2016年03月03日

小林信彦・荒木経惟「私説東京繁昌記」(ちくま文庫)

そりゃあ小林さんの仕事ですから
皮肉な題名に決まってます。
「町殺し」がテーマ。
アラーキーの写真も
それに沿って
古き悲しき東京の写真が
それはそれはリアルに満載。
氏の生まれた東日本橋(両国)からの
下町風景以上に
山の手といわれる青山から
渋谷、新宿、池袋辺りまでの
批判力は半端ないです。

全然江戸っ子でもない私が
云々することはできませんが
銀座批判より
渋谷批判に重きを置く姿勢に
強く同意してしまう。
「パルコの〈文化戦略〉が
成功したのは、〈田舎者が考える
都会のイメージ〉を強引に
押しすすめて、ためらわなかった
点にある」
「これほど生活者の匂いを欠いた
街も珍しい」
そうなんです。
あまりの人工的なこれでもかモード
うんざりしていきたくない街NO.1です。

「東京のように、何かに
追い立てられるかのように
〈街そのもの〉を消費してゆく
都市は世界にもまれ」
地上げの季節の彼の感想ですが
私は今もそう思います。

路地を歩くとほっとする。
高いビルや複合施設に
何の興味もない。
ちょっとした商店街や
坂の上にあるお店がいい。

人形町、
この間落語で寄りましたが
夜だったせいもあって
何も見ていません。
是非また寄りたい街です。
下北沢は興味がないが
阿佐ヶ谷や高円寺は好き。
普通の人々が息づき
高層の少ない街。
いっそ銀座ならいい。
また「田舎者」の私は
街めぐりをしたいです。
東京の懐の深さも
知っているからです。
何をおいても
文化は確かにあちこちに
根付いているから。
よそ者だからこそ分かる
東京の文化臭は
凄いんですよ、小林さん。
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2016年02月26日

深沢七郎「笛吹川」(講談社文芸文庫)

本日学校は「6年生を祝う会」、まあ
昔の「謝恩会」ってやつですね。
いろいろがんばっていました。
担任ならずとも感動します。
それ以上に裏で働く6年担任。
一番謝恩しなくちゃいけない
はずが、一番忙しい。
変な会ではあります。

深沢七郎、なんて
今の人は知らないんだろうな。
今なら絶対TVにも一杯呼ばれそう。
そういう風変わりなおっさんです。
ミュージシャンでもあり作家、
時に今川焼きも焼いていたな。

本書は武田信玄と勝頼の時代、
山梨は笛吹川(作家の出身地)の
集落の人々の六代記。
生まれては戦いにとられ、死に、
また生んでは死んでいく。
ただその繰り返しの物語。
救いもなければ思索もない、
ただただ淡々と、
この時代の庶民は
こんな生き方しかできなかった
であろう「事実」のような小説。
途中正直少し飽きかけて
しかし何か変化及びドラマが
起きるのでは、と思い読む。
しかし、また永遠のループ。
気づけば終盤、お屋形様が死ぬ。
ただただ翻弄されながら
しかし女たちは気づく。
この愚かしいループに。

英雄、じゃないよな。
やっぱり。
今年の大河「真田丸」、
結局見るのやめました。
きっと見ればはまるってわかってて。
英雄、見なくてイイや。
最近の私はそうなんです。
英雄じゃない、
ドラマなら殺され逝く名もない
大部屋俳優に目がいく。
だったらイイや、っていう。

この読んでう〜むとなる
この小説の奥行きは
小説を越えた何かだと
いささか気が重くなる
読後感でした。
小説ではないが
ルポでもない、
事実でもなかろうが
あまりのリアル。
その時代に居合わせる
幸か不幸か、
生きるとはオマケだと
のたまった七郎さんならでは、
なのかもしれません。
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2016年02月21日

鏑木蓮「賢治の推理手帳U イーハトーブ探偵 山ねこ裁判」(光文社文庫)

昨日、小学校恒例「6年生を送る会」を
実施しました。
各学年の出し物を今年は多様にしたおかげで
非常に盛り上がり
心に残るものになったと
自負しております。
特活主任としてこうした感動が
生まれることが至福であります。

宮沢賢治は、
本当に昔は好きじゃなかった。
けど
この仕事に就き
いよいよ好きになっています。
今年も1年生に「雨ニモマケズ」
暗唱させています。
意味も分からず語感だけで
覚えるのがいい。
やがていつか数人の子が
あんな詩覚えたな、
と懐かしんでくれたり
ちょっと賢治の作品でも
読んでみるかとなったり
してくれたら教師冥利に尽きる
というものです。

本書の魅力は謎解き、ではなく
賢治のたたずまいや
息吹を感じることにあります。
また親友の嘉藤治=カトジの存在の
リアル感にあります。
きっと本当の嘉藤治も
こんなふうに賢治に翻弄され、
でも大好きで
いつもついて回っていたんだろう、
と想像されます。
また、それがウソだとしても
本書のような世界だったと
信じるほうが賢治をもっと
好きになれる気がしてくるのです。

謎のほうもそこそこ「ほほう〜」と
思える仕組みになっていて
納得できますが、
なにしろミステリーを期待する向きには
不向きな本です。
ちょっとした情報だけで
ケンジは解いてしまうからです。
それよりも興味深いのは
事件の発端、原因ですね。
当時の岩手、賢治のいたあの時代だからこそ
起こりうるような事件、だから臨場感があり
ストーリー的には
どうってことのない展開ですが
つい、また読もうと思わされるのです。
つまるところ
賢治好きなら読んで損はない本です。

