2016年07月27日

相模原殺人事件から思うこと。

「異邦人」でムルソーは
「太陽が眩しかったから」といって殺人をした。
サカキバラ君は
ゲームの感覚で殺人をした。
ミヤザキ君は
性の問題で殺人をした。
アキハバラも池田小もさまざま想起させられる。
どれも身勝手だ。
そしてどの加害者にも共通して
哀しい生育歴があった。

今回相模原の障碍者施設での大量殺人事件は
これらに似ているが、違う。
どこか違和感が残る。
生育歴の問題はきっとある。
しかしそれ以上にかなりのモンスター。
その根幹には変身願望があったと思う。
人間からモンスターへ。
(ああ、浦沢さん、あんたは天才だ)

私がふと想起したのは実は
三島由紀夫の割腹自殺だった。

10代後半から22歳まで
私は確実に奴の文章の虜になっていた。
酔わされる文体、あまりにも小説的な内容。
そこにやがて付随してくる国粋主義観。
卒論に選んだ私は
ザインとゾルレンの狭間で現実を見失っていく
愚かな男を論じた。
それを称して題名に「硝子細工」の言葉を配した。
彼の人生は硝子細工でしかなかった。
庇護され閉じ込められ頭脳だけが肥大し
生身の人間が味わうべき生理を知らず、
言語の中で育った。
それに甘んじておけばよかったのに。
肉体改造に走り変身願望が満たされ
(仮面ライダーになれると思ったか)
(この改造は一種の自傷行為でしょう)
これ以上改造できないならばと
それを自ら割った。
愚かな男だ。
文学者に甘んじておけば天才だったのに。

今回の事件の加害者は
半端でない刺青をしているらしい。
これは自傷行為と同じだ。
親が先生で自分も刺青の体で教育実習に行った。
刺青のせいで教師にはなれないと知った?
そんなの初めからわかっていることでしょう。
すなわち最初から冗談なんですよ、生き方が。
はじめから投げている。
自分の何か限界を見ぬいたうえで
でも尊大な自己愛があって
腹を切る勇気の代わりに
「世界平和」という便利な言葉で美化して
正当化していく。

非常にミシマ的人物。
革命を起こせるわけがないことなんか
知っているのに。
ただただ変身したくて。

いっそザムザのように
毒虫に「変身」してしまえばよかったのに。

それで革命したつもりでしょうが
(ISの場合は「神」が絡んでくるから厄介)
(あと、集団と個の違いも大きい)
あなたに殺された19人の方々の人生返せたら
本当の革命なんだよ。
できないだろ。
いのちは戻らないんだよ。

つらかった。痛かった。哀しかった。
大事ないのちと家族の方々が
気の毒でならないし
支えてきたその施設の方々のやりきれなさは
想像を絶する。

学校にいて特別支援といわれる子どもたちを
目の当たりにしているが
本当に輝ける人生を送らせてあげたい、と願う。
自閉症の彼は素晴らしい記憶力を持ち
言葉の遅れのある彼はとても温かい。
ダウン症の彼は絵が上手い。
関わり方がうまくないし自己表現ができない
その苦しみをもっている人々が
共生できていないこの国のあり方を問うのが
革命なんだよ。

なんだか
また
哀しくなってきた。
たくさんの奇妙な小説に熱中してきた私は
だからこそその奇妙さを
人を愛する方向にむけたい。
いろんな障碍者がいる。
みんなどこか障碍者。
人は障碍者だらけだと思えば
支えあえるんじゃないのか。
自分だけがまともなんて思うなよ。

あんな死に方をしなければ、多分
奇妙なオッサンとして三島は好きなままだった
と思う。
そういうことだよ。
posted by 大ねこ at 20:48| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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