2018年05月23日

中村文則「教団X」(集英社文庫)

非常に疲れました。

疲れた理由。
1:松尾率いる宗教集団と沢渡率いる本書主人公の
教団が2つ出てきて私的には面倒くさい。

2:その教団がセックスカルト集団という設定が
荒唐無稽であり、狙いが透けて見えて鬱陶しい。

3:主人公クラスの楢崎の軟弱さや
女主人公の立花、その相方でテロを起こさんとする
高原のあるあるネタが、「だから?」と
思ってしまう。

4:サディズムの極みの沢渡の、この教団を作った
経緯譚が医者で味わう世界でものすごく
不愉快で気持ち悪い。
医者が読んだら悲しくなるか、あるいは
共感するか。わあ、ヤダヤダ。

5:ちょいちょい出てくる性描写が
1つも嬉しくない。
性をあざとく扱いすぎ。

これでも昔はサドも「眼球譚」も
クリムトもラディゲも澁澤も片っ端から
読んでいる読者です。
この後小説の不愉快さの根本は
ここまで教団の汚点を列記してきて
最後の方は「人は救われる」光小説に
無理矢理持っていくところ。
おいおい、この大団円で今までの暗闇は
一体何だったんだ、という
ハッピーなのに虚無感に襲われるところ。
先に列挙した小説群は
救われないから逆にカタルシスがある。
この小説は「共に生きていきましょう」っていう
展開には読めなかった。

唯一の面白さは
高原が語る社会問題、思想問題。
ページでいうと356からの段。

あれかな、中村文則さんは、若者の
政治離れや社会への無関心への警鐘を
描きたかったのかしら。
だったらわからんでもない。
ということは、酸いも甘いも分かるおばさんには
理屈先走った七面倒なこういう本は
読む必要がなかったのかもしれない。

もっともっと「難しいことをやさしく」書いた
物語や芝居がたくさんあって
エンタメでありながら胸に響くものを
私はこれから選んでいきます。

でも、頑張って描きましたね。中村さん。
posted by 大ねこ at 21:49| Comment(0) | 読書の記録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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