今回からちょっと
字を大きくしました。
自分の老眼?に優しく。
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2016年02月18日

ナンシー関、リリー・フランキー「リリー&ナンシーの小さなスナック」(文春文庫)

書評の前に。
自民党の傲慢さや愚かさの露呈が続きますが
本気で皆さん、考えないと、です。
こんな庶民不在の政治に訣別をしよう。

さらに。
介護職の男が老人をベランダから落とした事件。
何と言い訳しようが人としてお前は間違っている、
というより他はないのですが、
それでもあえてここで介護職のしんどさは
声を大にして伝えたい。
わたしの近い知り合いが介護職なんですが
本当に世の中の底辺の仕事をしています。

例えば教職は人を教え導いてお金をいただく。
それなりの評価と報酬が保障されています。
例えばキャバクラなどの接客業は人を喜ばせて快楽を提供し
それに応じた報酬をいただく。
どちらも「人」と関わって「人」を喜ばせてお金を貰う。
介護職も同じように
自分で動けなくなった老人の介助をして
報酬を受け取る、これも「人」に関わる尊い仕事です。
なのになぜか報酬が見合わない。
安すぎるのです。
医師や看護師はそれなりなのに
介護職はその労働に対しての報酬が低すぎる。
実態です。
金が足りなければ人は職に対しての誇りは持ちにくい。
じゃあ別の仕事したらいいじゃん、という人は
世の中を知らなさ過ぎる。
介護職でテンション下げ下げで働く女性は
他の仕事につけない人が多いのです。
40過ぎの女性で専業主婦だったり資格がなかったり
パートではやっていけないから正社員で、と
ハローワークで仕事を求めても
ないのです。
若い綺麗どころの姉ちゃんが結婚までの腰掛で
割のいい仕事持ってちゃうわけです。
企業側は報酬をより低くしたいから
世の中の酸い甘いを知るおばちゃんだと
お金がかかるから若い姉ちゃんを2〜3年交代で雇うほうが
安上がりだからです。
おばちゃんたちは10年単位で働きたいからね。
そんなこんなで事務職など、簿記ができたぐらいじゃ
おばちゃんは雇ってもらえない。
PCの技術がばっちりあるのに資格がないからという理由で
やっぱり雇ってもらえないのです。
するとすぐに手にできる仕事は介護職なんです。
なり手が少ないから。

あの殺人者には怒りしかないものの
介護をしている人はきっとその気持ちは
とても共感できる、それが事実でしょう。
みんなこらえてこらえて老人の意図しないわがまま
(老人本人もわがままをしている自覚がないから介護が必要なんです)
を、甘んじて受け、今日も笑顔を搾り出して
働いているはずです。

みんなきっと必ずお世話になりあう大切な仕事のはずなのに。

これが豊かなニッポンとやらの
本当の姿だと感じています。

せめてさあ、働く意欲を高められる程度の
給料は渡そうよ。
くだらない賄賂渡しあう金があるんならサ。

で、やっと本書の話題。
ナンシー関さんは消しゴム版画の達人。
39歳の若さで亡くなったんだよね。
リリーさんとの対談は「クレア」に連載していた。
連載中のある時に亡くなった。
本書で読む限り
非常に常識のある女性で、研ぎ澄まされた感覚があり、
料理上手でカラオケ好き、車の免許も頑張って取った、
何に対しても好奇心があり、軽い口調であっても
言うべきことは言っている人ですね。
リリーさんは、このときからよりいいオッサンになり、
イラストレーターというよりは俳優だったり
音楽ちょいヲタだったりの側面が
最近は強くなってきましたね。
思ったとおり変なオッサンで
やっぱり好きです。

まあ、話題はどーでもいい話ばかりですが
二人の対応が面白く、結構まじめに読みました。

今度はナンシーさんの著作
読んでみたいと思いました。
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2016年02月12日

梶山季之「せどり男爵数奇譚」(ちくま文庫)

学級閉鎖を経て
こどもたちは元気になりました。
今日は区の教育研究会の発表会で
話合い活動1年生、別の学校の先生が
素敵な授業を提供してくれました。
一つの教師側の行事が終わり
いよいよ年度末、
通知表やら来年度の計画やら
日々多忙な毎日を送っております。

さて、梶山季之、獅子文六と同様に
当時の売れっ子作家でありました。
ポルノ紛いの小説から雑誌のトップ屋としての
麻雀も玄人はだし、純文学も書いていた作家です。
「黒の試走車」などは社会派でかっこいい。
しかしいまや文庫でも見かけなくなった。
時代と共に寝た作家、という立ち位置でしょうかね。

古本屋を営むせどり=古本の全集の一部をばら買いする人。
古本を愛し、金になるかどうかを値踏みし
様々な書物狂との出会い、
古本の奥深さを知る情報小説の態でもあります。
題名は麻雀から取ってます。
筆者(ご本人でしょう)がよく出会う男爵から聞く
ビブリオマニアたちの面白おかしい、ばかげた話の数々。
最後の章は人の皮を使った装丁家の話で
さすがに引きましたが
澁澤竜彦ばりの変態的な内容で
昭和の40年代でしょうか、怪しい裏社会の
匂いがぷんぷんしました。

