2017年11月18日

中山七里「いつまでもショパン」(宝島文庫)

ピアノについて何も知らない。
クラシックについても大して知らない。
もちろん、ショパン国際ピアノコンクールなんて
もっと知らない。
困ったもんだ。
アルカイダや、かつてのイスラム国のことなら
少しわかる。
岬洋介さんなら結構知ってる。
そのレベルで楽しく読み切りました。
つまり、レベルの高い小説っていうことです。

ショパン国際ピアノコンクールでの
テロリスト事件。
結局は国際組織とは無関係な
私怨による事件だったけど
途中までは国際事件かと
ドキドキしました。
そこは正直なーんだだった。
けれど主人公ヤンの成長記録としては
素晴らしいものがあります。
中山さんってミステリーの形や
ピアノの薀蓄を通して
実は若者の成長小説を書きたい人だと
認識致しました。
だから素人にも読めるのかな。
ピアノコンクールの壮絶さや
ある方を彷彿させる視力障害の
若者のピアノの美しさなど
いずれピアノ曲を聴いてみようと
思わせる技術は、単に薀蓄の深さではない、
書き手の想いがこちらを動かすのです。
岬や視力障害の榊場の音楽に
ヤンが動揺し嫉妬し、それによって
自己克服したように。

一気に読み切りました。
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2017年11月13日

中山七里「どこかでベートーヴェン」(宝島文庫)

夏以来の久々中山七里作品、
ドビュッシーと同じ音楽シリーズ。
岬の高校生時代の初めて?の推理は、
自分が冤罪に巻き込まれそうになっての
同級生殺人事件。
舞台は岐阜の美濃加茂地方。
モリカケ事件に似てる建築屋と行政の癒着が
メイン、その娘息子が起こす事件。
学校が土砂崩れで孤立。
そんな場所に建てるかっていう場所。
サイドストーリーとしては岬の突発性難聴。
そして岬の親父さんとの確執。

全体としては青春小説です。
担任の棚橋先生の真っ当な説話や
岬の天才を羨む周囲の学生達。
それらを俯瞰して描き、岬の親友として登場する
鷹村が中山七里さんの分身として登場。
わかりやすい青春群像で、
高校生なら読んでほしい一作になっています。

クラシックも聞いてみたくなりますね。
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2017年11月09日

岩波明「発達障害」(文春新書)

クラスに今や必ずいるであろう
発達障害の子。
けれども親御さんにそのことを
どのように伝えたら良いか悩むのも事実です。
我々学校側も、医師ではないので
ハッキリした確証は持てない。
ただ経験上、そして数多くの子供を見て来た体験上、
多分そうだろうという印象なので
でも多分当たっているだろう、から
伝えたい。しかし親御さんにしたら
最後通告のように聞こえてしまう、
堂々巡りで言いそびれるパターンが多いです。
その結果、学年が進むごとに
症状がハッキリ見えてくる。
その頃になると「前の学年の先生には言われてない」と
親御さんは思う訳で余計に言いづらい。
なので、親御さんの方から相談をされる時の方が
ハッキリいいやすくなるので
よければ世の保護者は発達障害を疑う時は
直接担任に言ったら動きが速いと思います。

この本では主にADHDとASD(自閉)についてです。
常同性とこだわり、そして他者との関わりに
前者は関わってうまくいかない、後者は
関わりに興味ない、そのあたりつかんでおくと
理解が早いようです。
今のクラスで軽いADHDを疑える子がいます。
もう一つLD(学習障害)を感じる子が2人。
あとは学力不振が2人。
全て男子です。
前年には完全なASDがいました。
つまりクラス30人として発達障害らしい子は
3人はいるということです。10パーセントですね。
教師の中にも当然存在する。
たまにいますね、変わった方。

大切なことは障害なので治療が必要で
治療を通して改善されるということですね。
本人も保護者も楽になるはずです。
なのに切り出しにくい日本の事情は
変える余地があります。
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2017年11月04日

三浦しをん「まほろ駅前狂想曲」(文春文庫)

ああ、終わっちゃった。
多田も行天も亜沙子さんもハイシーとルルも
ヤクザの星さんも手下どもも、岡さんも
由良坊もみんな好き。
凪子さんとはるちゃんも可愛い。
たくさんの人物が織りなす人情劇。

行天の娘のはるちゃんを預かることがメイン軸。
怪しい野菜売り団体が行天の母親が入信してた
宗教団体の残党によるもので
そこと星達の絡みがサイドストーリー。
なおかつ、岡さん達のバスジャック事件と
多田と亜沙子のラブストーリーが入る
長編仕立てになっています。

全ての物語がひと段落した後に
行天が失踪し、多田の落胆が身に沁みます。
もちろんなんじゃそりゃ、というノリで
帰って来ての大団円です。

まほろ市という架空の街ですが
今日、例えば麻布十番の町を歩き
「港区のハイソに街だしね〜〜」という
嫉妬めいた思いは
歩いてみて完全払拭されました。
いい街です。
庶民感覚とホンモノと高級感が混在して
ああ、種類は違えど人の住む街だと実感。
そういうような街が全てまほろのような
気がします。
人が悲しみや過去の悔いを抱え、大半は
面倒臭さかったり鬱陶しかったり重かったり
しながら、たまに嬉しかったり満足したりして
手を取り合うような、そんな街。

これで完結という様相で終わりました。
残念です。さらにジジイになる2人を
読みたいです。
ただ困ったことに
2人の顔は瑛太と松田龍平なんだよな。
映画力、すごい。

ところで、麻布十番から見える東京タワーは
かっこ良かった。
スカイツリーは好きになれない。
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2017年10月25日

矢野誠一「新版 女興行師 吉本せい」(ちくま文庫)

演芸関係に大変お強い矢野先生だから購入。
客観的な視点で読みやすい。
現在、なんでしょうか、「わろてんか」という
連続テレビ小説でせいさん取り上げられて
いるようです。連ドラは
全く見ないのでよく知りませんが
きっと脚色して上手に描かれているのでしょう。

せいさんは、遊蕩の亭主がチェーン化した
吉本興業を守りきり今につなげた立役者。
大阪女らしく落語家に上手に取り入り、
どうしたら人が働く気になるか、
また、どうしたら人が演芸を金出して見にくるか、
よく分かっていたようです。
また、警察側にもコワモテ側にも政治家にも
繋がりを作っていたのも大きい。
ただ、非常にヤキモチ焼きで
息子が笠置シヅ子さんと恋愛して子までなしたのに
知らん顔していた、認めなかった、という点で
びっくりでした。
和服から洋服へと変遷したターニングポイントは、
関東大震災とのことですが、
その機に乗じて落語から漫才を重んじたのは
経営者として先見の明と言わざるを得ないです。
そこから「大阪の落語をつぶしたのは吉本」と
言われるようになったそうです。
また、政治家との交流や興行師の中でも
ヤクザ系との交流の事実を知るにつけ、
美空ひばりさんなどもそうだったと思い起こします。
今もきっとそうなんでしょうね。

そして、とうに創業者一族が途絶えた今も
「吉本」といえば、金払い悪いと芸人本人達が
会社を悪く言う風潮は残っていますね。
つまりは「せいの陣頭指揮していた時代の、
えげつないまでの大阪商法に徹した興行師の
集団なのである」がまんま残っているわけです。
さらに、吉本が強くしぶとく侮れないのは、
芸人に好きなだけ悪口言わせる上に、
スキャンダルさえも宣伝に使う巧みな商法。
横山やすし、島田紳助等々、枚挙にいとまがない。

そんな吉本ですが、私は離れています。
一時期ルミネに通いましたが、漫才の質低下に
伴いご遠慮しています。
せいぜい中川家。
サンドウィッチマンや爆笑問題、ナイツの方が
ずっと面白いし落語演芸場での
ホンキートンクやロケット団は受けます。

職業婦人としても黎明期の人だとは思うけど、
私はやはり好きではないです。
この本自体は、面白かったですよ。
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2017年10月16日

「高橋優自伝」(シンコーミュージックエンタテインメント)

著者は優さん自身ではなく
語りおろし、といったところ。

優さん、ますます好きになりました。
ダウンロードで音楽を買うのは苦手で
もっぱらCD購入派です。
古い人間には多分優さんは愛されています。
非常に常識的で人の心を大切にする
打たれてきた人間だから分類すればアナログ。
今時のスマホ片手に全て分かった気になる
一般の若者とは峻別される感じがしていました。

ルーツはお婆ちゃん子。病弱で
小学低学年時にいじめを受けた。
「CANDY」、今まで避けてきた悲しいいじめの歌を
今回読んでやっと聴けるようになりました。
実話だと知ったから。
お姉さん二人、女系家族、そりゃあ優しくなる。
高学年で報復のように女子いじめをする。
中学校では生徒会長するまでに目立ちたがり屋。
高校は陸上夢潰えて自暴自棄。
さんざんやんちゃもして大学進学。
路上ライブを中心とする生活。
秋田から札幌に。
バイトの映画館では真面目に働くも
路上ライブに伴う支出の多さに
食事もまともに摂らないような日々。
卒後、アミューズの雄一さんの目にとまり、
デビューが決まる。
箭内さんのプロデュースでデビュー。
そして現在に至るまでの包み隠さない姿勢での
実生活が満載でした。

自らを「面倒臭いやつ」と言い
我こそが「Mr.Complex Man」だと言う。

以下引用。
ー今でも人に悩みを相談することはないです。
ー親しき仲にも礼儀あり、っていう言葉が大好きで、
…どんな人間関係でも、そこにはある一定の距離が
絶対必要だと思うんですよ。
ー相手が子どもでも誰でも尊敬し合える、
対等でいるっていうことが大事。
ーネガテイブがあればこその、
ポジティブシンキングになっている
気がします。

これ、私じゃん。
優さんも実は一人きりが好き。
飲み会行ってもじゃあね、と
帰ってしまうタイプ。
優さん、繰り返しモテないと言っていますが、
私がうんと若かったら絶対優さんに
心底憧れます。
だから安心してください。
きっと優さんが語っていたような
素敵な女性が現れて、幸せになって
子育ての歌作りますよ。
私、それまでずっとファンでいます。
なんの縁もゆかりもないおばさんですが
母のような恋人のような視線で応援しています。
優さんの歌で、再び若者の歌を
聴こうと思ったし、若者捨てたもんじゃないと
幸せになった一人です。

コンサートチケット取りにくくなったけど、
それだけあなたを支持してる人が増えたと
悔しがりながらも嬉しいファンです。
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2017年10月10日

スージー鈴木「サザンオールスターズ1978-1985」(新潮社)

ふざけた名前の筆者はサラリーマンしながら
ライターなさっているようです。
50歳で青春をサザンに彩られたようです。
それ以上でも以下でもない評論的な
本です。
ただ、これを読む間は
確かにずっとサザン聴いていました。
聞き直したくなるつくりです。
私は筆者より7歳上で桑田さんより3歳下。
更にサザンと同時代を生きています。
「勝手にシンドバット」は衝撃でした。
アルバムも「人気者で行こう」まで全て持っています。
しかし筆者も「いう通り「KAMAKURA」で
高すぎてめげました。
その後桑田さんが少し遠いところに行き、
サザンのサザンらしさが失われ
「KILLERSTREET」で思い復活、「葡萄」で
完全復活でした。私の中でのサザンは、です。
病後の桑田さん個人のアルバムのクオリティは
サザンを完全に食っています。
よってサザンイコール桑田さんというより
桑田さんあってのサザンというバンド、
というのが今の私の思いです。

本書の内容は前期サザンのアルバムの解説です。
サザンが果たした役割なども
少しは触れていますがそこに主眼はない。
特に、コミックソング的な流れはいらない、
「ヨシ子さん」は評価しないという筆者とは
私は意見を異とします。「ヨシ子さん」は良いです。
くだらなさがあっての社会派でありえる桑田さんの
含羞をきっちりプラスに評価してほしい。
その両者が合流した名曲が
「マンピーのGスポット」だと思います。

楽曲及びアルバム解説としては
読むべき内容はありますが、
大瀧さん山下さん、矢沢さん、佐野さんとの
絡みや「先輩達へのおせっかいソング」と括る
一連の人物に対するメッセージソングなどについて
掘り下げて欲しかった。
これはサザン評論ではなくアルバム解説に
止まった本です。

11月に桑田さんコンサートチケットゲットしたので
楽しみにしています。
私の中で桑田さんを丁寧に消化していこうと
思います。
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2017年10月04日

万城目学「パーマネント神喜劇」(新潮社)

一気読み、面白く読みました。
ただ、今までの万城目学さんの作品の中では
軽めでした。
神の独り言辺りはちょっとまどろっこしい。
小説作法としては反則技っぽかった。
縁結びの神の実績描写からの
当たり屋の変貌、
トシとシュンのペアって
杜子春じゃねーか、とツッコミたくなる
件を経ての地震。
社殿の倒壊と神木切断。
神を願う子供達、実はもっと大きなものの
策によって神の復活。
最後の最後までいささか御都合主義も
含みつつ、結果的に私の心に生まれた感情は

信頼の勝利

でした。

気持ちよかった。
裏切りがあまりに多く切ないを通り越して
腹立たしい昨今、
信頼に勝る美徳なし、だと確信。

希望の党?
情け無い。保守対保守の権力者争いに
なぜ信頼を望む私たちは加担しなくちゃいけないのか。
政治家以外、誰も望んでいなかった
衆院総選挙。そうまでして甘言を弄し
てっぺん取りたいか。美しい憲法改悪したいか。
どんどん信頼を打ち消すあなた方に
人としての魅力はない。
こうした打ちひしがれた人々が
棄権すれば、小選挙区の論理で
保守が勝つ事見越してのやり口だって
分かる分情け無い。
全てあなた方の掌中でのやらせ。

そういう状況だからこそ
これくらいのレベル小説でも
私は感動する。
あなた方に加担しない。
パーマネント=永遠、の信頼を
私は信じる。
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2017年09月30日

伊坂幸太郎「AX」(KADOKAWA)

AX、そのまま斧、の意味でした。
蟷螂の斧。暗い人生を歩んできた兜が
出逢った温かい言葉を掛けた女性と
結婚、一人息子の克巳、その家庭を守りたくて
裏稼業を辞めたい。
しかし人殺しを続けてきた身は
そう簡単には許されない。
結局、友情や愛情を知ったがために
彼は自ら飛び降りることになる。
その10年後に、克巳は期せずして
父の仇を討つことに なる。
その援助者は、兜が救った殺し屋。
全て綺麗にしたくてクリーニング屋に
なって、克巳の近くにいた。
兜の人生は、暗かったけど、
悪くない人生だった。
切ない。

兜が一番怖れていたのは妻。
愛情の受け止め方も出し方も
その妻から学んでいたのだろう。
だから怖かった。失いたくないから。

蟷螂の斧は
生死ギリギリで放つ一発。
兜は愛し続けたくて全て隠し切って死んだ。
克巳にとっては永久に良い父親。
妻にとっては永久に情け無い旦那。

いつものようにクールに描ききりながら
優し過ぎて哀しい。
伊坂さん、父親になったね。
重い社会生活と家族の良さが
全面に出た佳作。
一気に読み切りました。
ファンでよかった。
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2017年09月25日

永六輔「坂本九ものがたり 六・八・九の九」(ちくま文庫)

永六輔さんも亡くなっちゃったなあ。
永さんの尖り加減が好きでした。
この本を読むと、マルチタレントだったことが
よく分かります。
八大さんはジャズピアニストから作曲家へ、
そして売れっ子中にアメリカ行っちゃう
先進的な人。
永さんは、
学生時代からテレビ創生期に放送作家として
頭角を現し、「上を向いて歩こう」からの
作詞家稼業、しかし阿久悠やさだまさしらの台頭で
作詞は引退、というところまでの時代。
そして主人公の九は
川崎の色街出身で姉が歌舞伎狂、
賢く聡い反面、やんちゃだった様子。
それを愛情深く、しかし批判的にも
ムダな言葉なく描いています。

エルビスのモノマネ名人で
ドリフターズのバンドボーイ中にスカウト状態で
歌手へ。ナベプロの渡辺美佐の妹、曲直瀬に
見染められ曲直瀬プロへ。
この辺りの当時の芸能事情も
ぜひ読んでみたい。なかなか黒い世界。
しかしそれが現在のプロダクションの原型。
自分の歌の下手さを克服すべく努力。
美輪明宏さんの「ヨイトマケの唄」を
ご本人に許可を得に行き、オーケーをもらい
自分の歌にした事実は、
九自身が本当にお母さん大好きっ子の証し。
そのお母さんが死んだ時のリサイタルの
描写は舞台監督を請け負っていた永さんだから
知り得る真実、迫るものがありました。

正直九さんに思い入れはありません。
けれどこの自分が生きた時代の人々に
ものすごく興味を持っている訳です。
永さんの本ももう少し読んでいきたい。
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2017年09月19日

小林信彦 萩本欽一「ふたりの笑タイム 名喜劇人たちの横顔・素顔・舞台裏」(集英社文庫)

欽ちゃんが、とても素直に小林信彦さんに私淑。
コント55号時代のアドリブの話などは
小林さんもノリノリで聞いている。
私は子供時代に55号好きじゃなかった。
欽ちゃん自身も多才でプロデュース能力の高い点は
評価していますが、好き嫌いで言えば
好きじゃなかった。
そのほかの、渥美さんや森繁さん、のり平さんなどは
以前読んだ小林さんの著書で知ってる。
クレージーキャッツやエノケンの事も
今まで読んだ範疇。
なので目新しさはなかった。
欽ちゃんの聞き上手さで読み切りました。
にしても、小林さんの記憶の良さは健在。
まだまだ長生きして芸能に携わってほしいです。
おそらく芸能人はいっぱいいるけど
喜劇人はいなくなったと感じておられる。
素人の私でもそう思う。
上手い歌い手はいても歌姫や本物のミュージシャンは
いなくなったのと同じ。
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2017年09月12日

能町みね子「お家賃ですけど」(文春文庫)

体調は回復。
夏休み明け、子供によっては「行きたくない」症状。
仕方ないです。
様子見です。
大人だって行きたくないですよ。
いわんや子供をや。

能町さんの文章は乾いていて哀愁がある。
突き放しているようで愛情がある。
恬淡としているようで結構しつこさもある。
これは彼女が、彼、から彼女、に変わる頃
住んでいた神楽坂、牛込あたりの
下宿屋の話。
都会の中の都会、神楽坂は
古いものと新しいものが同居してる街。
築40年の家の大家の83歳の加寿子さんとの
やりとりなどはとても上品で踏み込まないけど
優しさがある。
OLしながらデザイナーのアルバイト、
様々な人に重宝されながら、自分探し中の姿。
心臓が良くなく、結果的に性転換手術直後
心臓の手術もし、相部屋のお年寄りに
愛着を覚える優しさ、愛おしさ。
風呂釜のガスがつかない件などは、
あるあるネタでもあります。
何より、牛込の街に突き立つペンシルマンションを
爆破したい、蹴り飛ばして倒したい、と
願うあたりは全く同感できます。
若いけど、古さの分かる人間にそだったルーツの
物語も挿入されていて
実家のそれぞれの祖母達の話題は
多くの人に分かって貰えるところだと思う。

いいオンナだね、みね子さん。
好きです。
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2017年09月07日

江戸川乱歩「明智小五郎事件簿Ⅺ 妖怪博士・暗黒星」(集英社文庫)

もう一冊刊行されているシリーズですが、
これにて終了。
飽きません。しかしパターンに飽きます。
乱歩調に飽きてきました。
でも、本当に飽きずに読ませます。
特に仕事の往復にはボーっと夢中で読める。
猟奇的、変態的なんだけどいやらしくない。
現在の怪奇モノや推理モノの先駆けだから
安心感が違う。
明智小五郎はきちんとかっこよく解決してくれる安心感。

妖怪博士は二十面相の明智への愛憎。
暗黒星は、出自からの復讐譚。
どちらも面白い。

黒蜥蜴が中谷美紀で日生で上演される。
しかし12000円。
考えちゃう値段。
あ、でも、嬉しいことに桑田佳祐コンサート当選!
こっちは手放しで申し込みましたけど。
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2017年08月31日

江戸川乱歩「明智小五郎事件簿] 少年探偵団・黒蜥蜴」(集英社文庫)

夏休みが本当に終わる。
もう今週は仕事On仕事でしたが
明日からは子供達が集合。
まあ、研修という名のこれも知っとけ、
お前達教員はあれもこれもやんなきゃいけない、
押し付けを「学ぶ」よりは
子供達と過ごす方が本分であります。
ちなみに研修は、例えば
アレルギー、新指導要領、貧困、特別支援、
歯医者さん講話、等々。
行政が言うよりセンセから言ってよ、的な。
うーむ。

そんな中で読破。
三島の戯曲、美輪明宏さんの緑川夫人。
一度見に行きました。
もちろん学生時代に戯曲も読みました。
ここでの江戸川乱歩原作は
読み物として上質。
大人向きでエロ要素グロ要素満載。
異常愛、好きだよね、乱歩。
人間椅子はここにも健在。
人間の剥製も健在。
色っぽいのに僕、と自称する緑川夫人。
男性性もあるわけで、美輪様にぴったり。
まるで彼のためのお話。
明智氏に恋をしちゃうあたりも斬新。
自殺するヒールは乱歩には珍しいのでは。

もう一作の「少年探偵団」が完全に霞みます。
こっちも二十面相が火薬爆破で死んだか?と
思わせますが、はっきりとはさせていません。
少年向きな現れ、以下次号のやり方です。

もう一冊残っていますので
楽しみましょう。
ちなみにシリーズは更にもう一冊で
計12冊のようです。

涼しい一日でした。
明日の再開も涼しいようです。
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2017年08月25日

江戸川乱歩「大金塊・怪人二十面相」(集英社文庫)

児童向け探偵小説だから
懐かしい。読んだわ。
ポプラ社のホームズとかルパンとかの
シリーズ読破したわ。
しかし乱歩は不気味過ぎて
途中でやめたわ。

この歳になって読んでみて
他愛のなさにちょっと笑える。

怪人二十面相は人ごろしをせず
ひたすら盗み、小五郎と対決するのが生き甲斐。
小五郎もペダントリィ全開。
子供にわかりやすくしているので
大人にはまさに子供だましの内容。
しかしこのパターンが現在の戦隊モノやら
正義の味方モノ、月光仮面に至る全ての大本。
子供を楽しませたいと考えた乱歩はすごい。
戦争の匂いプンプンの時代1936年に連載されたとのこと。
80年前だ。
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2017年08月15日

江戸川乱歩「明智小五郎の事件簿[ 人間豹」(集英社文庫)

人間と豹の間に生まれたと思われる人間豹の恩田と
その異様な父の物語。
この、奇想天外な思いつきそのものが乱歩だ。
ストーリー的には連載物らしく
さあ、続きは如何に⁈の連続。
バカらしいと思いつつ読み切れるこの迫力。
明智小五郎が勝つ、とわかっていても
心の中で手に汗握る感覚。
マイナーな立場の人間もどきが
全うな人間に復讐する話ではなく
情欲に素直で血を好む猛獣的な
わかりやすい展開も嫌いじゃない。
文代さんが今回も危機的状況に陥り、
明智小五郎が最終的にしたことは
サーカスの虎(その実豹)を撃ったことだけ。
父親は自殺、恩田は消息不明。
逃しちゃった。
推理物ではなく活劇物。
30年代の浅草がいっぱい出てきます。
松竹歌劇団、動物園があった頃の花やしき、
ホームレスが集う場所、千束の床屋など。
そういえば乱歩さん、浅草好きでしたね。

一気読み。
面白かった。
まだまだ夏休みの乱歩シリーズは続きます。
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2017年08月12日

江戸川乱歩「明智小五郎事件簿Z吸血鬼」(集英社文庫)

今日は都電で1日乗車券(400円!)で
乗り放題満喫。
王子からまっすぐ早稲田駅。
早稲田大学近くウロウロ。
面影橋駅で写真。
鬼子母神前駅から鬼子母神堂。
羽二重団子の出店でお団子。
庚申塚駅から刺抜き地蔵通り。
マルジで安いはおりもの。
三ノ輪駅まで行ったらジョイフル三ノ輪。
お味噌、野菜買ってコロラドでお茶。
王子に戻り帰りました。

そりゃ読めます。
竹本健治難解ミステリーの後だけに
実にスッキリ。
恋に破れて自殺した兄貴の仇を取るための
復讐が結果その女に惚れる体で大団円。
決闘のオープニング、水死体、
国技館での人形展、飛行船逃亡、
密室殺人、棺に入れられて火葬される寸前の状況、
水中花ならぬ水中人体、
まあこれでもかこれでもかと怪しい事件満載。
ゴリ推しの無理無理もなんのその、
新聞連載というから余計に大サービスな感じ。
「魔術師」で知りあった文代さんが奥さん、
少年探偵団の小林少年もここで初めて登場。
読者を楽しませる仕掛けだらけ。
しかもラストは、実は小五郎の敗北なんだけど
犠牲者であるはずの倭文子がどーしょうもない
女のため、読者もまあ納得しちゃう。
一番かわいそうなのは彼女の息子茂くん。
6歳設定だけど、親父は泥棒、おっかあは色情狂、
それで両方殺されるって、この子の人生どうなるんだ?
まあ本編と関係ないところで心配しても
仕方ないですが、私ならこの子を
また次の話で悪党に使うかな、と、
いらぬ想像さえしました。

ともかく面白かった。
荒唐無稽オーケー。
不完全燃焼だった読書体験の溝が埋まりました。

高校野球、今年は面白い。
こちらも夢中な楽しい夏休みの真っ最中です。
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2017年08月08日

竹本健治「匣の中の失楽」(講談社文庫)

いや、しんどかった。
持って歩くのも読むのも。
マトリョーシカか。
章ごとに前の章は嘘だよ、と言われるような
嵌められたような不愉快感しかなかった。
読書感想をリサーチすると
みなさん褒めちぎっておられる。
黒死館殺人事件、ドグラマグラ、虚無への供物に並ぶ
四大奇書らしい。
リアリティのない観念小説、
若い頃読んだ埴谷雄高の死霊へのオマージュだと
いうこともわかる。
入れ子小説であり、薀蓄小説でもあります。
頭を使いたい人やペダンティックを好む人や、
あるいは若い頃の自分ならば夢中だったかもしれない。
しかし、今やもう無理。
ダラダラ続く学者的な、あるいはアホにはわからんやろ的な、
思考のとぐろ巻きに閉口しながら
悔しさもあって読み切りました。
ああ、疲れた。
そりゃ「失楽」ですから救いは求めてなかったけど、
疲れました。

賢い方々が詳しい書評書いていらっしゃるので
是非ご参照ください。
私には、面白くもなんともない小説でした。
まだ虚無への供物の方がわかったぞ。
posted by 大ねこ at 18:39| Comment(0) | 読書の記録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年08月07日

映画 実写版 銀魂

銀魂、懐かしい。
しばらく読みました。
紅桜ならばわかると思い、
小ねことシネコンへ。

悪くなかったです。
漫画の世界観をきちんと踏襲していて
実写版の良さも満載。
夏休みのエンタメとしては上等でした。

内容がどうこういう作品ではないので
役者さんについて軽く。
銀さんの小栗旬さんはこの路線がいいかと。
まーきの♩の頃の若いゆえのイケメン卒業からの
小栗旬さんにあまり魅力はなかった。
結婚して男としての役者になるには
今ひとつ力量に弱さが感じられていました。
今回のハジけキャラは、その弱さクリア。
おっさん感もいい感じに生かされていた。
シリアス路線よりこっちの方がいい。
菅田将暉さんの新八、まずまず。
菅田将暉さんはこれからの人なので
まだ未知数。
神楽の橋本環奈さんは、いい。
美少女キャラ脱却、銀魂ならぬ役者魂あり。
鼻くそほじってゲロ吐いてブチャイク顔見せて
それで可愛い。
役者として上手いか、と問われると
ちょっと棚上げですが。

新井浩文の人斬り以蔵ならぬ似蔵は
一番の演技力全開。
盲目役なので目を瞑ったままの演技なので
難しかったことでしょう。
中村勘九郎の近藤勇ならぬ勲もさすがの演技。
そして、菜々緒さん、最高です。
又子役がどハマり。
他にも、佐藤二郎、声で山田孝之など
ああ、土方役に柳楽、桂に岡田将生。
中堅どころをうまく配しました。

パロディも満載でナウシカが出て来たのは
笑いました。
安田顕の刀鍛冶が
昔の剣豪映画のパロディではないかと。
あの大げさな感じが原作通りというだけでなく
往年のそうした映画へのオマージュのような
気がしたのは、私も歳をとった証拠かもしれません。
posted by 大ねこ at 20:00| Comment(0) | 読書の記録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年07月31日

福田利子「吉原はこんな所でございました」(ちくま文庫)

いやいや、ザクッと読むつもりが熟読。
ダメですね。歳とると昔に思いが至ります。
赤線青線廃止後に産まれたわたし。
市川房枝さんがかっこいいと思っていた。
女性は同権であるべきだと思った。
愛知育ちのわたしは、あの有名な
愚かしいほどの派手派手しい結婚式を
正直憎んでおりました。
結婚を理由に仕事を辞めていく女友達を
鼻で笑っておりました。

その癖、新宿の街が好きです。
浅草のいかがわしさが愛おしいです。
渋谷が嫌いな理由は明確で、
情緒が皆無だからです。

以前昼に吉原界隈をぶらぶらした時
夜は怖くて来られない、と思いました。
顔に傷のある方がいそうです。
あるいは、薬物や甘くない危険ばかりな匂いを
感じたからです。

その癖、落語に出てくる吉原は憧れです。
花魁ショーは一度見たかった。
そこには文化があるからです。
なぜ落語の若旦那は勘当されてまで
吉原に通い続けたり居続けしたりしたか、
なぜ身上を潰すほどの高い値段がついたか、
それだけ女性に神性を見いだしていたからでしょう。
確かに人身売買であり、
女性蔑視であることは事実。

しかし、そこには豊かな文化があったことも事実。

筆者の福田さんは、貸座敷(花魁が寝る所)に
客が行くまでの待合の意味があった引手茶屋の
松葉屋の女将。
引手茶屋に幇間や芸を売る芸者がいた。
それらを統括する女将が見た吉原なので
それは生々しい。

貸座敷にも大見世、中見世、小見世があり
いわゆる角海老などは大見世だったそうです。
一般庶民は小見世。
戦争が始まり、兵隊が来るようになって
無理心中もあり、情が移ることもある。
共に田舎出身で、方言が同じだった日には
居続けもあったとか。
なんだかドラマだよなぁ。
今みたいなスマホ時代じゃありえないドラマ。
従軍慰安婦になっていく花魁も。
戦争イコール従軍慰安婦なんだよ。
これはもう反対とかいうレベルじゃない。
韓国の人々が無理やり従軍慰安婦にされた問題も
解決していない。
戦後もそう。
女が、一人で生きていくために
体を売る。
賛成なんかできないけど、反対仕切れない。
男と女がいて、性があれば
これはもう何も言えない。

深い問題。
そこで統括する女将は
文化としての吉原、歴史としての吉原、
そして生活の場である吉原。
だったんだろうと。生身の幇間、生身の芸者、生身の花魁、
そこには豊かな文化にあふれた生活があった。
そして、今もセックス文化は朽ちることなく
もっと自由という名の下、ケバケバしいものに。
これもやがて文化になるだろうか?
否、
花魁達とキャバ嬢やソープ嬢は残念だけど違う。
もちろん素敵なホステスもいる。
けれどそれは個としての素晴らしさであって
システムとして文化ではないと思うのです。
そのシステムそのものが文化だった吉原。
今は昔。浅草しかり。新宿しかり。
でも、現代に生きるわたしは、
その残滓だけでもいい、味わいにいくのでしょう。

売春防止法ができてから松葉屋は
料亭になって、そして今はもうないとのことです。

また、下町行ってみよう。
posted by 大ねこ at 21:39| Comment(0) | 読書の記録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする