて
本名は違うのよ、知らなかった?と
気付けない読者を小馬鹿にされたようで
後味悪いっていうわけです。

話そのものは、グイグイ引き込まれます。
けれど結局私小説っぽいんだよね。
伊坂さんの伏線は気持ち良いのに
なんかちょっとな、ってなります。

映画は違う展開らしいですが
あまり興味はもてません。
もう一作作者の作品を買ったので
そこで私なりの評価を決定したいと思います。
前に読んだ本もうまいけど確か
好きになれずに終わってしまったはず。
才能は買いますが、好みではない
というあたりでしょうか。
posted by 大ねこ at 19:56| Comment(0) | 読書の記録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年02月11日

映画 羊の木

久々に家族3人で浦和に出向き
互いに見たい!と思った映画を観ました。

パルコ内にある新宿中村屋の夕食。
やはり老舗の味は上品で美味しく
間違いがない。

その後パルコ内のユナイテッドシネマにて鑑賞。

吉田大八さんの絵の撮り方は
昔の映画のようで安心、というか
懐かしい回し方で好感が持てます。
前科者を受け入れて過疎化する町の活性化、
というこの大前提がなかなか無理やりな
気もしましたけど、なくはないかと納得させ
観ていくうちにグイグイ引き込まれます。
前科者たちのそれぞれの更生、あるいは様子伺いの
日々が人間としての狭い先入観に
喝を入れてくれる気もしました。
主人公の市役所役人の月末一が
純朴で淡々としているのも
まあ役人ならあるか、と感じるものの
扮する錦戸亮さんの演技力が
もう少しあれば、受け入れる気持ちと
恐れからくる受け入れがたい気持ちの両面が
深く表せたのでは、と惜しまれます。

松田龍平さん演じる前科者の表現は
素晴らしい。この映画の魅力のほとんどは
彼の狂気と深い哀しみに溢れた
演技に寄っていたと思います。
お父さんを超えましたよ。

だからこそエンディングの町のシンボルと
龍平さん錦戸さんのシーンはなくていい。
あれは蛇足。
マンガ原作だからって、あまりにマンガ的。
あのシーンはシンボルの首がーーで
暗転して欲しかった。
伏線は確かに張っていましたが、
だからこそ不要なシーンだと思う。
二人の彼女だった木村文乃に
二人のどちらかの名前を呼ばせて
ラストシーンにいけばよかった。

前科者の一人を追う恨みを持った男が
先年末に亡くなった深水三章さんですが
彼は私の遠縁にあたります。
キッドブラザーズ時代から見ていました。
彼らしい死に方で亡くなったんですが、
まさかこの遺作映画で殺され役だったとは、
まさに神のようなものがあるかと。
ちょっとこの映画だけに
暗示のようなものさえ感じました。
良い演技で納得です。
合掌。

最後に、
エンドロールの出し方が斬新でとてもよかった。
夕日のメタファーです。
沈むもの、しかし美しい。
沈む、しかしまた明日昇る。
こういうのが映画。
映画館で見なきゃダメです。

点数的には80点。
映画らしさの点では90点。
主演ありきの企画だとは思うけど、
主演が違ったらずいぶん変わりますね。
例えば妻夫木聡さんだったらーー。

いやいや、失言はここまで。
楽しかったです。
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2018年02月10日

北村薫「太宰治の辞書」(創元推理文庫)

落語家円紫さんと私シリーズの
とりあえず最終章か。
落語家、太宰治、というところで
惹かれて久々の北村薫さんです。

私、は結婚して野球少年の母になり
みさき書房という出版社に勤める編集者に
なっていました。
芥川の舞踏会に出てくるピエールロチの
「お菊さん」を芥川は「お菊夫人」と表記、
その謎を追って様々な諸本にあたり
様々な人に出会う。
そこでロココ、の言葉に引っかかり
太宰治の「女生徒」の料理がロココ風につながる。
ロココを辞書で調べたら独特な解説が本文にある。
そもそもこの「女生徒」は彼のファンが送ってきた
日記を換骨奪胎したもの。
その日記には辞書のことがない、としたら
その辞書は太宰治の所有物であろうということで
探索が始まるわけです。
ロココ風といえば、次は三島な訳で
全く私が大学時代にどハマりした系譜そのまま。
そのあたりの文献を丁寧に探っていく経過は
さながら本の探偵という様相で
自分もかつて卒論の頃していたような
探っては次の謎、探っては闇の中、
数珠繋ぎの連鎖で諦めるまで終わりがない
面白くも答えのない探索を「私」がしてくれるのです。
そりゃあ面白かった。
円紫さんはほんのちょっとだけ出て来ます。
真打で売れっ子になっていました。
鈴本のトリに出てる設定が今の私とまたかぶる。

とまあ、内容的には事件が起きるわけではないし
小説好きでなければ何も面白くない展開。
私は、久しぶりに小説探訪という視点で堪能しました。

太宰治の「生まれてすみません」が
彼のオリジナルではないどころか
その作者寺内寿太郎という無名の詩人が
悔しがっていた事実も併せながら
決して太宰治の行動を否定せず
作家の性だと認めつつ寺内を大切にする
文章を書いています。
そうした北村薫さんの否定せず肯定せずの
ほんのり柔らかい文体が
読むものに心地よさを与えます。
私、という一人称を用いながらも
極めて客観性を保つ抑制の効いた文章、
手練れだなあと感心して
気持ちよく読み終えました。
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2018年02月02日

岡本哲志「銀座を歩く」(講談社文庫)

都市形成史学、という分野の仕事が
あるのですね。筆者の仕事。
「ブラタモリ」にもよく出演なさっているとのこと。

銀座が好きで結構ぶらついていますが
本書によるところの路地の多さには
今ひとつ気付いていませんでした。
江戸の頃からの区画から
必然的に生まれた小道だそうで。

地図も豊富、ですが
わかりやすいとは言いがたい本でした。
しかし、面白かった。
ガス灯がある場所
路地がビル内に吸収された場所
など気付いてない事実を知りました。
晴海通りが好きになれない理由も納得。
道幅が広すぎるんですな。
銀座通りが心地よいのは
桟敷席の部分があるからか。
5丁目から7丁目あたりが好みなわけも
金春通り等花街だったからだと。
潜在的に好き嫌いで分けていた土地は
実は歴史的遷移によるものだったかと
ちょっと驚く。

ビルの解説や区画の話題は理解できませんが
また銀座路地巡りしようと決めました。
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2018年01月31日

柳家三三独演会 初春 練馬文化センター

三三独演会 練馬文化センター。
交通の便がよく、好きな場所。

開演前に届いた高校時代の仲間からのラインは
恩師の突然の死去の訃報でした。
体育の教師で高校生の私たちに
自由と責任をしっかり教えてくれた
私の教師としての鑑でもある方です。
数年前囲む会でお会いした時
本当にお元気で70を越した方には見えない
若々しい姿でした。
年賀状のやり取りも続いていて
この正月にもご自分の趣味の写真を
アップしてのお便りが届いていたのです。
ただ、なんだか淋しい写真だったし
なんのコメントも記されていないことに
一抹の不安はありました。
ラインには突然のご逝去だったように
書かれていたので
苦しまず召されたのならよいのに、と
今は残念な気持ちをなくすのにいっぱいです。

でも三三師匠。
笑わせてください。

そんな気持ちで座席で待ちました。
今日の副題は「初春」。
もうすぐ節分。
今日の子供達は自分たちで決めた集会で
節分に関する遊びを考え楽しみました。
立春。東京にも雪が降り寒すぎる毎日ですが
確実に春は来る。
そう願う今にふさわしいタイトルです。

前座 さん喬師匠門下の次回真打昇進決定のさん若。
うまい。「水屋の富」。
切ない水屋の表現がよかった。
しかし理不尽な噺。
身の丈に合わないことはしないという戒めか。
また聴いてみたい噺家さん。
覚えておきます。

三三。孝行息子の「薮入り」。
親の愛情、親への愛情満載。
何てあったかい噺だろう。
いろいろ調べてみるといわくのある噺っぽいけど
三三はストレートにいい夫婦と親思いの息子の
帰還に特化しました。それが嬉しかった。
まっすぐな職人の親父と
そんな亭主を御しつつ子を思う
温かい母であるおかみさん。
それを理解している頑張る息子。
気持ちよかった。

中入り。

次が、「元犬」。
戌年にちなんだね。
爆笑ネタ。可愛いんだシロ。
その後すぐ「崇徳院」。
金持ち同士の恋煩いと儲け狙いの庶民の落差が
楽しい罪のないネタでスッキリ終わる。

本当にどんどん上手くなる三三。
仕事含めいろいろあった1日でしたが
浄化してもらいました。

そうそう、ついでに見た帰り道の夜空に
皆既月食。
もう三日月状態でした。
真冬の空の天体ショーも大成功のようでした。
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2018年01月26日

河合莞爾「粗忽長屋の殺人」(光文社文庫)

短命の理由
ご存知短命を元にした遊女の悲哀

寝床の秘密
これも義太夫狂いのご主人の寝床より。
相模屋の旦那が下手な義太夫を唸るのには
大きな隠し事があった。
華岡青洲が出ちゃう話。

粗忽長屋の殺人
粗忽長屋と粗忽の使者をリンクさせた逸品。
熊五郎がただのおっちょこちょいではない。
実は間違えるだけの理由が隠されていたという。
へえ。

ラストが高尾太夫は三度死ぬ
紺屋高尾、千早振る、反魂香のミックス。
高尾は妹がいてその名が神代太夫って
いいんじゃない。

全てスッキリ終わるハッピーエンド。
構成そのものが落語。
落語家に語らせたい。
いい出来ですね。

河合莞爾さんって全く知らない。
でwiki見てみた。
生年月日不詳だって。
編集者でもあるらしい。
別にいつも落語もの書いているわけでもなさそう。
談志が好きなんだと。
ムムム。
だから解説は談四楼なんだな。
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2018年01月25日

沢田研二 50周年記念LIVE NHKホール

東京にも20センチの雪が降り、
交通機関が止まって
学校に行くのに45分のところ
2時間弱かかるハメになりました。
雪に弱い街であり私であります。

その日から3日経ちますジュリーに会えました。

今回は50周年記念でシングル盤ばかりの
コンサート。
50曲やるってことでフルサイズは無理で
オール一番のみ。
それでもどの曲も懐かしくかっこよく
体型が変わり顔は老いても声は昔のまま。
多少高い音域に無理は感じましたけど
情感のある独特のあの声は健在。

あなたにワインをふりかけ、からの
大ヒットもそうでない曲も全て
等価に扱う姿勢が好ましい。
楽しそうに舞台を駆け回る69歳が
当時のイケメンではなく自らジジイと呼ぶ
オヤジがなんとも色っぽい。
うまいんです。ホントに。

多分、あのイケメン時代に別れを告げて
自由になりたくてあえて体型維持をしなかった
と、私は思うのです。
声だけで本気で勝負したい、思い、
わかる気がします。

アンコール前の長々しい自分を語るコーナーで
さらに自由になる宣言。
歌が好き、そこだけで評価してくれるファンを
僕は大切にして行く宣言。
ええ、ついていきますよ。

ファンも熱かった。
そしてNHKホールの音が良すぎて。

5時開演ってことで休暇取ること余儀なく
でしたけど、価値はありました。

勝手にしやがれ、六番目のユウウツ、等々
嬉しかったですが
カサブランカダンディがなかったのは
寂しかったかな。
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2018年01月19日

井上ひさし「一分ノ一 下」(講談社文庫)

驚きの事実、
本書は未完だった。
だんだんペースアップして
膨大な情報と濃密な出来事の面白さが
肌に合ってきて、いよいよ大団円か、と
手にとって、未完と知り
正直ショックは隠せなかった。

バブルが弾けたと同時に飽きちゃったのか
膨大過ぎて収拾不能と判断したか
ほかの仕事が多すぎて手が回らなかったか
多分最後の理由だとは思いますが
残念。

サブーシャは、逃げ回り
東勝は追いかける。

一分ノ一、とは
身の丈に合う生き方せよとの警鐘だと思う。
書かれた時がバブルですから。
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柳家三三 月例会イイノホール

三三月例会、イイノホール。
交通の便もいいし、何より三三専門の会。
もっと参加したいけど人気ですから、
チケット自体ボヤボヤしてると取れない。
今年は出来るだけ頑張るぞ。

「湯屋番」
正月初席で聴いたもののロングバージョン。
立て板に水の勢いで居候若旦那を演じる。
三三は色男系や後家さんがぴったりします。

「天災」
気短な八五郎に諭しを入れる紅屋の先生、紅羅坊。
こちらの名演に対して野蛮でまっすぐな
八五郎の造形に少し無理があるような。
キャラクターの問題で
三三は乱暴者を演るには声が良いし、高い。
言葉上のガラッパチぶりはうまいんだけど
凄みとか愚かしさがちょっと違うかな、と
感じながら聴いていました。
だったら似たような噺での(真似っこする意味で)
「青菜」の方が合っていました。

中入り。

柳亭市弥「金明竹」
発声がもう少し明瞭だといいな。

ラストはトリネタでよく聴く「安兵衛道場破り」
これはこれでハマリネタ。
人は良いけどちょっとお金に目が眩んだ
宿屋越後屋の亭主が好きだな。
もちろん主人公の安兵衛自身も
豪放磊落で無頓着で酒好きで
好きなキャラクター。
こうした武士や町人はうまいんだ、三三。

普段喋る仕事なので
無条件に身を委ねて聴ける喋りが
好きなんだと最近気付きました。
その中で声、表情、間合い、
ちょっぴりの皮肉や冷徹さがある毒性、
テンポ等々、全て好きな条件にはまるのが
三三なんだな、と気付いた本日でした。

次は月末、また聴きに行きます。
あー、癒された。
posted by 大ねこ at 21:39| Comment(0) | 音楽・映画・芝居などの鑑賞 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする