2016年12月11日

江戸川乱歩「明智小五郎事件簿2」(集英社文庫)

本書は、中編2編収録。
「一寸法師」
「何者」〔朝井リョウのとは違う〕
まず「一寸法師」は今なら発禁もの。
つかってはいけない言葉のオンパレード。
小人症であろう犯人への差別感満載。
極悪人として生きざるを得ない状況説明は
もちろん描かれているけど、根本的に差別。
不具者としての仕方なさ以上に
人としてダメっていう猛烈な差別。
1925年ごろだから大正の頽廃や軍事色これからの
時代背景で、猟奇を好む人々も多かったんでしょう。
推理ものとしての面白さより
そっちの妖しさで読ませるお話でした。

「何者」の方は有名にならないだけで
私も解説者も絶賛に値するお話でした。
本格推理ものです。
当時の世相が、こうした真面目な推理ものを
要求していなかったとしか思えない。
クオリティは高い。
被害者が犯人探しの探偵役、
犯人が分かった後のどんでん返し、
明智小五郎不在かと思いきや
思いがけない人間に変装、
足跡トリックの妙、
何者とは、犯人・語り手・明智、全てを指す。
凝ってました。
しかも動機の一つが徴兵逃れって、
時代背景だと思います。
その辺り全て緻密に計算されていて
なかなかの小説でした。
しかし、結局乱歩はこの道でなく
猟奇方面〔本人いわく、自分の体臭のする〕の
作品で有名になっていくようです。
posted by 大ねこ at 14:31| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書の記録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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