ちなみに解説の永江朗さんが書いていたことは
私も同感です。
新古本屋(ブックオフ的な)は新刊に近いほど高く
昔のものほど安い。
だから古本屋の方々は100円均一からお宝を発見して
買い取り、自分で神田なんかで売ると
10倍20倍になるようです。
私もあえての「100円本」を見て回りお宝を探すのが好きで
そのためにいくようなものです。
実際、ブックオフで100円で
同じ本が神田では500円くらい、というのを
1度ならず見ていますから。

本は、いい。

そろそろ我が家の在庫が減ってきたので
仕事が一区切りしたらまた神田、行くぞ。
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2016年02月06日

東直己「名もなき旅」(ハルキ文庫)

昨日まで学級閉鎖。
初日はブログに表したとおり
すること一杯で充実。
2日目は既に教室に行っても子供がいないことの寂しさ募り
3日目には飽きて、他の教室で学活やらせてもらいました。
3年生の教室で話合い活動。
とても充実しました。
やはり授業したがる自分がいて
事務仕事は向いていないとつくづく実感。
3日目には各家庭へ連絡を入れて
復活の確認。月曜日からまた頑張りましょう。
自分の風邪も後もう一歩。

本書は19歳の出帆(イヅホ)こと優美(ユビ)が
トラブルシューター折井の元で働き
引き受けた仕事の話。
ミカド食品の社長、香奈を札幌から
1週間離れさせて社長辞任のクーデターを成功させる
その段取りを担う。
人たらしの「力」をもつイヅは
見事に香奈に取り入り
札幌から北北東への鈍行の旅へと誘う。
旭川、音威子府、そして架空の地へ。

中身はロードムービー状態で
ストーリー本編とは直接関係のない
訓話やエピソード満載。
中華丼の話。ストリップ劇場の話。
香港スタンレーでの「闘犬」のような話。
イヅ自身の折井に出会い折井と働く話。
その土地土地の飲み屋や駅の話。
鈍行列車の風景の話。
最後のほうにやっとサスペンス的な要素が
出てきて、イヅと香奈に危機が来る。
さくっとそこは終わって
イヅ自身が香奈に惚れていくくだりで
胸がキュンとなって
大団円。

名作でもなんでもないが
読むこと自体が楽しい。
東さんの小説の醍醐味がぎっしり。

人がいて、悲しくて、愚かで
でも可愛くて、愛おしい。

読んでよかった。
北海道伊達に5回行ってない。
大体地図が分かる。
だから余計に面白いのかもしれません。

北海道の電車旅行ってのも
してみたい。
北海道新幹線も開通するし、
もうちょっとしたら自分のための
「北海道 名もなき旅」やってみっかな。
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2016年01月29日

三浦しをん「人生激場」(新潮文庫)

かれこれ10年以上前の本なので
まだまだ若かりし(今も若いが)しをんさんの
エッセイ集。
面倒くさがりでBL好きで言葉へのこだわりがあり
調べ者や好奇心が旺盛で
サッカー選手が好きで(胸毛とかおじん臭いのとか)
女友達とキャッキャして
でも結構常識人で
なにかと「ぷんすか」怒ってたりもする。
可愛い人だ。

「これだけ科学が発達しているのだから、
簡単に取り替えられる蛍光灯がもっと
普及してもよさそうなものだ」
わかる!!蛍光灯の取り替えほど
面倒くさくて苦手なものはないわ。

「どうして風邪薬のCMは「家族」が主流なのか」
本当!!なんなんでしょうねあれ。

世論を「よろん」と読むな、「せろん」ぢゃ!
鬱陶しいを「うっとおしい」と読むな、「うっとうしい」ぢゃ!
同感同感、強く同感。

こういう辺りが好き。
また長編書いてね。
楽しみにしています。
(高村薫さんを好き、というところもイイネ)
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2016年01月24日

伊坂幸太郎「残り全部バケーション」(集英社文庫)

分かった。
伊坂さんの小説はとにかく危うい事件が起こる。
けど、犯人たちは何故かいつも人間臭い。
敵役もみんな人間臭い。
必ず伏線を張り
卒論なんかやる大学生には
垂涎もののストーリーばかり。
アレがこれと関係して、だから終わりはああなった、的な。
ただ面白く読む私は
正直言うと結構片っ端から内容を忘れていきます。
それくらい、のめりこんで読んで
終わったら、ああ、で終わり。
読む間に、ああ、あの男の過去はこれで
ここであの人と関わって
そして今も仲良しなんだな、というように。

毒島って前にもどこかに出ていたな。
そのボスの下で働く溝口、手下の岡田。
当たり屋して人と関わって、でもなんだか
にんげんらしくなりたくて
家庭崩壊寸前の親子に会ったり
過去の岡田君は正義のありかを探したり
虐待の親への対応を子供に教えたり。
毒島に消されたと思う溝口は
毒島を殺そうと画策する最後の章も
非常に面白くて
結局岡田は生かしていると知り
毒島もまあまあないい人だな、で終わる。
そして多くの善人たちは
今もきちんとつつましく生きている。

大きな事件を支える人間は
やはり人間でしかない、という明らかな真理を
伊坂さんはいつも楽しそうに描く。
本当はいろいろと死にそうにしんどいのに
人と出会ってくだらない会話をするうちに
なんだか救われていく。

これが人生なんだよな。
そんな当たり前なことに気づかされるのが
片っ端から忘れていくくせに
読みたくなる意味なんだと思います。

題がいいよね。
いろいろやらかして結局人生「残り全部バケーション」に
なっていくのね。
私ももう数年で退職になるわけですが
その残り全部バケーションにしたい。

ちょっとここのところ
何をしてもイマイチなので
余計にそう思います。

ところでSMAPぶじに解散なしになりそうですね。
謝罪は事務所側ではないかと思うのですが。
彼らも40過ぎた男で、独立も考えるわね。
それを苦汁を飲んで決断した、というところでしょう。
ドル箱スターを手放してもよしという考えなんでしょうが
それはそれ、関係者がきちんと語るべきだとも
思うのですが。
まあ、そこは芸能界の闇なんでしょうな。
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2016年01月18日

高橋弘樹「TVディレクターの演出術ー物事の魅力を引き出す方法」(ちくま新書)

いや〜この1週間少々、いろいろありすぎて。
春団治さん死去。あ〜上方落語重鎮が墜つ。
バスが落ちる。また格安バスが槍玉だ。
東京に雪が落ちる。通勤が物凄いことになる。
バスが来なくて。南北線が混む姿初めて体験。
デヴィッド・ボウイ死去。ロックスター、癌か。
「★」買いました。明日ウォークマンで聞く。
お金が減る。これは私事。
子供の特定の方々、忘れ物多すぎ。
要らん注意が増える。ストレス。
そしてそうした方々はその重みがわかっとらん。
SMAP解散騒ぎ。え〜〜〜でした。
DAIGOの結婚報告会見、いいね、唯一、いい。

などなど
新年早々お騒がせが多すぎ。
北朝鮮の水爆騒ぎ、アレもなんだったんだろう。

で、本書の筆者は大好きテレ東の
「空から日本を見てみよう」「ジョージ・ポットマンの平成史」
「TVチャンピオン」「世界ナゼそこに?日本人」などの
ディレクター。
くもみ・くもじい、好きでした。
怪しいポットマンも何気に見てました。

彼は芸人や俳優を使わず
ドキュメントを自らカメラを握り
撮りまくり、編集し、見る人に伝えようとする技術者。
いいね。
職人肌で、さすがテレ東。
予算がないから知恵を使う。
金ではないところで勝負をする。

どの仕事にも当てはまる話や
これでもかというくらい自分の技術を披露した本です。
読み応えありますし
TV製作の裏側の苦労もよく分かります。

たとえば私も使いたいサイトの紹介。
「「日本の古本屋」は「新しい面白さ」を発見するための
リサーチにおいて、非常に重宝するサイトです:
「お気に入り登録」しておこう。

われわれの指導案にも通じる話として
(台本、を、指導案、に置き換えて)
「台本作りには命をかけなければなりませんが、それは、
あくまでも、台本以上の奇跡やハプニングを撮影するためのもの。
また台本どおりにことが運ばなくなった時には
慌てずに方向転換できるようにするためのものです」
わかる。
台本どおりにいったことなど一度もない、とも。
そのとおりですね。

「物事を調べて表現する」「三つの種類がある」
「学者=真実か否か。
ジャーナリスト=正義か否か
エンターテインメント=面白いか否か」
これがTV番組の基本でもあり、われわれの仕事のすべてでもある。
多くに人々もそうだと思います。

やはり一つの道に通じる人の言葉は面白い。

いろいろあるけど
へこまずにがんばりましょう。
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2016年01月11日

マツコ・デラックス「続、世迷言」(双葉文庫)

マツコ・デラックスは素晴らしい。 
 ずっとテレビに出ていて欲しい。 
 「夜の街を徘徊する」 
なんて、意味不明な街ぶらぶら 
モヤさまが、守りに入る中、 
実にいい番組です。 

この本の中でも言ってたけど 
マツコ・デラックスって 
本当に普通の人。 
女装家とか見かけのレッテルどうでもいい。 
よく世間を見ている。 

選挙の時に、誰に入れても同じと思う人に、 
「だれがやっても同じなら、だれの意見でもきちんと聞く人を選ぼうという発想にならなゃダメだよ」
など、素晴らしいよ。 

内容は、テレビに出てくるゴシップネタ。 
時間潰しには最高。 
そして後味もさわやか。 
だれの味方も本気ではしないし
だれの批判も本気ではしない。 
けど嫌なものはいや、好ましいものは褒める。 
その姿勢に共感します。
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2016年01月08日

立川談志 聞き手吉川潮「人生、成り行きー談志一代記ー」(新潮文庫)

ここまで談春などに興味が出ると
ここは好き嫌いに関わらず
談志のことも知るべえ、と思い読みました。

聞き手の方は立川流の顧問ということで
そりゃあ談志ファンだから
それなりのヨイショがいっぱい。

出自から政界進出(慎太郎さんと仲良しなんだ、へえ)
小さんからの破門からの独立、
有名著名人の後押しを受けて
立川流創設、弟子からの上納金(やくざ発の手法らしい)
病を得てからのさらなる深化、
等々、ふ〜〜〜んという感じで読了。

政治的マニフェストはなく
有名人が好きで
攻めのおじさん。

う〜〜んやはり苦手。
芸人とはそういうほうがいいという理屈は分かっても
好きじゃない。
わざとそういう風に演技しているのかもだけど
やはり好きじゃない。

そうは言っても
順調に読み進み
うーむとうなって終わりました。

プライド、1位、分からない奴が莫迦、
俺はうまい。
苦手だ。
posted by 大ねこ at 23:42| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書の記録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年01月03日

内田樹×高橋源一郎(×渋谷陽一)「ぼくたち日本の味方です」(文春文庫)

年末からの読書。
実に楽しく、スッキリする本です。
おばさん的おじさんたちの放談トークがいい。
難解でなく、理知的でもあり、
時代もよく読み取っているから
この人たちは本当に「日本の味方」だと思いました。

2015年のフランステロの予告が。
2010.11.24の第1回対談で。
内田 フランスの場合は、イスラムの同化に
   失敗してるんだよね。・・・・分離されてる以上、
   国家に対して忠誠心なんか持てないし、感謝もしないし
   機会があったらなんかイヤなことしてやろう、って
   ついつい思っちゃうじゃない。・・・今の体制に不満な
   人を作らないための方法は、「やさしくする」ってことに
   尽きるんだよ。

内田 政治に限らず、すべてのシステムは、現場に
   いる人間が身体を賭けて、固有名詞で債務保証
   しないと、機能しないんだよ。・・・そういう人間が
   いれば絶対に、誰かが腹を切らなくちゃならないような
   大きな失敗は起きない。
今は就職難、かもだけど、実は・・・
内田 こういうときは、やっぱり頭パッと切り替えてね。
   みんなが向こうに行ってるときって、逆の側に
   がバーッと広いスペースが空いてるのよ。
   そこでなんでもできるんだからさ。

2011.2.22第2回
高橋 戦後文学ってどこから始まるかっていうと、
   僕は1947年説なんです。・・・「斜陽」と「青い山脈」の
   本が発売された年なんです。
(「青い山脈」には、戦後の理想が詰まっている、という)
内田 統治者が有権者の知性を信じていないんだよ。
高橋 つまり、それが55年体制なんだ。あれって、
   利益供与の政治だからね。・・・
内田 その原点には「金さえもらえりゃいいんだろ?」っていう
   考え方なんだよ。人のことを見下してるんだ。・・・
   TPP賛成論の根本にあるのはさ、すべての消費者は
   市場でいちばん安い商品を買う、という原理でしょ。
   ・・・身銭切ってでもなとかしたいっていう国民の感覚は
   「金がすべて」とは違うんだよ。こっちのほうが日本の
   リアルなんだよ。
武士道がなくなった日本に文学者夏目漱石は、・・・
内田 日本近代、特に男性たちに、自己形成のロールモデルの
   筋道をつけたと思うんだよ。・・・これが男の生きる道
   ってのを、明治40年代に作ったわけで・・・

2011.5.29第3回(東日本大震災後)
内田 原発のあるところって、だいたい明治政府から
   冷遇されてきたところでしょう。・・・産業がない
   から、原発でも誘致する以外にないというところまで
   追いつめられたところに選択的に原発がある。
内田 代替エネルギーの最先端の技術を持っているのも、
   これまた全部アメリカ。だから、原発を止める
   ということになると、廃炉ビジネスも、
   代替エネルギー技術も、「つなぎ」の火力エネルギーも
   全部アメリカが日本に売ることができるものばかり
   なんだよね。
高橋 だから、自民党でもっとも脱原発を明確に言ったのが
   小泉さん。
(うお〜、そうだったのか。大きくうなずくくだり)

2011.11.9第5回
山口県熊毛郡の祝島(反原発デモが30年以上続く島)の話。
高橋 2000年以上前、東京がまだ原野でサルも
   いなかった頃から文化がある。・・・日本の政とか神事の
   伝承がいっぱいある。それプラス漁業があって、
   農業があって、こっちが文化だって意識があるから、
   外の連中からひとり100万円もらったってなんの
   意味もない。
内田 「沈む」という言葉にネガティヴ・イメージを感じる
   ってこと自体が、まだ成長戦略の虜だということ
   だよね。本来、後退戦とか、しんがりを戦うって
   いうのは、軍事的にもっとも高い能力が求められる。

2012.2.14第6回
高橋 「きのくに子どもの村学園」という、自由教育を
   やっている学校が、和歌山にあるんです。・・・
   クラスがない、学年もない、「先生」がいない。
   だから「生徒」もいない。何よりカリキュラムがない。
   ・・・文科省が認可しる、正式の学校なんです。・・・
   6年間で学ぶべきことを学びさえすれば、
   どういう順番で学んでもいい、ということを
   認めさせちゃった。
(知らなかった。調べてみよう)
内田 子供としては「私は××である」と言い切りたい
   んだけど、言い切れない、その言い切れなさというか
   中途半端さというか、それが成長の手がかりなんだよね。
   それをばっさりどっちかに片付けるわけにはゆかない。
   だって、どちらかに片付いて、話がわかりやすい人間
   というのを「イデオロギッシュ」って呼ぶわけだから。
   教師はイデオロギーの毒から子供たちを守らなくちゃ
   いけない。子供自身に「きみは邪悪であり、かつ
   天使的であり、凡庸であり、かつ天才である」って
   いうふうに、二枚舌三枚舌、五枚舌十枚舌を
   使わなきゃいけない。
(そのとおりです。内田先生、深く同感です)


引用だけでまだまだ引きたくなる内容です。
そうそう、そういうことが知りたかった、
そうそう、そういうふうに言いたかった、
ことが満載です。
たくさんの人に読んでほしい1冊でした。

こいつぁ、春から、縁起がいいぜ!!
posted by 大ねこ at 21:44| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書の記録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年12月28日

鶴見俊輔・関川夏央「日本人は何を捨ててきたのか 思想家・鶴見俊輔の肉声」(ちくま学芸文庫)

いわゆる「難しい」ところは読み飛ばす。
なんとなく鶴見俊輔、という存在が好きだった。
べ平蓮、9条の会、話し方が穏やかで皮肉っぽく可愛い。
それくらいの知識でしかなかった。
平和主義者の一人として90過ぎて亡くなった
このおじいちゃんが、どんな人だったか、
少し分かってもっと好きになった。
でも、だからといって小難しいことは分からないけどね。
鶴見じいちゃんなら、それでも許してくれそうだ。
そんな庶民感が伝わる本でもあった。

「自分が悪人であることが受け皿だった」
著名なお父様と非常に厳しそうなお母様の間に生まれ、
非行少年として育った自分の原罪意識。
万引き、恐喝、早熟な女性関係、ありとあらゆる悪を
10代で終わらせ、アメリカに渡り小卒のままハーバード大学卒業。
自殺未遂もし、カリエスに冒されているのに召集。
戦争の愚かさも体験し、戦後、「知識人」として生きていく。
裏にある「悪人意識」にさいなまれつつ、
だからこそまっとうに生きていくことができた、とのこと。

関川「鶴見さんの尻尾ってどこなんですか」
鶴見「鬱病です。・・・十二歳のときから十五ぐらいまで鬱病。
   それから二十九歳のときと三十八歳のとき。
   三回鬱病がでている」
うーむ。
そうだったのか。
人に歴史アリだ。

倫理の問題はその時代、その状況によってせめぎ合って
選択されるものだ、その一つの表現として
漫画「寄生獣」を評価していたりもする。
マンガもしっかり読んでいる評論家は信頼できる。

いしいひさいち、高橋源一郎、井上ひさし、
寺山修司、大衆演芸、連歌、俳句、なんでもござれじゃ。

ちなみに「ひょっこりひょうたん島」は
死んだこどもたちの物語だと井上自身が言っているらしい。
おお、そうか。
だったらこの間見た串田版の演劇も意味が分かった。
そうか、そういうことだったか。
さすが串田和美。改めて感動した。
ダンディが死んだのは、
やっとこども側に戻ったちゅうことだ。
これは蛇足。

そしてこういう雑駁な知識人が
昨今減っていて
面倒くさい大人か、軽々しい大人か
大人も二極化しています。
この鶴見じいさんも筑紫哲也さんも
かっこよかったな。
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2015年12月23日

三遊亭白鳥「ギンギラ★落語ボーイ」(論創社)

この発行。どこだ?この会社。
なんというセンスのない題名だ。
この不思議な名前の作者は誰だ?
何でこのおばさんはこんな題の本を読むんだ?

という
?マーク満載でスタートしたくなる。
今年又吉直樹さんの「火花」がえらい人気でしたが
この本もいわば芸人が書いた
自分たちのしんどい思いの一種の私小説です。
「火花」、読みましたが
文芸臭と芸人臭があいまった芸人小説でした。
正直に言います。
この本、悪くないです。
「火花」、芥川賞とるなら
この本は落語家が選ぶ小説ベストテンぐらいには
十分入れる小説でした。
ただ題が・・・。
あまりにダサいな。

銀月亭ピョン太なる白鳥の生き写しが
白鳥もしたであろう苦労や
白鳥もしたであろうしくじりや
白鳥も必ずしたであろう失恋もどきや
白鳥は決してしなかったであろう拉致事件など
結構マジメな落語家下積み小説として
冗談交じりの軽い文体でしっかり書かれています。
青春小説としては後味も悪くなく
読み飽きることもなく
リアルとエエ〜?がない交ぜで楽しかった。
ピョン太の先輩格のハチャメチャあひる師匠の
あったかい愛情を感じるお馬鹿な言動は
「火花」のあの先輩よりうんと愛すべき存在でいい。
ピョン太の師匠は(本当の白鳥の師匠は円丈)
落語家の師匠然としていて、いい。
ピョン太を鍛える人々
1 美人席亭の涼子、「オナニーみたいな落語してんじゃないわよ!」
 笑える。いい女だ。
2 赤達磨(ピョン太とあひるがいく古臭い居酒屋)の親父さん。
 めっちゃいい人。
3 老人ホーム的な「憩いの家」(赤達磨の親父の紹介)の
 往年のイケイケ老人たちのピョン太への修行の数々。
4 池袋西口芸術劇場の公園で露天落語していたときに
 拉致して「わたしを笑わせろ!」とのたまった黄ばあさん。
 (ここのくだりは余りに破天荒で無理が一杯)
などなど
いい人たちが一杯。
プライドだけが先行していたピョン太が
一人の落語家(大人)になっていく様がいい。

白鳥さんの「トキそば」聞きましたが
この頃できたことも判明。
座布団、こねますもんね。
故郷佐渡、実は大好きなんだろうな。

今後またきちんと白鳥さん、聞いてみましょう。
(ちょっと自分好みではない)
(でも、人となりは多分好き。)
この本を読んでちょっぴりファンになりました。
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2015年12月18日

立川談春「赤めだか」(扶桑社)

文庫になってたんですね、う〜〜〜ん。
古本屋さんで700円だったから買ったんです。
気にはなっていたけど、どうすっかな〜っていう本。
でもいよいよテレビドラマやるっていうし
今が読み時かなと。

中卒で
談志の落語聴いて
入門して
新聞配達しながら落語を覚え
志らくと出会い
先輩諸氏に可愛がられたり脅かされたり。
そのうち魚河岸で働かされたり
50席覚えないと二つ目になれない制度で
必死に学び
一方で競艇にもはまり
やっと認められ
志らくが先に真打になり
じゃあ自分は、となった時
談志が破門された小さんを招いての
(花緑に頼んで)
真打昇進を果たし
ほんのちょっと談志に恩返しした気分のところで
終わる、「エッセイ」らしい。

あ、小説じゃないんだ、と
読み終わって気付く愚かな読者でした。

いや、面白かった。
談志のくだりももちろん楽しい。
でも、前座、二つ目の苦労話が何よりも面白い。
さすが談春、あの喋りのセンスがまんま文章です。
ちっちゃい赤めだかが
大きな鯉になった談春。
今じゃ本当にチケットもまともに手に入れられない。

何よりも今更
談志のCDを聴いてみたくなった。
でもそれは老後の楽しみにしよう。
だってライブで絶対聴けないんだもの。
談春、また行こうかな。
人となりが結構やっぱり、いいな。
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2015年12月14日

広瀬和生「この落語家を聴け」(集英社文庫)

月一回は聴きにいきたいのですが
なかなかな今の自分にとって
こういう指南書はありがたいのです。
特に、古い落語家の昔はよかった的な
評論よりは、ライブ感のあるこの手の本が
実にありがたいです。
とりわけ筆者はヘビメタ本の編集者で
落語評論家ではないあたり
ファン目線で、しかもロック評論的な
ノリのよさ(言い換えれば感情的でどれもいいみたいな)
が、むしろ素人にはいい感じです。

で、筆者のおススメは・・・
談志(死んだ)
小三治(大好き)
志の輔(チケットが取れない)
談春(ドラマでてる場合じゃない)
志らく(一度聴きにいきたい。狂気ありらしい)
談笑(古典の再構築を狙っているらしい)

市馬(本格派。お正月も2月も聴きに行く予定)
喬太郎(気になっています。一度聴いて印象的)
志ん輔(よく知らない)
喜多八(気になる。うまいです。新作もよくやる)
文左衛門(この間聴いた。それほど印象がない)
白鳥(不思議な存在感。気にはなっている。本買った)
彦いち(武闘派的な。力強かった)
白酒(うまい。好き。また行きたい)
三三(もちろん大好き)
歌武蔵(寄席で一回見て気になっている人)
鯉昇(まだ知らない)
菊之丞(イケメンですね。
    聴いてみたい。鈴本でトリ取ってる)
扇辰(知らない)
一琴(知らない)

昇太
たい平
小朝
花録(いいなあ。好き)
権太楼(いいよ、いいおじさん。好き)
扇遊(知らない)

そしてあとがきで補遺状態で
兼好、一之輔がやっと出てくる。

まだまだこれからです。
でも多分私は本格派が好き臭いです。
理屈っぽいのは苦手かも。
ただでさえ日常理屈っぽく生きているので
ライブくらいはゆったり噺の世界に
浸りたいと思っています。
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2015年12月07日

近藤正高「タモリと戦後ニッポン」(講談社現代新書)

78年生まれの気鋭?評論家でしょうか。
クイックジャパン等に書かれており
ネット系でも盛んに書いておられるよう。
私は初めて知った方です。

本書もやはり、というべきか
タモリ側の発言は無く
(昔の引用は多数あれど)
んん、まあそうだよね、考察の一種だよね。

いやいや、悪く無かったです。
しっかり読ませていただきました。
タモリのアルバム、聞きたくなりまして
アマゾンで確かめると3は8800円!!
価値はアリと感じていますが、んん。
そんな気持ちになる出だし。
ウォーホールとの類似性
(キャンベルの絵のように当たり前を歪曲すると楽しいノリ)
音楽に意味を感じないほうがいい感性
(だからジャズに行き着き聞きまくる)
師匠につくことなく可愛がられて気づいたらスター
(才能ももちろん、にしても、パトロンのよさ)
さらにそこに時代がついてきた。
(戦後すぐ生まれの彼には天性の運があった?というノリ)
レコードもなんとユーミンらのあのアルファが。
才能の豊かさも分かるけど
玄人ウケというか、拾う人の質が高い。
食客として赤塚不二夫の家に居候、
しかも居候道をつきぬけお礼の一つもないどころか
すべてにおいて図々しく振る舞い
それがまた赤塚に惚れられたという
常識では考えられない青春時代。
30からの転進でここまで来た彼は
三島の言い方を借りれば
まさに
時代と寝た男、だろうな。

カラオケはバーの人間関係をズタズタにしたから嫌い。
「笑っていいとも!」が30年以上続いたのも
時代が新しいものではなく焼き直しの時代になったから
というくだりは、妙に納得した。

肝心のタモリさん自身は
きっとノーコメントだろうし
そういう評論の類からは最も遠い位置で
生きてきているんだと思う。

まあ、そんなこんなで
時代を考えるのにいい本でもありましたが
肝心のタモリ論としては
やはり本人不在の本なので
片手落ちの感は否めませんでした。
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2015年12月03日

伊坂幸太郎「陽気なギャングは三つ数えろ」(祥伝社)

多分伊坂作品で一番力を抜きつつ
エンタメ的には最良の小説群の新作。
もう前作から9年経つんですね。
お喋り空気読めない蝶野を筆頭に
動物ヲタ、スリ名人、体内時計の正確さ抜群の
久遠、成瀬、雪子、みんなかわいい。
最初の強盗から悪党火尻記者を追い込むストーリー。
悪党が悪党を追い込む様が
往年の名作、映画の「スティング」を彷彿とさせます。
さらに悪党のカジノハウスが出てきて
そこのリーダーがおばあちゃんの飼っていた亀を
何よりも大切にしているというオチが
なんとも他愛なくかわいい。

全体がとにかく悪党どもの寄り集まりなのに
その根底にある優しさや正義感が
読み手をニヤつかせる仕組みになっています。

だからどうって言う感想はないんですが
読むのがとにかく楽しい
伊坂ワールドを堪能しました。

また響野を佐藤浩市で映画化してくれないかな。
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2015年11月28日

立川談四楼「談志が死んだ」(新潮文庫)

う〜〜〜んと。
立川談志は、好きじゃない。
どんなに四方八方で評価され褒められても
私には生理的に無理。
声も嫌い。態度も嫌い。人として嫌い。
この本を読んでもっと嫌い。

作者は筆頭弟子で
立川流が独立することになった
真打騒動のきっかけになった
その本人らしい。
立川流は物書きでなければならないらしいが
この方は小説家としても有名らしい。
解説でも何故か「これは小説だ」と力説しているが
私にはノンフィクションとしてしか読めなかった。
だって
弟子と師匠の話で実名だぜ。
これを小説として読め、虚実皮膜だ!と叫ばれても
わがままな師匠が死んだから
思ってること書いてやったぜ!
近親憎悪だ、腹いせだ、あの野郎、でも好きだ!
って言ってるとしか思えない。

上納金とってやんちゃして芸のためなら
人を糞味噌にしていい、と理不尽を言い放つ、
私には分からん。

壊れていく師匠の状況を事細かに書き
その死後の顛末を記しつつ
ちょいちょい自分の歴史もはさみつつ
人として変な人ばかりの噺家仲間エピソードが入る。
同じ立川流でも
志の輔や談春のことはごく控えめで
売れている人には配慮か?と深読みしてしまう。

私の大好きな同僚の先輩で
落語聞きとしては私の大師匠の方に
お勧めの噺家を教えてもらっていますが
少なくともこの作者に花丸は付いてなかった。
(立川流では談春、談笑、志らく、生志が花丸)

私小説を地でいくならまあありかもですが
私には不要な本でした。
落語家のゴシップとして受け取りました。
posted by 大ねこ at 20:46| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書の記録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年11月24日

広瀬和生「「落語家」という生き方」(講談社)

最初に三三。
まじめ。噺家の鏡的存在(に、なるであろう器)。
勉強熱心。たくさんの噺をものにし、
新作にも(まだ聞いたことがない!)チャレンジ、
なんと白鳥さんとも親しいらしい。
熱い。
好き!

次が一之輔。
声がでかい分体も大きい、態度もそこそこでかい。
喋って食っていけることに誇りを持っている。
発展途上でありながら熱い。
イケメン。
まあまあ好き。
ちょっと暑苦しいところが苦手。

白酒。
私の中で最も落語家然としている存在。
先日のスキップで聞いた裁き物が
いまだに印象に残っている。
上手いなあ、と再認識した。
勉強している姿を見せない、
けれどものすごい努力家な気がする。
やはり熱い。そして好き。

兼好。
気になるおじさん。
どの噺も聞いていて安心する。
でも脱サラして「なんとなく」噺家になった的な
発言や、自分の好きなものをやりたい、
暗いのはいやだ、人情ものは好かん、など
物議をかもしそうな発言がまたいい。
不真面目を装い、飄々と、
しかし内面には熱いものを秘めた人。
社会の荒波も知っているから
噺家然とするのがいやなんだと見た。
好き。

最後が白鳥。
新作を演じる、賢そうではないフリをしつつ
新作をバンバン出すあたり
また、女流落語家をおしているあたり
なかなかに風雲児(っていってももういい年)で
主流からは離れて、それでもややアバンギャルドに
攻めの落語に徹していると見た。
円丈師匠の弟子だしな。
1席しか聞いていないので
(それでも覚えているんだからインパクトは強い)
好き嫌いは難しいが
ちょっと聞いていきたい落語家だ。
熱い、きっと熱い。

ということで
好きな人、気になる人満載なので
買った本。
広瀬さんのインタビューは上手くはないが
人選がいい。
気になる人がかぶっていて嬉しい。

よ〜し、また聞きにいくぞ。
ていうか
とても聞きたくなってきた。
posted by 大ねこ at 22:10| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書の記録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする