2016年07月15日

嵐山光三郎「口笛の歌が聴こえる」(新風舎文庫)

天皇の生前退位。
憲法改正議論を阻止する為
(目先を皇室典範改正に向けさせる為の)
天皇の苦肉の策なのでは?と勘ぐる
ひねくれものの大ねこです。
天皇は今一番の平和主義者かもしれないな。

東京都知事選、
宇都宮さんの大人な対応に尊敬の念。
鳥越さんは76歳。
年齢と病気が心配ですが
身を挺しての最後の花を咲かせるのかな。
東京に勤める身としては
なかなかに動向が気になります。

そんな東京も今を遡ること50年前は
火炎瓶が飛び交っていたのでした。

嵐山さんはわたしの中ではテレビにも出る編集者で
エッセイスト、という感じの好々爺なんですが
なんのなんの、青春時代はスゴカッタンダゼ!というのが
本書です。
絶版になっていたのを
この会社が拾い、私が古本屋で手にした逸品。

小説としての出来は
んんん、まあまあ、というところですが
そこに詰まった有名人の過去の姿や
その頃の東京に住む人間の荒んだ感じが
なんともおっかなく、かつ、憧れるのであります。
今の60代中盤の人々には
もしかしたら強烈なノスタルジーではないかと。

ジャズバー、トリスバー、ハイミナール(覚醒剤的な?)、
革新と体制批判とストライキにデモ、
火炎瓶にバリケード。
トッポイ兄ちゃんに突っ張った女たち。
知ったぶりに花園神社のテント。
職場は熱気にあふれ、退廃している。
けれど新機軸アリ、冒険アリ。
アイビーにヒッピーに美濃部都政。
永山則夫、金喜老、三億円事件。

壇一雄、深沢七郎、三島由紀夫、安西水丸、
唐十郎に寺山修司、高倉健に澁澤龍彦、
赤瀬川原平、坂崎ヤス、横尾忠則に五味康祐、
大学時代からの「太陽」の編集をしつつ出会った人々の
実に多彩なことよ。
人々が熱に浮かされ
自由を謳歌し、戦争の代わりに殴り合う時代。
馬鹿だね。
でも、生み出していたね。
破壊も多かったけど。
活気。
いのち。
それらの悪影響が今の時代の姿かも。

ドキドキしながら
読みました。
面白かったよ。
あと10年早く生まれていたら
わたしの人生も変わっていたんだろうな
と、ふと思う。
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2016年07月09日

北村薫「空飛ぶ馬」(創元推理文庫)

夏休みが近くなり
ちょっと浮き浮きしてきます。
仕事は立て込んでいますが
楽しみを一杯予約して
夏休みに備える大ねこです。
明日(あ、もう今日だ)は参院選。
憲法を守りたい。
その一心です。

さて
本書は北村さんの処女作とか。
とても上品であたたかな推理小説でした。
いや、推理、なのか。
確かに推理小説、なんだけど
優しいな。
主人公の女子大生もキャラもいいけど
なんつったって探偵役の春桜亭円紫がいいね。
ま、推理小説にありがちな
複線の為の複線があるので
そこはうふふ、なんですが
にしても解き方が超人的です。
でも、内容が殺人とか窃盗とかではなく
そんじょそこらにありそうな事件なので
その超人さもなるほどね〜ってなります。
 
ひとの性やひとの欲望をさくっと優しい目線で
描ききったところが上品です。

でも私好みではなかった。

円紫は真打で落語家なので
ちょいちょい落語ネタが入るのが楽しかった。

まあ、それで買ったんですけどね。
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2016年07月03日

長井好弘「新宿末広亭のネタ帳」(アスペクト)

2008年刊。
2001〜2007年の末広亭のネタ帳を
データ化してあれこれ分析した本。
一読、ご苦労様、
だけどだからどうってこともなかった。
末広亭ではこうだけど
浅草や池袋、上野ではどうだったか
さらにホールではどんな演目だったか
すべて洗わないと結局のところ
意味はないかな。

なんて、水を注すにもほどがあるな。

寄席、もいきたいけど
演目を聞きたい年頃なので
結局ホールですよね。
寄席は老後のお楽しみです。
何せ、昼席なんてよほどの覚悟がないと
行くことは、勤め人には無理。

この本では、一之輔が二つ目の時代で
前座のときに書いていたネタ帳の話
していて、ちょっと時代を感じました。

後半の第五章の噺家が寄せのネタについて
語る章が、一番面白かったかな。

柳家さん喬師匠。68歳。
小さん門下ですから、小三治師匠は兄弟子か。
私の落語のお師匠(同僚の先生)いわく
「感情入りすぎ」らしいですが、
なんせ喬太郎師匠の師匠、
10月に行きますよ、さん喬弟子と共に七人会に。
一度聞いてみたいとは思っていたので。

柳家権太楼師匠。69歳。
柳家つばめ(伝説!)からの小さん門下。
寄席で本当によく見る名前で
まだきちんと伺ったことがないので
こちらもマイ師匠いわく「いいわよ」らしいので
是非近々。
「本番なんてないよ。オレにとっては全部稽古。
噺家は一生ずっと稽古なのよ。オレたちは卒業のない
世界に生きているんだから、ゴールはない。やっぱり
死ぬまで稽古なんですよ」
カッコイイ!!惚れますな。

五街道雲助師匠。68歳。
金原亭馬生(志ん生の息子だ!)門下。
白酒師匠の師匠。こりゃ聞かずばなるめえ・
マイ師匠も「うまいわよ」
なかなかホールでも会えないので
こちらも近々。

市馬師匠、もう大好きだし。
扇端師匠、聞くこともなく死んじゃったし。

古今亭志ん輔師匠。(志ん朝師匠門下)63歳。
三遊亭小遊三師匠。笑点。(遊三師匠門下)69歳。
昔昔亭桃太郎師匠。(春風亭柳昇師匠門下)71歳。
桂平治師匠。(文治師匠門下)49歳。
瀧川鯉昇師匠。(春風亭小柳枝師匠門下)63歳。
この方もマイ師匠は推しです。聞かねば。
春風亭一朝師匠。(柳朝師匠門下)66歳。
一之輔師匠の師匠だね。

さて
師匠って何回打ったでしょう?
まだまだ聞いていない噺家さん
これから聞きに行きますよ。長生きして待っててね。
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2016年06月29日

春風亭一之輔「落語のたくり帖」(自由国民社)

作者名は一之輔だけど
実際あには毎日新聞社の学芸部の濱田元子さんが
書いています。
一之輔さんは一緒に落語にまつわる町を
歩き、感想を述べたりちょっとしたお話を
しているだけで、ちょっと当てが外れました。
さらに、字が細かめで青い字なので
目がよろしくない私には非常に読みづらかった。

内容は、落語にまつわる町の様子を
落語が描く世界になぞらえて
いろいろ面白い情報も入っているのですが
詳細なことは書かれず、
なんとはなしのイメージの世界に終始しています。
浅草と上野を分けて書いていたりするので
狭い東京の町でありながら
大雑把で、かつ、違う場所かと思わせてしまうような
町の区切り方もイマイチでした。

せめてもの収穫は
大門から三ノ輪の吉原は
一度もあるいたことがないので
行ってみたいな、と思ったことと、
一之輔さんがシャイで韜晦屋さんだと分かったこと。
そして思い切りまじめな人だということが
感じられたこと。

落語関連本としては
不親切なほうでした。
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2016年06月27日

ナンシー関 町山広美「隣家全焼」(文春文庫)

昨日の左龍師匠の2席目は「臆病源兵衛」だそうです。
白酒師匠が掘り起こしてきた噺を
彼なりにアレンジして演ったようです。
そりゃ貴重な噺を聴けたものだと
改めてうふふ、です。

さて
この本の町山さんとはハテナ?
調べると(便利な世の中だ)放送作家さんのようです。
「タモリ倶楽部」とか「ボンビーガール」とか、らしい。
へえ。
今51歳ですからこの当時は30代ですね。
関さんは死んじゃったけど。
楽しい本、ではなく
まあ、ゴシップねたをこれでもかと
斜に構えて「んんんん、まあ確かに」という
形で斬っていく対談です。
時期が過ぎれば旬ではない話題ばかりなので
「ああ、あったねえ」でしょうか。

ただ、やたらと川島なお美さんや
先日捕まった高知東生さんのことがあって
皮肉な意味でタイムリーな出会いでした。
どちらも、ちなみに、評価は低いです。
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2016年06月22日

愛川晶「神田紅梅亭寄席物帖 道具屋殺人事件」(創元推理文庫)

創元推理文庫!!
懐かしい。
一時期選って読んでたな。
落語家が探偵、みたいな帯で読む気になりました。
作者の名前もわたしの名前にちょい似なんで
それもあって。
でも正体はおっさん、わたしより年上だった。
三浦しをんさんみたいな女性かと思った。

一読。
悪くなかったです。
落語に精通していらっしゃる作者の
知識満開、ネタ及び話し方の知恵満開。
主人公の福の助さんも奥さんも
元師匠で今は脳梗塞(だったか)で蟄居している
馬春師匠の存在も、その奥さんも
紅梅亭の席亭も
結構魅力的で、ちょっと素敵でした。
3話ある話のすべてが
落語ネタを生かした推理物になっていて
よく考えたなあ、と感心しました。

ただ、推理の展開や急な「わかった!」に
読者は、ややおいてけぼり、っていう感じが
否めなかった。
ネタばらしの段も、いささか通好み過ぎて
落語を知悉していない身には
「ふぅ〜ん」てな感じになります。

でも、ネタの面白さを知れたり
こんな話の高座は是非聞きたいと思ったり
できたので、よしとしたいです。

なので、このシリーズものがあることが分かり
早速古本にて購入。
作者の儲けにはならないかもしれませんが
推理物の結末の面白さより
ネタを知る、知識を増やす、意味で
読んでみたいと思います。

寄席の裏話や
ちょっとした符牒、通しか知りえないことも
満載なので楽しみです。
推理小説としての完成度はイマイチかもですが
展開の仕方や、落語をここまで徹底して生かしている
あたりはなかなか素晴らしいと思いました。
結構、食い入って読みましたので。
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2016年06月16日

岡留安則「噂の眞相」(WAVE出版)

かつて「噂の眞相」というスキャンダル雑誌がありました。
2000年を機に休刊、
編集人の岡留さんは沖縄に行きました。
私も何度か購入し読みましたっけ。
アラーキーのいやらしい写真が巻頭にあり
田中康夫の「ペログリ日記」つーよくわからん文があり
一行コラム(「ぴあ」にもありましたね、ページ横のアレ)
が面白くて、想像力をかきたてられました。
右派も左派もよく斬られていました。
コンセプトはスキャンダラスなことを探し、
真実は何か探る、というところでしょうか。
本田勝一をホンカツと称し、
右派左派共に仲良しもいて
言いたいことは言うけど
訴訟も平気だけど
納得したらいつでも頭を下げる
そういう人のようです。
カジノが好きで
マカオだのによく行き
ザ・ニュースペーパーや松元ヒロさんが好きで
ガヤガヤと言い立てるのが
好きなタイプでもあるようです。
(良くも悪くも)

しかし、こうした骨のある雑誌は
今はないですね。
恐れて腰が引けて、どころか
はじめから戦闘放棄で擦り寄り媚を売るだけ。
そんなお金を出すのも勿体無い雑誌だらけです。
まあ、文春のスキャンダルはしいて言えば
頑張っているようですが
下ネタよりも政治に斬り込んでもらえないかしら?
舛添さんがやっと辞任するようですが
この人も下劣ですが
内閣にいる方々はもっと実はおひどいんでは?

舛添さんにライトを当てておけば
他が見えなくなることを狙っているんでしょう。
参院選も近いことですし。

この本そのものは
懐かしの「噂の眞相」を知るのにはいいです。
でもそれ以上でも以下でもありません。
こうした「骨」を今作らねばならないかな、
と思いました。
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2016年06月13日

樋口陽一・小林節「「憲法改正」の真実」(集英社新書)

護憲派の泰斗、樋口陽一さん、
改憲派の重鎮、小林節さん、
という触れ込みの帯。
中身は実に素晴らしかったです。
改憲派である小林さんの「今の自民党否定」に快哉!
筋の通った人々に見放された政治家を
今こそ追放すべき。
そんな思いを新たにしました。
以下、本文中より心に響き
知っておかねばと思う内容を抜粋します。

2009年の自民党大敗のときに
(小林)「実力派の議員が落選し、・・・・・・世襲議員と
不勉強のくせに憲法改正に固執する改憲マニアだけが
残ってしまった」事は、うううん〜と唸った。

第13条「すべて国民は、個人として尊重される」を
「全て国民は、人として尊重される」に改悪しようとする
自民党改正草案(以下、草案)は大問題だと私も認識。
個人、が消え、人、になるということは
自由を失うことに等しい、とお二人は論破する。

草案12条「自由及び権利には責任及び義務が伴うことを
自覚し、常に公益及び公の秩序に反してはならない」
って、あんた、「権利に義務」は伴わないでしょう。
そこも、様々な文献を引用し論破完成。

(小林)「憲法における「協力」という文言は簡単に
「義務」に変わる、非常に危うい面をはらんでいるのです」

(樋口)「権力者にとって
国家緊急権という麻薬の魅力は強いのです。
その誘惑をはねつけるだけの強さがない政治の世界で
国家緊急権ほど危ういものはないし、それだけの強さが
あればそれを憲法に書き込む必要はない」

草案24条「家族は、社会の自然かつ基礎的な単位として、
尊重される」・・・・・・
(樋口)「「家族を尊重せよ」というのは道徳でしょう?
憲法に道徳をもちこむことの危険性は、
いろいろな角度で指摘できると思います」
家族のない人もいるぞ!
結婚の自由、別姓の自由も危うくなるぞ!
子供の借金を親が(逆も)抱え込むことになるぞ!
母子家庭や父子家庭はもっと軽んじられますよ。

(小林)「「日本を取り戻す」という癒しのスローガンの
気持ち悪さにも、みんな気づいてましたよね。
だってTPPでアメリカに日本を売り渡すのですから。
新自由主義なんていうものは、本当にごく一部の
人たちだけが儲かるシステムです」

(小林)(草案のうそ臭さをさして)
「新自由主義と復古主義をつなぐものは、
個人の自由を否定する権威主義です。
この三つが同居する改正草案前文は、
キメラのように不気味です」

(小林)「国民が国民投票によって、
国防軍をつくることを是とするならば、それは
あなた自身、主権者として、ある種の分担をする
ことを覚悟してしてくださいね」

(小林)「アメリカがはじめた戦争でまともに
終わった戦争はない。ヴェトナムもアフガニスタンも
イラクも、結局は動乱が拡大した。アメリカが
勝った戦争はないのです」・・・・・・至言。

(小林)「憲法擁護義務のある権力者が
憲法を擁護せず、違憲立法まで行うこの状況は、
クーデターと言っていい」

「知る義務」という言葉を提唱する樋口さん。
(樋口)「「知る義務」という言葉で私が言いたかったのは、
我々の公共の社会を維持し、運営していくために
必要なことを「知る義務」が国民にはあるということです」
そのためにマスコミは報道してください。
やさしい言葉で庶民一般が分かる言葉で、
事実を。屈さない本当のことを。

まもなくやってくる参院選。
東京都知事の問題も喫緊の問題ですが
本気でわたしたちは投票箱に
相対しましょう。

そしてこの本がどうぞロングベストセラーで
あってほしい。
引用していて大好きな樋口さんより
今まで知らなかった小林さんのほうが
うんと多いことにも瞠目です。
真剣に日本を守りたい人間は誰なんだ。
少なくとも、現政権の
「改憲マニア」でないことは明白です。
右も左もない。
本当に日本を守りましょう。
それは憲法を守ることです。
時の為政者の好き勝手にはさせてはならない。
大臣など偉くないぞ。
我々の税金で食わせている
公僕なんですから。
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2016年06月10日

黒柳徹子「トットひとり」(新潮社)

カバーの写真のトットちゃんが美しい。
今NHKの「トットてれび」を楽しんで見ています。
(わざわざ録画しても見たい番組)
さすがNHKというつくりと、そのエピソードが
一つ一つ懐かしく、ああいいなあ、と思えるので。
じゃあ原作の方も読んでみたいと思っていたところ
古本屋においてありました。
定価のほぼ半額。買いですよ。

トットちゃんはおそらくADHD。
今ならそういう発達障害としての名前がつきます。
それでも人に愛され自分を成長させた人。
この本に出てくる著名人の数々は
錚々たる面々です。
向田邦子さん、渥美清さん、賀原夏子さん、
沢村貞子さん、森繁久弥さん、杉浦直樹さん、
そのほかに井上ひさしさん、つかこうへいさん、
永六輔さん、杉村春子さん、
さまざまなプロデューサーや脚本家、
演出家にAD、ニューヨークの演劇人。
それらの人に自分は愛されていたと
確信している(そして実際本当にそうだったでしょう)
この人を愛する力が
彼女を今もスターにしているんだと思います。

一時期、ユニセフ大使やパンダ評論家?など
手広すぎてどうなのかなあ、と思っていた
時期もありましたが、
すべて掛け値なしに彼女の本心本気から
行っていたことだったと後には分かりました。
「ザ・ベストテン」は毎週見ていましたし
時間が許す人生だったら多分
「徹子の部屋」は欠かさず見ていたとも思います。
あの独特のすっとぼけた話しぶりや
丁寧に話す育ちのよさなど
小気味よいではありませんか。
(時に何を言い出すか分からない不安感!!)

表題の意味は読み進むうちに分かりました。
「トット」は「ひとり」になってしまったのです。
みんな死んでしまった。
そんな喪失感が
書き残しておきたいもろもろとなって
時代区分も記憶順も関係なく
徒然なるままに書かれたのでしょう。
おかげでわたしたち読者は
とても素晴らしい芸能史や芸能人の人生観など
読むことができて幸せです。

とはいえトットちゃん自身も82歳。
何時どうなっても不思議ではない年齢です。
しかしまだまだどうか衰えず
書いて喋っていっていただきたいと思います。
「トットてれび」にでてくる徹子さんは
なんともキュートな無表情おばあさんを演じていますが
これがまたいい。
(もちろん主演の満島ひかりさんは最高です!!)
喜劇役者としての本領が
遺憾なく発揮されていると思って
毎週楽しんでいます。
この本を読んだので
次はどのエピソードが出てくるか、また
楽しみが増えました。
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2016年06月06日

能町みね子(能スポ」(講談社文庫)

題名は「能町みね子のときめきデートスポット」の略称。
ふざけているような気もしますが
大真面目な本です。

能町さんは「久保みねヒャダ」の番組で
知りました。
元男性で性同一障害だったらしく
性転換なさったようです。
(詳しくは知らない。知る必要もない)
東大卒のインテリさんです。
肩書きは漫画家だったりエッセイストだったり、
物書きであり喋りも利く才女です。
タモリさんたちとも組んでいるようで
「ヨルタモリ」にもいらっしゃいましたね。

「死にそうな」場所で「無名」で「へり」を探し
なかなかな面白い場所をルポしています。
可愛いイラスト=能町作が、小粋でよろしいです。
ラインナップとして
西高島平、台東区の吉原に静岡の吉原、
茨城の入地、鶴見線沿線、TDL以外の舞浜、
日野に野田、アルタ裏、上中里に田端、
武州長瀬、豊島区の東長崎、横浜の中村町、
辰巳と枝川、羽田。
おまけにJR岩泉線(現在廃線)一日全駅制覇。
この岩泉線のくだりがじんわりします。
旅とはこうであれという見本。
テレ東の旅番組にも通じるまったりさと必死さが
なんとも読んでいて楽しかったし
こう言う旅は、もう年食った今は難しい、
羨ましいとも思いました。

文章は正直それほどお上手ではないけれど
人柄がにじみ出る温かさがよかったです。
事件らしい事件もなく
美味しい店が出るわけでもなく
当たり前の人々がそこに暮らしている
その描写だけです。
それがまたいい。

能町さんの現場を拝見したいと思います。
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2016年06月01日

小玉武「「洋酒天国」とその時代」(ちくま文庫)

「洋酒天国」、むかーし親父が持ってきた記憶がある。
多分飲み屋においてあったそれをもってきたんだろう。
トリスも、うちにあった。
母親がほぼアル中だったので私は買出しにも出た。
ダルマ瓶も知っている。
私も若い頃飲んだ。
でもニッカのほうが好きだった。
ビールもエビス派だし
結局サントリーの商品はそんなに好きじゃない。
しかし、CMは別だし
美術館やホールなど
文化事業におけるサントリーは出色。
アンクルトリスは可愛い。

開高健や山口瞳を輩出したサントリー=寿屋は
わかっていた。
作家としての両名はそんなに好きじゃない。
ただ「洋酒天国」には興味があった。
この本を読んで「アンソロジー洋酒天国」
古本屋に注文してしまった。
いまでいう0円本のはしりである。
飲み屋においておき
ほしい人に頒布する類。
多いときは20万冊刷ったと言うんだから凄い。
いまだとほしいのは、銀座百店(点?だっけ)くらいか。

文化の宝庫としてスノッブの宝庫として
呑み助の宝庫として著名人の宝庫として
そして、いまや歴史と伝統の宝庫として
語り継いでほしい本だ。
印刷文化が生きていた時代、
バーが庶民のものになった時代、
モダニズムの旗手として息づいていた時代。
ちょっと憧れる。
そのとき私はまだ子供だったから。
あれですね、大正文化に憧れるのとほぼ同等。

1902年から1912年に生まれた人々、
筆者いわく、清水俊二、植草甚一、淀川長治、双葉十三郎、
大宅壮一、小津安二郎、黒澤明、太宰治、坂口安吾、等々。
彼らが円熟期に「洋酒天国」は生まれたし書かれた。

本書で扱われる面面。
開高、山口、柳原良平、植草、薩摩治郎八、埴谷雄高、
そして山本周五郎にサントリーの人々、天野祐吉、
そりゃ、私好みですわ。

では「洋酒天国」届くのを楽しみにしています。
(本は今積ん読がいっぱいなくせに)

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2016年05月24日

古今亭志ん生「びんぼう自慢」(ちくま文庫)

原体験のない名落語家志ん生の本、
前回読んだ「なめくじ艦隊」とほぼ同工異曲。

16回も改名し、夜逃げ同然で家賃踏み倒して
引越しを繰り返した志ん生師匠。
奥さんなくしてはここまで大成しなかったこと、
戦争中に満州で九死に一生を得たこと、
息子志ん朝が跡継ぎになったこと等が
彼を名人にならしめたと再認識。

CDで「火焔太鼓」持っています。
聞いたものの、臨場感には乏しい。
やはり目で見たい、と思ったものです。

ただ「この話3回目!!」なのに
飛ばし読みはしません。
ていうか、できません。
やはり、語り口や表現力が素晴らしいからかと。
ついつい「しってるし」と思うのに
読み進めている。

しかし
明治から昭和初期の噺家の
乱れきった生活に
今は昔の感が。
飲む、打つ、買う、とは
聞くものの
また、うちの父もそうした感があったものの
こんなに金のない生活を
我慢してきた妻に
頭が上がらないのでありました。

そういえば先日
喜多八師匠ががんでお亡くなりになりました。
亡くなる前の落語教育委員会で
「死神」をパロったと聞いています。
落語家って、死をも覚悟して
笑いに変えていく、を体現されたんだと
胸に迫るものがあります。
「笑点」の歌丸さんも引き際を考えて
司会を引退されましたが
これから独演会や高座が目白押しなんです。
死ぬまで現役、をこちらも体現。

やはりしばらく落語の追っかけは
続きそうです。
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2016年05月18日

「らくごころ〜落語心」(ぴあ)

橘蓮ニさんの落語家の写真満載で
買いました。
内容は
「十人のキーパーソンに訊く演芸最前線」です。
ロック雑誌編集者、広瀬和生さん。
鈴本席亭、鈴木寧さん。
北沢タウンホールなどの館長、野際恒寿さん。
落語プロデューサー、木村万里さん。
横浜にぎわい座チーフプロデューサー、布目英一さん。
渋谷らくご主催、米粒写経の1人、サンキュータツオさん。
らくごカフェ代表、青木伸広さん。
東京かわら版編集人、佐藤友美さん。
上方落語作家、小佐田定雄さん。
そして演芸写真家、橘蓮二さん。
おまけで橘さんと歌手さだまさしさんの対談。

桂吉弥さんや瀧川鯉昇師匠やそのお弟子、
立川生志、笑二さん、
古今亭菊之丞師匠、柳家さん喬師匠、
等々、聞くべき方が目白押しになってしまった。
らくごカフェにも一度は行かなきゃだし、
渋谷やシモキタはいささか遠くて(特に渋谷は苦手だ)
敬遠気味だけどやっぱり楽しそうだし
困ったもんだ。

案内書としての機能は素晴らしい。
さすがぴあです。
署名のセンスも光ってますね。
手元において時々橘さんの写真で
ニヤニヤしたい本です。
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2016年05月17日

柳家喬太郎「落語こてんパン」(ちくま文庫)

やっぱ落語はいいです。
喬太郎さんの落語は
まだそんなに聞いていませんが
また聞きたくなりました。
文章もノリもそんなに(正直)面白みはないんですが
照れ屋で正直な人柄がうかがえました。
なんと私よりは少しお若い。
これからの名人ですね。
(ご本人は名人には憧れていないようですが)

ここには
50席の落語についての解説やら評価やらではなく
淡々と紹介されている感じです。
今までに聞いた噺もいくつかありますが
まだまだ落語新参者の私には
聞きたくても聞いていないものもたくさん、
いよいよホールや寄席に行きたくなります。

もともとCDやDVDで噺を聞くのは苦手です。
多分そこに生きてしゃべる噺家さんを見たいからでしょう。
生に限ります。
だから「青菜」のようにやたら聞く噺と
「うどんや」のように聞いてみたくても
縁のない噺もあります。
それもそれ、ご縁だと思って
この先の私の道楽にしていきたいと思っているので
焦りません。
喬太郎師匠は新作も多く手がけていらっしゃるとかで
どちらも興味深い方だと思いました。

噺の情報以外にも
さん喬師匠や入船亭扇辰師匠など
喬太郎さんの近くにいる方など
まだ未見の噺家さんの噺も聞きたくなりました。
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2016年05月13日

坂爪真吾「性風俗のいびつな現場」(ちくま新書)

学校現場でも常々感じることから。
ADHDとかアスペルガーとか自閉症とか
いっぱい今は名前がついて
「特別支援」という名の下、
いわゆる「困った」ちゃんや普通に学習できない子など
昔よりはうんと住みやすくなりました。
学校内部にも今は
支援員、スクールカウンセラー、「○○学級」といわれる
特別支援関係の先生方がびっくりするくらいいます。
それでもやはり毎日支援していただくわけではなく
担任は苦しい日々なことも事実で
昔よりそうした子が増えているんだとも思います。

不思議なことではありますが
学校現場では圧倒的に男児に該当者が多い。
ぶっちゃけ9対1くらいの割合で男児です。

しかるに本書に出てくる軽度発達障害、知識障害は
当然女性であって、潜在的には
女児にも多いのでは?と認識を新たにしました。

東大で上野千鶴子先生にも師事し
風俗は決してなくならない必要悪だと
逃げず述べる潔さは、好ましかった。
落語ではネタの一環に「吉原」は欠かせませんが、
現在とて女性が手っ取り早く稼ぐには風俗だし
男性のニーズは悲しいかな、なくなりそうもない。
文学上でも社会学上でもこうした女性たちが
どれだけ歴史を救い、人類を救ったか。

ここに出てくる風俗は母乳専門店だったり
激安デリヘルだったり熟女店だったりと、
いわば行き場のない最下層の人々の姿です。
しかしオーナーや社長たちの目は温かい。
女性をどこかで救わんとする温かさがある。
さらにそこにソーシャルワーカーや弁護士たちも関わる姿を
何も知らない私たちに知らせてくださってます。
女性軍にも大いに課題や問題はあることも提示し
(自虐、自己否定、泥沼の借金、知恵不足等々)
それでもわれわれの社会がこうした貧困連鎖を
作り出している事実から目を背けないよう示唆します。
稼がねば食えない、女1人生きるすべとして
今昔、性に身をひさぐのであります。

学校同様、救いの手は多いほうがいい。
知恵を授けなければ
生きるすべの選択肢は狭まるばかり。
 
やさしい社会、とは
彼が言う「グレー」でいいと私も思います。
白黒つけるとろくなことはない。
白ばかりなわけなし、黒ばかりの世など悲しすぎる。

最後のクイズがわたしには全く分かりません。
何かスラング的な言葉なのか
識者が好む知ったかぶりの言葉なのか
どちらかだとは思いますが。
一般の性風俗の本には必ずあって
本書には一度も書かなかった言葉は何か
というクイズですが
「ナオン」的な女性蔑視語か
「倫理」的な知ったかぶり語か。

知りたいです。
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2016年05月09日

柴田よしき「シーセッド・ヒーセッド」(講談社文庫)

GW、終わりました。
昨日は小ねことカラオケ三昧。

この作者、いまググったらなんと女性でした。
わたしと同い年だ!!
そうかあ、だからやたらに細部の状況に
共感できたんだなあ。

三浦しをんさんお勧めの小説のひとつ。
三浦さんの本を読まなければ
恐らく一生読むことはなかった作者です。
やはり本の出会いっていいなあ。

正直言って、東さんの小説に比べると
好みとしてはその下になりますが
先ほども書いたように細部で共感ができるので
読んでいて矛盾点やご都合主義もありながら
小気味よく読み進めることができました。
何より主人公の保育園園長探偵、花咲さんが、いい。
暗い過去や、保育園の借金や
冴えないところありつつも、人として
なんともいい人で、嬉しくなります。
新宿の繁華街にある無認可保育園。
様々な人が出入りする雑多な世界。
漫画「深夜食堂」を彷彿とさせます。
憎らしい借金先のやくざ、山内もなんか憎めない。
むかつくけどね。

ビートルズの曲名を捻った題名も
ちょっとダサめで、嫌いじゃないです。
もう一作ぐらい読んでみようと思います。
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2016年04月30日

美濃部美津子「おしまいの噺」(アスペクト)

しをんさん推薦の本、第1冊目。
いやいや、うつくしいはなしでした。
そう、うつくしい、とひらがなで書きたい。
やさしい、でもいい。
あたたかい、でもいい。
無論、ここに描かれているのは多分きれいごと。
しかし、そのきれいごとが、いい。
実際にはたくさんの諍いや面倒ごとがあるはずだけど
それらを超えて、あたたかい。
これは、ひとえに美濃部さんご自身の
人間性ではないかしら。
あるいは、大正昭和のよき時代の
奥床しさの賜物かもしれません。

筆者は、古今亭志ん生の長女。
金原亭馬生、古今亭志ん朝の姉。
池波志乃の伯母でもありますな。

母親(志ん生の奥さん)にきっと似ている。
生活者としてはろくでなしの亭主に
一切文句も言わず、子供に苦労をおしまず
兄弟姉妹仲良く暮らさせた母親の鑑。
ずっと後に生まれた志ん朝(強次)とともに
戦争中、疎開してしまった母親(恐らく溺愛)。
おいていかれた寂しさや不満をものともせず
満州に父親も行ってしまったから
ある意味妹と弟の面倒を見て一家の柱になり
頑張った美津子さん。
戦後に一家が揃ったときには
大喜びできる家族の持つ強さ、あたたかさ。

どうしようもない破綻者の面を持つ父親、
しっかり者の母親、
けれどおそらくそこには裏切らない何かが
あったんでしょうね。
すべてを受け入れる人間としての器。
きっと志ん生師匠は、だから、噺が上手かったんだろう。
そして、志ん朝師匠も不世出の名人になったんだろう。
ただ、話が上手い、だけではない何かを
この美津子さんの文(恐らくは口述筆記)にも
感じました。

噺家の一生、としても
噺家2代記としても
家族の物語、としても
読むに耐える、いい本でした。

美津子さんは現在も存命中で92歳とか。
是非是非長生きして
また何かわたしたちに語りかけてくださったら
うれしいです。

さてGW突入。
昨日出勤日だったので
私はなんと6連休。
一切仕事から離れて好き勝手に生活する予定です。
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2016年04月27日

三浦しをん「三四郎はそれから門を出た」(ポプラ文庫)

もうすぐGW。
混み合う時期、遠出は避けたいです。
東京の商店街など気になる街歩きを
しようかと思案中の私です。

今日は1年生の遠足。
近場ですが45分ほど歩かせ
一杯遊ばせました。

熊本の大地震はまだ予断を許しませんね。
これが東京なら甚大な被害、
熊本の皆さんも本当に休まることがないと
心痛をお察しします。
原発は本当に稼動全部中止してほしい。

さて、本書からインスパイアされた本を
早速購入。
なかなかに三浦さんは渋好みで
私も本好きですが足元にも及ばぬ読書量で
ここに掲載されている本のほとんどは
未読のものばかりでした。

本の紹介も結構ありますが
軽いエッセイも含み
厳密には書評書というよりはエッセイ集です。
三浦さんは恋愛には無縁?のようで
風呂にも3日入らずにすみ
本にまみれた部屋で
暇さえあれば読書を楽しむ方のようです。
家族と同居し
お母様もなかなかにユニークな方のようですし
弟さんも(やや引きこもり気味のご様子)
三浦さんをブタさんと呼び習わし
仲のよい感じがしていいなあと思います。
無論、そんなきれいごとではすまない
もろもろもおありでしょうが
私は好きな家族の形態です。

想像力を駆使して
女友達を大切にして
漫画中心?に日々読書で研鑽を積む
素敵な方ですね。

彼女がお勧めの本を
この先少し読んでいきたいと思います。
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2016年04月22日

内田百陲百鬼園随筆」(新潮文庫)

ぶっちゃけます。
読み終わるのが苦痛でした。
きっと好きな方は好きなんだと思います。
文章も晦渋があって明瞭にして不明瞭、
ついついその独特な世界観に惹きこまれる、
そんなタイプの楽しさは素晴らしいです。
しかし、私はダメです。
好みの問題であって
その文章力は脱帽です。

借金をして
法政大学でドイツ語の教授をし
博学にして孤高、
世に媚びず、自分のルールで生きる。

ダメだ。
面白いと思えない。
残念です。

そもそも忙しすぎて
じっくり文章を味わう時期ではなかった。
楽しいけれどとにかく忙しい。
一方で
昨年度育て上げた現2年生の担任が
突如病休!!
合わない、疲れた、精神がダメ・・・・・。
だって相談に乗るっていったのに。
大変なクラスをここまで仕上げたのに
もうダメって、あんた、まだ新学期始まって2週間だよ。
たかだか2年生だよ。
わたしに会うとニコニコ手を振る子どもたちだよ。
きっちり自分のものにしなよ。
何なんだよ、壊すなよ。

そういう心境だったので
余計、・・・・・・かもしれません。
また次回はきちんと書きます。
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2016年04月16日

津野海太郎「花森安治伝」(新潮文庫)

本日は職場の歓送迎会。
温かででフランクな会となりました。
しかし私はどうもこういう会が得意ではない。
得意そうに見えるようですが
実は大集団で群れるのは好きではないのです。
ですから一次会でさよなら。
昔からビールを注ぎまわるのも嫌い。
不特定多数と「どーもどーも」も嫌い。
実は教師がよく言う「子供が大好き」というのも
わたしには当てはまらないらしい。
それなのにここまで勤めているのも
自分の中の七不思議です。

昨日は熊本で震度7という大きな地震。
津波がなくて本当によかった。
死者もあり、倒壊もありで失礼な言い方かもしれませんが
まずは津波がなくてよかった。
久々の揺れまくる映像をTVで見て
肝を冷やしました。

「とと姉ちゃん」なる連ドラが人気のようで
かの「暮しの手帖」の大橋鎮子さんのお話のようで
それに便乗した本のように帯には書かれていますが
私はそれと無縁に
単に花森という男性の生き様に興味を持って
本書を読みました。
大橋さんの本も以前に読んでいますし
「暮しの手帖」は実際好きですし
その中のコラム「すてきなあなた」はいつも
上品なエッセイで好きでした。

しかしなにより「暮しの手帖」の巻頭文、
花森さんの手になる字体と言葉が好きでした。

本書を読み知っていたこと
(戦時中は大政翼賛会の一員だったことなど)
も含め、花森さんがどんな人だったか
楽しい堅苦しくない文体で
緻密な研究で調べ上げ
(何しろ花森さん自身、自分のことは
語りたがらなかった人のようです)
読み物としても感じのよい作品になっています。

頑固者で
女装したりする奇矯な趣味もあり
こわもてのお顔で
一本気で
戦争に加担したことを強く悔いて
(ぜいたくは敵だ、は花森さんの作)
スポンサーを一切つけずに「暮しの手帖」を発刊し
自由に製品テストをして
「生活に役立つ本物」を消費者に提示し続けました。
ワンマンで
がむしゃらで
やんちゃで
徹底的で
仕事熱心で
執着心は人一倍、
大正の空気の中で育ち
昭和の高度成長まで見続けた
名物雑誌編集者といえるでしょう。
むずかしいことをやさしく、とは
まるで井上ひさしさんと同じ。

現在マスコミ統制がしかれ
真実がわたしたちまで届かなくなって
こうした気骨のある編集者がいなくなり
(筑紫哲也さんまででしょうか?)
「センテンススプリング」と揶揄されて
喜ぶ芸能情報誌に成り下がった男性週刊誌には
今や政治批判は消えて
エログロやゲスな芸能関係者の不倫やクスリ情報で
コメを買う記者や編集者が増大中です。

むずかしいことをやさしく伝えてください。
現在「週刊金曜日」の読者ですが
好きな雑誌ではあれど
難しいことが難しいままなことが
気になっています。

花森さんがなくなって久しいですが
今再びのこうした編集者が出てほしいと
願うばかりです。

そう
人は間違うのです。
間違うからこそ
学ぶのですし、考えて次を工夫するはずです。

今回の地震も
起きてしまったことからまた再び
災害を最小限に食い止めるべき方策を
国に期待したいものですが
原発なんてもってのほか、ということが
言いにくい世の中って何でしょうか。
沖縄は、いったいいつ
アメリカの呪縛から自由になるのでしょうか。

等々、ちょっぴりまじめに
考えたくなるきっかけをいただいた本でした、

ところで入学式からたった7日、
たくさんのことを1年生に教え
教師も子供たちも溺れそうになりながら
微笑んで「はじめの一歩」を刻んでおります。
笑顔、大切です。
手放しで子供が可愛いと思ったことはありませんが
笑顔を共有できる
その喜びで私はこの仕事を
不向きなまま30年以上も
続けているのかな、と
今、思いました。
posted by 大ねこ at 00:03| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書の記録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする