2018年05月13日

中山七里「ヒートアップ」(幻冬舎文庫)

いやあ、本当に面白い。
中山作品で今までハズレがない。
ま作家デビューから10年経ってないんですね。
年齢はほぼ私と同世代。
いろいろなさってきたんだろうと
作風の違いがありすぎるあたり、
半端ない経験値を感じさせてくれます。

今回は麻薬ヒートアップを巡る活劇もの。
七尾究一郎なる麻薬取締、通称麻取が
自身が生贄となって捜査する話。
七尾は麻薬が体内に入っても
反応はあれど、平静を保てる特異体質を生かし捜査。
同僚の個性豊かな仲間からも一目置かれ、
一匹オオカミで突出しているスタンドプレイヤー。
自分では「公務員だから」と自負があるが
周囲から見たら最も公務員ではない。
だからヒートアップ撲滅のため
ヤクザのネゴシエーターの山崎と組み
今回の体を張った捜査に当たる。

誤認逮捕、強行突破、ヒートアップの製造研究所、
アメリカの攻撃、まあそれは
ハリウッド映画並みの無茶ぶり。
ありえへん世界なのに
読み手にあり得ると思わせる手法が秀逸。

おまけにいつものどんでん返しも。
七尾の誤認逮捕の真犯人がなんともビックリ。
私はずっと山崎の奥さんが犯人だと思ってた。
違うんだなこれが。

手に汗握るストーリーだけど
これは映画化は無理、というどんでん返しでした。

「いつだってこの国は国民の命よりも
体面を気にしていた」というような
社会を斬る文章が随所にきらめくのも中山作品の醍醐味。
若者受けに媚びない、玄人読み手にもズシンとくる
文学になってる。
そこが実は好きな理由でしょうね。
解説で「今野敏、逢坂剛に匹敵」的な一節が
ありましたが、私はその面白さで
その2人を中山さんは、完全に抜いていると思います。
少なくとも私はお二方は飽きましたが、
中山作品は先日まとめ買いしました。
まだまだ私の中山ブームは続きます。
posted by 大ねこ at 18:25| Comment(0) | 読書の記録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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