2015年12月28日

鶴見俊輔・関川夏央「日本人は何を捨ててきたのか 思想家・鶴見俊輔の肉声」(ちくま学芸文庫)

いわゆる「難しい」ところは読み飛ばす。
なんとなく鶴見俊輔、という存在が好きだった。
べ平蓮、9条の会、話し方が穏やかで皮肉っぽく可愛い。
それくらいの知識でしかなかった。
平和主義者の一人として90過ぎて亡くなった
このおじいちゃんが、どんな人だったか、
少し分かってもっと好きになった。
でも、だからといって小難しいことは分からないけどね。
鶴見じいちゃんなら、それでも許してくれそうだ。
そんな庶民感が伝わる本でもあった。

「自分が悪人であることが受け皿だった」
著名なお父様と非常に厳しそうなお母様の間に生まれ、
非行少年として育った自分の原罪意識。
万引き、恐喝、早熟な女性関係、ありとあらゆる悪を
10代で終わらせ、アメリカに渡り小卒のままハーバード大学卒業。
自殺未遂もし、カリエスに冒されているのに召集。
戦争の愚かさも体験し、戦後、「知識人」として生きていく。
裏にある「悪人意識」にさいなまれつつ、
だからこそまっとうに生きていくことができた、とのこと。

関川「鶴見さんの尻尾ってどこなんですか」
鶴見「鬱病です。・・・十二歳のときから十五ぐらいまで鬱病。
   それから二十九歳のときと三十八歳のとき。
   三回鬱病がでている」
うーむ。
そうだったのか。
人に歴史アリだ。

倫理の問題はその時代、その状況によってせめぎ合って
選択されるものだ、その一つの表現として
漫画「寄生獣」を評価していたりもする。
マンガもしっかり読んでいる評論家は信頼できる。

いしいひさいち、高橋源一郎、井上ひさし、
寺山修司、大衆演芸、連歌、俳句、なんでもござれじゃ。

ちなみに「ひょっこりひょうたん島」は
死んだこどもたちの物語だと井上自身が言っているらしい。
おお、そうか。
だったらこの間見た串田版の演劇も意味が分かった。
そうか、そういうことだったか。
さすが串田和美。改めて感動した。
ダンディが死んだのは、
やっとこども側に戻ったちゅうことだ。
これは蛇足。

そしてこういう雑駁な知識人が
昨今減っていて
面倒くさい大人か、軽々しい大人か
大人も二極化しています。
この鶴見じいさんも筑紫哲也さんも
かっこよかったな。
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2015年12月23日

三遊亭白鳥「ギンギラ★落語ボーイ」(論創社)

この発行。どこだ?この会社。
なんというセンスのない題名だ。
この不思議な名前の作者は誰だ?
何でこのおばさんはこんな題の本を読むんだ?

という
?マーク満載でスタートしたくなる。
今年又吉直樹さんの「火花」がえらい人気でしたが
この本もいわば芸人が書いた
自分たちのしんどい思いの一種の私小説です。
「火花」、読みましたが
文芸臭と芸人臭があいまった芸人小説でした。
正直に言います。
この本、悪くないです。
「火花」、芥川賞とるなら
この本は落語家が選ぶ小説ベストテンぐらいには
十分入れる小説でした。
ただ題が・・・。
あまりにダサいな。

銀月亭ピョン太なる白鳥の生き写しが
白鳥もしたであろう苦労や
白鳥もしたであろうしくじりや
白鳥も必ずしたであろう失恋もどきや
白鳥は決してしなかったであろう拉致事件など
結構マジメな落語家下積み小説として
冗談交じりの軽い文体でしっかり書かれています。
青春小説としては後味も悪くなく
読み飽きることもなく
リアルとエエ〜?がない交ぜで楽しかった。
ピョン太の先輩格のハチャメチャあひる師匠の
あったかい愛情を感じるお馬鹿な言動は
「火花」のあの先輩よりうんと愛すべき存在でいい。
ピョン太の師匠は(本当の白鳥の師匠は円丈)
落語家の師匠然としていて、いい。
ピョン太を鍛える人々
1 美人席亭の涼子、「オナニーみたいな落語してんじゃないわよ!」
 笑える。いい女だ。
2 赤達磨(ピョン太とあひるがいく古臭い居酒屋)の親父さん。
 めっちゃいい人。
3 老人ホーム的な「憩いの家」(赤達磨の親父の紹介)の
 往年のイケイケ老人たちのピョン太への修行の数々。
4 池袋西口芸術劇場の公園で露天落語していたときに
 拉致して「わたしを笑わせろ!」とのたまった黄ばあさん。
 (ここのくだりは余りに破天荒で無理が一杯)
などなど
いい人たちが一杯。
プライドだけが先行していたピョン太が
一人の落語家(大人)になっていく様がいい。

白鳥さんの「トキそば」聞きましたが
この頃できたことも判明。
座布団、こねますもんね。
故郷佐渡、実は大好きなんだろうな。

今後またきちんと白鳥さん、聞いてみましょう。
(ちょっと自分好みではない)
(でも、人となりは多分好き。)
この本を読んでちょっぴりファンになりました。
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2015年12月18日

立川談春「赤めだか」(扶桑社)

文庫になってたんですね、う〜〜〜ん。
古本屋さんで700円だったから買ったんです。
気にはなっていたけど、どうすっかな〜っていう本。
でもいよいよテレビドラマやるっていうし
今が読み時かなと。

中卒で
談志の落語聴いて
入門して
新聞配達しながら落語を覚え
志らくと出会い
先輩諸氏に可愛がられたり脅かされたり。
そのうち魚河岸で働かされたり
50席覚えないと二つ目になれない制度で
必死に学び
一方で競艇にもはまり
やっと認められ
志らくが先に真打になり
じゃあ自分は、となった時
談志が破門された小さんを招いての
(花緑に頼んで)
真打昇進を果たし
ほんのちょっと談志に恩返しした気分のところで
終わる、「エッセイ」らしい。

あ、小説じゃないんだ、と
読み終わって気付く愚かな読者でした。

いや、面白かった。
談志のくだりももちろん楽しい。
でも、前座、二つ目の苦労話が何よりも面白い。
さすが談春、あの喋りのセンスがまんま文章です。
ちっちゃい赤めだかが
大きな鯉になった談春。
今じゃ本当にチケットもまともに手に入れられない。

何よりも今更
談志のCDを聴いてみたくなった。
でもそれは老後の楽しみにしよう。
だってライブで絶対聴けないんだもの。
談春、また行こうかな。
人となりが結構やっぱり、いいな。
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2015年12月14日

広瀬和生「この落語家を聴け」(集英社文庫)

月一回は聴きにいきたいのですが
なかなかな今の自分にとって
こういう指南書はありがたいのです。
特に、古い落語家の昔はよかった的な
評論よりは、ライブ感のあるこの手の本が
実にありがたいです。
とりわけ筆者はヘビメタ本の編集者で
落語評論家ではないあたり
ファン目線で、しかもロック評論的な
ノリのよさ(言い換えれば感情的でどれもいいみたいな)
が、むしろ素人にはいい感じです。

で、筆者のおススメは・・・
談志(死んだ)
小三治(大好き)
志の輔(チケットが取れない)
談春(ドラマでてる場合じゃない)
志らく(一度聴きにいきたい。狂気ありらしい)
談笑(古典の再構築を狙っているらしい)

市馬(本格派。お正月も2月も聴きに行く予定)
喬太郎(気になっています。一度聴いて印象的)
志ん輔(よく知らない)
喜多八(気になる。うまいです。新作もよくやる)
文左衛門(この間聴いた。それほど印象がない)
白鳥(不思議な存在感。気にはなっている。本買った)
彦いち(武闘派的な。力強かった)
白酒(うまい。好き。また行きたい)
三三(もちろん大好き)
歌武蔵(寄席で一回見て気になっている人)
鯉昇(まだ知らない)
菊之丞(イケメンですね。
    聴いてみたい。鈴本でトリ取ってる)
扇辰(知らない)
一琴(知らない)

昇太
たい平
小朝
花録(いいなあ。好き)
権太楼(いいよ、いいおじさん。好き)
扇遊(知らない)

そしてあとがきで補遺状態で
兼好、一之輔がやっと出てくる。

まだまだこれからです。
でも多分私は本格派が好き臭いです。
理屈っぽいのは苦手かも。
ただでさえ日常理屈っぽく生きているので
ライブくらいはゆったり噺の世界に
浸りたいと思っています。
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2015年12月07日

近藤正高「タモリと戦後ニッポン」(講談社現代新書)

78年生まれの気鋭?評論家でしょうか。
クイックジャパン等に書かれており
ネット系でも盛んに書いておられるよう。
私は初めて知った方です。

本書もやはり、というべきか
タモリ側の発言は無く
(昔の引用は多数あれど)
んん、まあそうだよね、考察の一種だよね。

いやいや、悪く無かったです。
しっかり読ませていただきました。
タモリのアルバム、聞きたくなりまして
アマゾンで確かめると3は8800円!!
価値はアリと感じていますが、んん。
そんな気持ちになる出だし。
ウォーホールとの類似性
(キャンベルの絵のように当たり前を歪曲すると楽しいノリ)
音楽に意味を感じないほうがいい感性
(だからジャズに行き着き聞きまくる)
師匠につくことなく可愛がられて気づいたらスター
(才能ももちろん、にしても、パトロンのよさ)
さらにそこに時代がついてきた。
(戦後すぐ生まれの彼には天性の運があった?というノリ)
レコードもなんとユーミンらのあのアルファが。
才能の豊かさも分かるけど
玄人ウケというか、拾う人の質が高い。
食客として赤塚不二夫の家に居候、
しかも居候道をつきぬけお礼の一つもないどころか
すべてにおいて図々しく振る舞い
それがまた赤塚に惚れられたという
常識では考えられない青春時代。
30からの転進でここまで来た彼は
三島の言い方を借りれば
まさに
時代と寝た男、だろうな。

カラオケはバーの人間関係をズタズタにしたから嫌い。
「笑っていいとも!」が30年以上続いたのも
時代が新しいものではなく焼き直しの時代になったから
というくだりは、妙に納得した。

肝心のタモリさん自身は
きっとノーコメントだろうし
そういう評論の類からは最も遠い位置で
生きてきているんだと思う。

まあ、そんなこんなで
時代を考えるのにいい本でもありましたが
肝心のタモリ論としては
やはり本人不在の本なので
片手落ちの感は否めませんでした。
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2015年12月03日

伊坂幸太郎「陽気なギャングは三つ数えろ」(祥伝社)

多分伊坂作品で一番力を抜きつつ
エンタメ的には最良の小説群の新作。
もう前作から9年経つんですね。
お喋り空気読めない蝶野を筆頭に
動物ヲタ、スリ名人、体内時計の正確さ抜群の
久遠、成瀬、雪子、みんなかわいい。
最初の強盗から悪党火尻記者を追い込むストーリー。
悪党が悪党を追い込む様が
往年の名作、映画の「スティング」を彷彿とさせます。
さらに悪党のカジノハウスが出てきて
そこのリーダーがおばあちゃんの飼っていた亀を
何よりも大切にしているというオチが
なんとも他愛なくかわいい。

全体がとにかく悪党どもの寄り集まりなのに
その根底にある優しさや正義感が
読み手をニヤつかせる仕組みになっています。

だからどうって言う感想はないんですが
読むのがとにかく楽しい
伊坂ワールドを堪能しました。

また響野を佐藤浩市で映画化してくれないかな。
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2015年11月28日

立川談四楼「談志が死んだ」(新潮文庫)

う〜〜〜んと。
立川談志は、好きじゃない。
どんなに四方八方で評価され褒められても
私には生理的に無理。
声も嫌い。態度も嫌い。人として嫌い。
この本を読んでもっと嫌い。

作者は筆頭弟子で
立川流が独立することになった
真打騒動のきっかけになった
その本人らしい。
立川流は物書きでなければならないらしいが
この方は小説家としても有名らしい。
解説でも何故か「これは小説だ」と力説しているが
私にはノンフィクションとしてしか読めなかった。
だって
弟子と師匠の話で実名だぜ。
これを小説として読め、虚実皮膜だ!と叫ばれても
わがままな師匠が死んだから
思ってること書いてやったぜ!
近親憎悪だ、腹いせだ、あの野郎、でも好きだ!
って言ってるとしか思えない。

上納金とってやんちゃして芸のためなら
人を糞味噌にしていい、と理不尽を言い放つ、
私には分からん。

壊れていく師匠の状況を事細かに書き
その死後の顛末を記しつつ
ちょいちょい自分の歴史もはさみつつ
人として変な人ばかりの噺家仲間エピソードが入る。
同じ立川流でも
志の輔や談春のことはごく控えめで
売れている人には配慮か?と深読みしてしまう。

私の大好きな同僚の先輩で
落語聞きとしては私の大師匠の方に
お勧めの噺家を教えてもらっていますが
少なくともこの作者に花丸は付いてなかった。
(立川流では談春、談笑、志らく、生志が花丸)

私小説を地でいくならまあありかもですが
私には不要な本でした。
落語家のゴシップとして受け取りました。
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2015年11月24日

広瀬和生「「落語家」という生き方」(講談社)

最初に三三。
まじめ。噺家の鏡的存在(に、なるであろう器)。
勉強熱心。たくさんの噺をものにし、
新作にも(まだ聞いたことがない!)チャレンジ、
なんと白鳥さんとも親しいらしい。
熱い。
好き!

次が一之輔。
声がでかい分体も大きい、態度もそこそこでかい。
喋って食っていけることに誇りを持っている。
発展途上でありながら熱い。
イケメン。
まあまあ好き。
ちょっと暑苦しいところが苦手。

白酒。
私の中で最も落語家然としている存在。
先日のスキップで聞いた裁き物が
いまだに印象に残っている。
上手いなあ、と再認識した。
勉強している姿を見せない、
けれどものすごい努力家な気がする。
やはり熱い。そして好き。

兼好。
気になるおじさん。
どの噺も聞いていて安心する。
でも脱サラして「なんとなく」噺家になった的な
発言や、自分の好きなものをやりたい、
暗いのはいやだ、人情ものは好かん、など
物議をかもしそうな発言がまたいい。
不真面目を装い、飄々と、
しかし内面には熱いものを秘めた人。
社会の荒波も知っているから
噺家然とするのがいやなんだと見た。
好き。

最後が白鳥。
新作を演じる、賢そうではないフリをしつつ
新作をバンバン出すあたり
また、女流落語家をおしているあたり
なかなかに風雲児(っていってももういい年)で
主流からは離れて、それでもややアバンギャルドに
攻めの落語に徹していると見た。
円丈師匠の弟子だしな。
1席しか聞いていないので
(それでも覚えているんだからインパクトは強い)
好き嫌いは難しいが
ちょっと聞いていきたい落語家だ。
熱い、きっと熱い。

ということで
好きな人、気になる人満載なので
買った本。
広瀬さんのインタビューは上手くはないが
人選がいい。
気になる人がかぶっていて嬉しい。

よ〜し、また聞きにいくぞ。
ていうか
とても聞きたくなってきた。
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2015年11月20日

三浦しをん「ふむふむ おしえて、お仕事!」(新潮社)

靴職人(手作り工房)
ビール職人(サントリー)
染織家(個人)
活版技師(朗文堂)
女流義太夫三味線
漫画アシスタント
コーディネーター(芸能人系)
動物園飼育係
フィギュア企画開発(バンダイ)
現場監督(前田建設)
ウエイトリフティング選手
お土産屋
編集者(徳間書店)

実にいろいろな仕事があるもんだ。
多少のことでめげている場合ではない。
多くの女性が多くの生き方をして
多くの職種で生きている。
何も知らないことのほうが相変わらず多い。
だから本を読む。
へええええ、と納得しながら読む。
これも見知らぬ何かとのつながりを
実は渇望しているのだと気づく。
そんな本だった。
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2015年11月17日

東直己「探偵ホウカン事件日誌」(光文社文庫)

ホウカン=幇間=主人公の探偵、法間(ホウカン)。
お世辞が巧みで、人をそらさない性格。
弁舌さわやかに人の心に入り込む。
しかしその裏にある観察眼や鼻のよさは絶品。
犯人も被害者も、そのお世辞に心地よくなり
ついつい心を許していく様が
読んでいて面白いです。

高級品についての造詣は抜群で
そのくせ自分は借金だらけでその日暮し。
時々舞い込む仕事で食いつなぐが
何のかんの言っても周囲は仕事をくれている。
800円の履きつぶした靴で歩き
高級セレブのワインやらアロハシャツやら
犬やら財布やらネクタイやら時計を当てまくる。
カクテルの造詣も深く、おもろいおっさんや〜。

事件は各種あって
殺人もあり、悲しい人を救うあり、
マルチ商法から、覚醒剤まで津々浦々。

これもできたらシリーズ化してほしいな。
こんな探偵さんなら会ってみたいよ。
ところで珍しく設定の場所が北海道じゃないっぽい。
薪谷市、北関東らしいが、住所に四条二丁目みたいにあって
これじゃ北海道の区画じゃんと、ちょっと突っ込みます。


追記。
フランスでのテロ事件。驚きました。
許されざることです。
悲しみにくれるパリに合掌です。
しかし、報復に意味はない。
ISには制裁が必要でしょうが
戦争を仕掛けてくる者たちに煽られて
し返してはなりません。
さすれば、またもや犠牲者は増える。
思う壺になってしまう。
でも、だからといって手をこまねいてもいられない。

とりあえず私は
「国境なき医師団」に寄付を明日します。
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2015年11月13日

伊坂幸太郎「アイネクライネナハトムジーク」(幻冬舎)

ハードカバーで購入したのは
もちろん先回読んだ「絆の話」の余波です。
斉藤さんの歌になった「ベリーベリーストロング」だけでは
申し訳ないので、原作も読むことに。

ああ、確かにあの歌はこの本が基ですな。
街頭アンケート、それは先輩がデスク蹴っ飛ばしたから。
彼女の指にメモ書きのシャンプー。
ヘビー級のボクシング。
あの歌は伊坂ワールドだったのねえ、と
感慨深いです。

続きはいつもどおりの伊坂さん。
連綿と続く人の関係=絆の話。
ライトヘビー級チャンピオン小野さんの話、
好きだなあ。
いやな人を撃退する方法が
「この人のお父さんがどういう人か分かってて
そのような仕打ちをするんですね」という奴。
これは使えますね。

人はまた人とつながっていく。
柔らかな絹糸のような
緩やかなつながり。
いいね。

やはり伊坂さんの書く小説は
好きです。
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2015年11月09日

井上ひさし「本の運命」(文春文庫)

本日2つ目のアップ。
病院で1日を過ごしたので
本が読める読める。

これは井上さんらしい本を愛する人の
読書指南。
13万冊の蔵書があって
生存中に山形川西町の農村生活改善センターに
本を寄贈、図書館にしたいきさつも
しっかり書いてありました。
遅筆堂文庫。行ってみたいです。

幼少時から本が身近にあり
お父様も大衆小説家を目指していたとか。
社会運動もしっかりなさっていて
井上さんはその足跡、お父様がなし得なかったことを
すべてなさったんだなと思いました。
高校時代には
図書室の本を全部読破しようと宣言したり
地元に来た映画をすべて見ようとしたり
なかなかに「やりおるのう」と言いたくなるような
ナイスなはみ出し青春時代を送っておられることも
知りました。

じじばばのくだらない作り話や
親の寝物語などなくなって久しいこの時代
「世の中が子供をお話から遠ざけるような
社会構造になってしまった。これは子供だけじゃなくて、
大人も同じことかもしれませんね」
と、見切っていらっしゃいます。

読書感想文は諸悪の根源、とも言い切ってくださいます。
全く同感です。
私自身も感想文は大嫌いでしたし
今の教え子たちにも進んで書かせたいとは思いません。
主題を聞いたり、作者の意図を忖度はさせますが
どう思ったかなど、あまり意味を感じません。
いわく
「感想ではなくて、「何が見えるのか」、「何が書いて
あるのか」という、自分が観察したことをそのまま
分掌で表す練習が大切でしょう」
同感同感。

働き方や職住分離型の日本を批判し
だから文化が根付かないことにも気づいています。
本を読むのは通勤時のみ、
コンサートやライブに行くのは結構仕事との関係で
節制する日本。ドレスアップしていくなんて
今の日本には考えられない。
「本とか演劇とか、コンサートとか美術館とか、
そういったものを、われわれの生活の装置として
抱え込む都市、あるいは住み方の構造をつくらないと
いけないと思うんです」
ああああ、その通り!!!!

最後に自分の覚書としても書いておきたい
「井上式 本の読み方十箇条」
1 オッと思ったら赤鉛筆
2 索引は自分で作る
3 本は手が記憶する(電子ブックじゃダメ絶対)
4 本は(最初のほうを)ゆっくり読むと、速く読める
5 目次を睨むべし
6 大部な事典はバラバラにしよう
7 栞は一本とは限らない
8 個人全集をまとめ読み
9 ツンドクにも効用がある
10 戯曲は配役をして読む

使えます。
是非子供たちにも伝えたい。
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「伊坂幸太郎×斉藤和義 絆の話」(講談社)

伊坂さんと和義さんの対談
&それぞれのプロフィール本
私は両方とも好きなので、お得でした。

伊坂さんが和義さんの
「幸福な夕食、退屈な朝食」を聞き
会社を辞めて作家一筋になったのは
有名な話。
ただ、そのタイミングは知らなかった。
全く無名の頃ではなくて
ある程度作家として立てる目処が
あった頃とわかり、曲はドラマではなく
きっかけだったんだとわかりました。

対談のキモは
「アイネクライネ」と「ベリーベリーストロング」の
つながりでした。
伊坂さんの小説を元にして作った曲 、
偶然ではなく企画ありきのようです。
まあ売れてる2人ですから、
何があっても不思議ではなく
それぞれ大人の都合もあって
できた事かも知れません。
ただ、そうした諸々を感じさせない
それらを超える仕事をする2人が
私は好きなので、安心しました!

職人2人が、感じていた通りの2人で
これからも好きでいたいと思いました。
この対談から今は10年以上経ち、
和義さんは間もなく50歳、
新譜「風の果てまで」聴きました。
オッサン臭さがよい意味で増えて
私は、いい歳の取り方してるなと
うれしく思います。
コンサートチケット、もちろんゲットしております。
伊坂さんも「グラスホッパー」映画化で
また世間を騒がしています。

これからも楽しみぢゃ!
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2015年11月05日

絲山秋子「不愉快な本の続編」(新潮文庫)

日本各地とモノローグ、
どっちかというと困った人たちを
描く人なのかな、という印象。
「逃亡くそたわけ」とこの作品と2作しか読んでないけど、
インパクトはあります。

献辞としてカミユの「異邦人」を引用しているので
そういう話かと思いましたら
そういう話でした。
悪いことばっかりしてきました、
人を信じることはできません、
出自にも問題はあります、
変態性癖アリ、布フェチ、
フランス行くくらいだからとりあえずはインテリ、
それでも人を愛したことはあり、
泥棒の女を解放してしまう人の良さもあり、
借金を踏み倒されてもなんだか興味もなく、
そんな男の不愉快な物語です。

純文学から遠く離れてしまっている自分には
(10代から30代までは妙に文学少女、娘でしたが)
ふーむ、という感じです。
悪くないです。
モノローグの形をとっているので読みやすい。
でもだからなんだ、という感じ。
言葉遊び、思考遊びの域を出ず、
人生遊びを楽しんでいて、ちょっとだけ
社会性もなくはない、という
この手の小説は
ま、年くった自分には
好んで何冊も読む類ではないかなと。
作者の知性や発想力には才能は感じています。
うん、嫌いじゃない。
カミユ、好きだったしね。
すべては太陽のせい。
ああ、言ってみたいな、その台詞。
死ぬ前のベッドで言ってみようかな。
人生なんて、すべて太陽のせいだぜ、なんてね。

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2015年11月03日

東直己「札幌方面中央警察署南支署 誇りあれ」(双葉文庫)

小さな小さな警察の支署が
中央の癒着に対し反旗を翻す話。
にしては、とても地味で地味で
決してベストセラーになり得ない内容。
こまごまとした
警察がやる調査や実地検分。
そのこまごまが面白い。
人がそこに息づいて
生きる為にやらかすあれこれ。

東さんはもちろん「正義派」で
世の不正を嫌っているはずだが
それ以上に
人のあれこれが好きで
その中には不正もあるわな、と達観しつつ
それでも「ならぬものはならぬ」と
ぶった斬りたい思い止まず
こうした小説を書いているのだと思う。

キゼツこと康晴と(若い若い刑事)上司の早矢仕が
淡々としていていい。
ふつうの刑事たちが、きっと本当にこんな風に
仕事したら、日本はもっと住みやすくなるだろうし
きっと多くの刑事たちはこうした活動を
実際したいのだろうと思う。
(そして多分、多くの刑事たちは実際やっているだろう)
ただ、それ以上に「巨悪」が少数でも規模が大きく
地道な人々が吹っ飛ぶ巨大さなんだとも思う。

この話は、北海道の架空の小さな村の町長が
襲撃される話。
その町に巨大な産廃を建設するべく
多くの利権が動き、そこに警察本部も絡むという構図。
南支署は「良心」と「正義」をもって
こけつまろびつしつつ、ある一定の成果に辿り着く
(ラスト数ページで!!)話。
そこにキゼツがしたことがきちんと生かされる。
猫だよ、猫。猫の世話。
ちょっと細かすぎて笑っちゃう。
別件逮捕って言う手は、思いつかなかったな。

面白かった。
結末よりプロセスを楽しむ東小説は
憩いのひと時で、後味も悪くない。

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2015年10月24日

銀座百店編「銀座24の物語」(文春文庫)

銀座は大好き。
東京の街で一番好き。
高いけど、本物が見られるから好き。

この短編集には
店を経営している人も
通りで出会って結婚した人も
穴に落ちた人も
画廊の人も
観劇帰りの人も
バーに寄る人も
映画を見に行く人も
美味しいものを食べに行く人も
コーヒーを飲む人も
赤いコートを着る人も
働いている人も
待ち合わせをする人も
幸せな人も
不幸な人も
買い物をする人も
懐かしむ人も
たくさん出てきます。
そして
さりげないドラマが生まれている。

確かに
新宿じゃないし
六本木では違うし
まして、渋谷や池袋じゃない。
赤坂も神楽坂も雰囲気はあっても
やはり舞台は銀座であってほしい
そんな話が24個です。

またぶらっとしましょう。
近いうち。
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2015年10月14日

井上ひさし「東慶寺花だより」(文春文庫)

読みごたえあり。
大泉洋と樹木希林の映画も見たくなりました。
サクサク読める本ではない。
さすが井上先生だな。
アジール=聖域である東慶寺。
縁切り寺ではなく駆け込み寺。
離縁を希望する女たちの避難所。
江戸の人生模様をたくさんの書物に学びつつ
四季折々の花と掛け合わせながら
それぞれの人生模様を
ちょっとしたミステリー仕立てで描く短編集。

花に疎い私はそれぞれの花についても
全く読み取れないので
その辺の深読みはパス。
でも花好きな方なら
その奥に託された意味も感じ取られるのでは?
離縁を考える女も15話とも全て違い
本当は愛しているのに、とか
亭主が嫌いなのではなく、とか
仇を討ちたい思い、とか
実に多種多様。
逆に、所謂普通の離婚話はほとんどなく
実際離婚したい人々って
こんなものではないかとも思わされました。

鎌倉東慶寺。
行ってみたくなりました。
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2015年10月06日

魚柄仁之助「食べ方上手だった日本人」(岩波現代文庫)

岩波もこんな面白い(失礼)本出すんだな。
副題が
「よみがえる昭和モダン時代の知恵」
うん。
自分の子供時代もこんなだったかな、と
思う。
冷蔵庫がないんだから
自分の目や舌、鼻で感じ取れ。
調味料は意外と味の素主流(流行)時代。
廃物はなし。
みかんの皮はなんにでも化けたし
米の研ぎ汁はシャンプーになる。
うん。
動物性たんぱく質より野菜。
かさ増ししてうまく食え。
ジュースと称して密造酒まで作るレシピが
主婦の本にも出ている時代。
楽しいなあ。

唯一家事ですきなのが料理、なので
興味しんしんで読みました。
この魚柄先生、いいな。
もう少し読んでみたいです。
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2015年10月02日

大沢在昌「新宿鮫短編集 鮫島の貌」(光文社文庫)

鮫島、いいねえ、
ハードボイルドの雄ですな。

この短編には
両津勘吉も冴場獠も出てきます。
マンガかよ。
でもあまり違和感もなかった。

それ以外は
桃井さん、鮫島の若い頃の話、
鮫島と仙田の話、
他に、短いエピソードなど
さくさく読めましたし面白かったです。

エンターティンメントとしては極上の部類。
やっぱサスペンスはいいなあ。
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2015年09月30日

星野源「働く男」(文春文庫)

激動の9月が終わります。
福山さんが結婚とかで
めでたく幕を閉じる9月ですが
いろいろあったな。

芝居もして、インスト楽曲もかいて
歌も歌って、映画評も書き、
喋るのも好き。
いくつも才能があるようで
自分ではどれも、という感じがしてるらしい。
人見知りや恐怖症のような面もあり
大きな病にも倒れただけに
もう怖いものはない。
どれもそこそこに売れ
人気も一定してきた。
表情の人懐こさから万人に向く面もあり
一方でカルト的なマニアックさや偏向した部分もある。
ある意味マルチタレントで
ある意味器用貧乏。
そこがまた人間臭くていい。
大ファンではないが
チョイファンである。

そんな源くんの
むりくりまとめた一冊。
なので斜め読み。
CDもそんなに聞いてないし
出た映画やドラマも大して見ていない。

その周囲にいる
園子温とか松雄スズキとかが
面白いと感じているわけだから
私も面白いと感じているので
気になって買った。
でも、特筆することもない本でした。
大ファンには嬉しい本ですね。
posted by 大ねこ at 21:26| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書の記録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする