2018年05月03日

中山七里「アポロンの嘲笑」(集英社文庫)

やはり中山七里さんは面白い。
社会派でありながらエンタメ。
松本清張さんと並んでよいと思います。

本書のテーマは東日本大震災。
福島の原発のメルトダウンの件に
北朝鮮との課題も絡め
仕掛けられた爆弾撤去に人生をかける男。

アポロンの嘲笑、とは
実に秀逸な題名。

揺れる大地と破壊した街。
失った命と生かされてほしい命。
これ以上犠牲者を出したくない仁科刑事は
息子が女川町の津波で行方不明。
逃げ、なのか、対決、なのか、
自分でも戸惑いながら逃亡犯を追う。

ちょうどこの本を読んでいたら
本当に広島で逃亡犯。
23日の逃亡、川も泳いで渡った男が
現実にいて、ちょっとびっくり。
まあ、彼は刑務官のいじめが嫌だったという
極めて個人的な理由だったんで
小説を越えることはなかったんですが。

逃亡犯の人生がまた壮絶で
阪神淡路大震災で自分の身を守ってくれたおかげで
両親を失くし、虐待をする叔父に育てられ
独り立ちしてもリーマンショックの影響を受け
失職、果てが原発の孫請けからのひ孫請け玄孫請けの
危険な仕事。
そこで出会う刑務所帰りの金城。
その家族との交流で愛を知る。
だから命をかける。

悲しすぎる人生に敢えての「嘲笑」とは
中山さんは人生知りすぎ。

おい。東電。原発推進政治家。
読め。
この本を読んで考えろ。
誰も責任を取らない現実を
小説でグイグイ私達に教えてくれてる。

そうだ。
電力自由化したんだった。
東電やめなきゃ。
本当に喉元過ぎれば熱さを忘れる。
愚かな日本人代表みたいな自分。
今日のBGMはせっちゃんの「ウサギとカメ」
これもこっそり反原発ソングだと思っている。

忘れてはいけない悲しみと怒りを
本書で確認しました。

この後ネットで中山作品まとめ買い。
しばし読み続けよう。

奇しくも今日は憲法記念日。
まだまだ私達は憲法を使い切っていない。
posted by 大ねこ at 21:33| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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