2018年09月25日

中山七里「闘う君の唄を」(朝日新聞出版)

カバーを取り、表紙めくり、
目次見た瞬間固まる。
1 闘いの出場通知を抱きしめて
2 こぶしの中 爪が突き刺さる
3 勝つか負けるか それはわからない
4 私の敵は私です
5 冷たい水の中を ふるえながらのぼってゆけ
って「ファイト!」やないか〜い!

後付見ると
「ファイト!」から作品の構想を得ている、と。
うっひゃー!

さらに1ページから読み進め、固まる。
主人公は幼稚園教師。
私立幼稚園に今日から就職。
出てくる親はモンスター。
保護者会の強いこと。同僚もおしなべて弱気。
園長はイエスマン。
それも訳あり、15年前この園で
幼女殺害事件があったから。

その柱が一本。
もう一本は教育論。
主人公の凛先生は良い教育をする。
しかし周りは正当に評価しない。
子供達はわかっていく。
モンスターたちにもまっすぐ挑む彼女は
実はとんでもない過去があった。

渡瀬氏登場から過去の殺害事件の
真犯人に肉薄。
今回のどんでん返しは見えていました。
しかしそれ以上に凛先生のひたむきさに
心痛みました。
私はもうここまでの気力はないな、と。
ちょうど今日は管理職に退職宣言したばかり。
こんな時期にこの本に出会えてしまった。
切なくて読みながら泣きそうになる。

先生って、なんだろうって。

辞める選択肢もあったのに
子供達と言う宝物を得た凛先生はきっと
続け、
続ける選択肢もあった私は
親というわけのわからない存在に
辞めることを決意した。
愛情の方向は間違ってないけど
その子の自立自律を見越していない親と
もう闘う気力がない。
後に続く凛先生のような存在に
託していきます。

いわんや「ファイト!」をや。
何度この歌に私は救われただろう。
20代後半にこの歌に出会わなければ
私はもう少し早くから駄目になっていた。
それくらい、自分を支えた歌だった。
私も凛先生ほどではないけど
闘ってきた。様々なことと。

中山さんは、出会うべくして出会った作家。
こんな切なくて押し黙ってしまう小説、
勘弁してほしかった。

ただ、中山さん。
3歳児はここまで雄弁ではないよ。
ちょっと理想的過ぎる園での子供達の
様子に、申し訳ないけど現場を
ご存知ないな、と思います。
「白雪姫」のお芝居のくだりは
あり得ないレベルでした。
こんなお利口さんばかりなら
私も教師もう少し続けたいです。
こんな当意即妙に応えられるなら
学校もさぞかし楽しい。

と、最後に意地悪。

「今は間違いを起こさない無難な先生が
重宝されるんだよ」
これは真実です。
posted by 大ねこ at 22:02| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス: [必須入力]

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]