2017年10月10日

スージー鈴木「サザンオールスターズ1978-1985」(新潮社)

ふざけた名前の筆者はサラリーマンしながら
ライターなさっているようです。
50歳で青春をサザンに彩られたようです。
それ以上でも以下でもない評論的な
本です。
ただ、これを読む間は
確かにずっとサザン聴いていました。
聞き直したくなるつくりです。
私は筆者より7歳上で桑田さんより3歳下。
更にサザンと同時代を生きています。
「勝手にシンドバット」は衝撃でした。
アルバムも「人気者で行こう」まで全て持っています。
しかし筆者も「いう通り「KAMAKURA」で
高すぎてめげました。
その後桑田さんが少し遠いところに行き、
サザンのサザンらしさが失われ
「KILLERSTREET」で思い復活、「葡萄」で
完全復活でした。私の中でのサザンは、です。
病後の桑田さん個人のアルバムのクオリティは
サザンを完全に食っています。
よってサザンイコール桑田さんというより
桑田さんあってのサザンというバンド、
というのが今の私の思いです。

本書の内容は前期サザンのアルバムの解説です。
サザンが果たした役割なども
少しは触れていますがそこに主眼はない。
特に、コミックソング的な流れはいらない、
「ヨシ子さん」は評価しないという筆者とは
私は意見を異とします。「ヨシ子さん」は良いです。
くだらなさがあっての社会派でありえる桑田さんの
含羞をきっちりプラスに評価してほしい。
その両者が合流した名曲が
「マンピーのGスポット」だと思います。

楽曲及びアルバム解説としては
読むべき内容はありますが、
大瀧さん山下さん、矢沢さん、佐野さんとの
絡みや「先輩達へのおせっかいソング」と括る
一連の人物に対するメッセージソングなどについて
掘り下げて欲しかった。
これはサザン評論ではなくアルバム解説に
止まった本です。

11月に桑田さんコンサートチケットゲットしたので
楽しみにしています。
私の中で桑田さんを丁寧に消化していこうと
思います。
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2017年10月05日

白酒、白鳥、権太楼 花形特選会 北とぴあ

人気花形特選会、出演は権太楼、白鳥、白酒。
職場に近くて助かります。
今日も満足のいく教育出来ず
ちょいとへこんでの参加。
笑わせてください。
今日のお目当は白酒かな。

前座、はまぐりさん。
金明竹。言い立てよかった。

白酒、お化け遣い。
上手い。
短縮形でサクサク進むのが小気味良い。
予想通り笑わせてくれました。

びっくりしたのが白鳥師匠。
めっちゃ上手くて惚れました。
しっちゃかめっちゃかがなんとも
いい具合に進化。
今日は新作火焔太鼓でしたが
場内大爆笑の渦。
もちろん私もいちいち笑えました。
起承転結がきっちり構成されていて
まさに無駄がない。
全てがオチの「バチがあたる」に収斂されていく
見事な構成力。
そして一つ一つの言葉が選び抜かれている。
4日前に大腸ポリープ手術と入院の
マクラがあり、点滴喫煙をめぐる失敗話が
上手い具合に噺中に生きて
正直、驚くほどの面白さでした。
大暴れできなくなった(年齢?病気?)分、
噺の練り方のクオリティが上がったのか
私が今まで白鳥師匠の本体を知らずにいたのか
白鳥師匠への認識が変わりました。
おかみさんの尻に敷かれるダメ亭主道具屋が
もう愛しくて愛しくて。
もちろんおかみさんの言い分も分かる。
いい噺だったと
笑った後にジンワリできて
お見事でした。
白鳥師匠!また聴きに行きます!
お身体大切に。

中入り。

権太楼。
不動坊。予定通りの面白さ。
噺の中に惹きつけられます。
師匠独特のアクの強さが時折鼻につくのは
事実なんですが、それを越しての世界観に
こっちが巻き込まれる感じです。
にしても、最後のサゲは面白くなかった。

今回は白鳥一人勝ち。
先輩も食い、人気者も食い
私の心を動かしました。
いやあ、聴きに行くもんだ。
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2017年10月04日

万城目学「パーマネント神喜劇」(新潮社)

一気読み、面白く読みました。
ただ、今までの万城目学さんの作品の中では
軽めでした。
神の独り言辺りはちょっとまどろっこしい。
小説作法としては反則技っぽかった。
縁結びの神の実績描写からの
当たり屋の変貌、
トシとシュンのペアって
杜子春じゃねーか、とツッコミたくなる
件を経ての地震。
社殿の倒壊と神木切断。
神を願う子供達、実はもっと大きなものの
策によって神の復活。
最後の最後までいささか御都合主義も
含みつつ、結果的に私の心に生まれた感情は

信頼の勝利

でした。

気持ちよかった。
裏切りがあまりに多く切ないを通り越して
腹立たしい昨今、
信頼に勝る美徳なし、だと確信。

希望の党?
情け無い。保守対保守の権力者争いに
なぜ信頼を望む私たちは加担しなくちゃいけないのか。
政治家以外、誰も望んでいなかった
衆院総選挙。そうまでして甘言を弄し
てっぺん取りたいか。美しい憲法改悪したいか。
どんどん信頼を打ち消すあなた方に
人としての魅力はない。
こうした打ちひしがれた人々が
棄権すれば、小選挙区の論理で
保守が勝つ事見越してのやり口だって
分かる分情け無い。
全てあなた方の掌中でのやらせ。

そういう状況だからこそ
これくらいのレベル小説でも
私は感動する。
あなた方に加担しない。
パーマネント=永遠、の信頼を
私は信じる。
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2017年10月03日

井上陽水コンサート goodluck 大宮ソニックシティ

井上陽水2017コンサートツアー初日。
大宮ソニックシティ。
火曜日だというのに満員御礼。
層は大変高齢系。
入場が込み合うのは
埼玉だからか、高齢だからか、
ツアー初日だからか、ソニックシティのせいか。

ツアータイトルがgoodluck。
どういう意味だろうかと
勘ぐるも、まさかこれで陽水辞めるとか
言わないよな、と一抹の不安。

前半後半に分かれての高齢者仕様。
前半。
この頃妙だ
pi.po.pa
fiction
青空ひとりきり
ここまでメドレー形式でぶっ飛ばす。
make up shadow
移動電話
カナリア
限りない欲望
ワインレッドの心
女神
瞬き
ここで前半終了。
ワインレッド辺りから、あれ?と感じる。
玉置こうじ(漢字忘れた)だな。
女神、瞬きは、ブラタモリでタモリ。

後半。
帰れない二人
これって忌野清志郎!
神無月に囲まれて
justfit
これは、ジュリーも歌ってた記憶。
リバーサイドホテル
夜のバス
めぐりあい
最後のニュース
筑紫哲也さんが要請してできた歌。
氷の世界
結詞

アンコールは
アジアの純真
PUFFYへの提供曲。奥田民生も関わる。
夢の中へ
カバーが最多曲。
夏の終わりのハーモニー

構成上の配慮やヒット曲入れるのは
当たり前として
それ以外の曲がほぼ誰かとの関わりの曲。
なるほど。
だからgoodluck。
勝手に納得しました。
お世話になった人たちにありがとう。
これからもよろしくね。
亡くなった方々にもgoodluck。
そんな思い入れかもと推測してます。

席がなんと前から7列目。
陽水さんの割と広い背中や
歳とってもかっこいい様子、
しっかり間近で拝見できてhappyでした。
声の美しさ健在です。
私たちは音楽的にはとても良い時代に
生まれ合わせたと、嬉しく思いました。
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2017年09月30日

三三・左龍二人会 内幸町ホール

今日は二つ目アップです。
重なる時は重なる。

三三・左龍二人会
85回目ですって。

前座、市朗狸の恩返し、札化け。
今ひとつでした。
市馬師匠の弟子だそうですが。

三三、かぼちゃ屋。
滑稽な与太郎噺。好き。バカバカしい。
与太郎が与太郎過ぎて笑える。
でも、三三の与太郎って少し悪意が見え隠れ。

左龍、団子坂奇談。
冒頭の二人の会話に
8月11日の圓朝祭があったので、やはり、
という怪談噺。
蕎麦屋の看板娘の超美人が墓場を漁って
赤ん坊の死体にかぶりつくという件は
なかなかにハード。
しかしオチが、ずっこけるくらいくだらない。
武士上がりの主人公に向かって
蕎麦屋が言うには
「赤ん坊の死体齧るくらいじゃ大したことない。
お前なんかまだ親のすねを齧ってるじゃないか」
ごもっとも。

中入り

左龍、権助魚。
先ほどと打って変わる落差に笑える。
田舎者を演じさせると超一流。

三三、片棒。
これまたバカバカしい滑稽系。
自分の葬式のプレゼンさせてへこむ
けちんぼパパ。
好きだなあ〜、こういうの。
真剣にバカバカしい噺に入り込みました。

いやあ、疲れています。
仕事も2学期制なので学期末処理事務多数。
それ以外に展覧会準備、日常の諸々。
私事でもちょっとありまして。
今日の滑稽はありがたかった。
すう〜っと息が抜けました。
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伊坂幸太郎「AX」(KADOKAWA)

AX、そのまま斧、の意味でした。
蟷螂の斧。暗い人生を歩んできた兜が
出逢った温かい言葉を掛けた女性と
結婚、一人息子の克巳、その家庭を守りたくて
裏稼業を辞めたい。
しかし人殺しを続けてきた身は
そう簡単には許されない。
結局、友情や愛情を知ったがために
彼は自ら飛び降りることになる。
その10年後に、克巳は期せずして
父の仇を討つことに なる。
その援助者は、兜が救った殺し屋。
全て綺麗にしたくてクリーニング屋に
なって、克巳の近くにいた。
兜の人生は、暗かったけど、
悪くない人生だった。
切ない。

兜が一番怖れていたのは妻。
愛情の受け止め方も出し方も
その妻から学んでいたのだろう。
だから怖かった。失いたくないから。

蟷螂の斧は
生死ギリギリで放つ一発。
兜は愛し続けたくて全て隠し切って死んだ。
克巳にとっては永久に良い父親。
妻にとっては永久に情け無い旦那。

いつものようにクールに描ききりながら
優し過ぎて哀しい。
伊坂さん、父親になったね。
重い社会生活と家族の良さが
全面に出た佳作。
一気に読み切りました。
ファンでよかった。
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2017年09月25日

永六輔「坂本九ものがたり 六・八・九の九」(ちくま文庫)

永六輔さんも亡くなっちゃったなあ。
永さんの尖り加減が好きでした。
この本を読むと、マルチタレントだったことが
よく分かります。
八大さんはジャズピアニストから作曲家へ、
そして売れっ子中にアメリカ行っちゃう
先進的な人。
永さんは、
学生時代からテレビ創生期に放送作家として
頭角を現し、「上を向いて歩こう」からの
作詞家稼業、しかし阿久悠やさだまさしらの台頭で
作詞は引退、というところまでの時代。
そして主人公の九は
川崎の色街出身で姉が歌舞伎狂、
賢く聡い反面、やんちゃだった様子。
それを愛情深く、しかし批判的にも
ムダな言葉なく描いています。

エルビスのモノマネ名人で
ドリフターズのバンドボーイ中にスカウト状態で
歌手へ。ナベプロの渡辺美佐の妹、曲直瀬に
見染められ曲直瀬プロへ。
この辺りの当時の芸能事情も
ぜひ読んでみたい。なかなか黒い世界。
しかしそれが現在のプロダクションの原型。
自分の歌の下手さを克服すべく努力。
美輪明宏さんの「ヨイトマケの唄」を
ご本人に許可を得に行き、オーケーをもらい
自分の歌にした事実は、
九自身が本当にお母さん大好きっ子の証し。
そのお母さんが死んだ時のリサイタルの
描写は舞台監督を請け負っていた永さんだから
知り得る真実、迫るものがありました。

正直九さんに思い入れはありません。
けれどこの自分が生きた時代の人々に
ものすごく興味を持っている訳です。
永さんの本ももう少し読んでいきたい。
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2017年09月23日

映画 エウレカセブン ハイレボリューション1

小ねこに誘われて行きました。
ちょっと前にキッズステーションでやってて
家中で見てたエウレカセブン。
エヴァンゲリオンよりは美しく分かりやすい
でも、屈折満載のアニメ。

時系列を敢えて混合して
レントンの心理に寄り添ったつくりでした。
脇役のチャールズとレイ夫妻が
クローズアップされていて
家族愛的なものと中学生の反抗期が
良く描かれています。
レントンが何故そういう生き様になったか
何故チャールズたちがレントンを愛していても
手放す事になったかなど、明確になりました。
冒頭のサマーオブラブがいかにして起きたか、
レントンの父が何故エウレカを置いて
身を投じなければならなかったか、などは
まだイマイチピンとこなかった。
戦闘シーンやその時の状況説明はいっぱい
美しく描かれていましたけどね。

どちらかというとレントンの14歳の現実が
主題だったようです。

小ねこいわく、ネットでは不評の映画のようです。
要求する部分が異なればそうかもしれない。
でも、一人少年が家族を失い
その父が偉大であればあるほど所在なくなり
愛を求めて彷徨う話であると思えば
結構良くできていました。
養父やエウレカから人としての道を学ぶ
成長物語としては上質でした。
posted by 大ねこ at 16:27| Comment(0) | 音楽・映画・芝居などの鑑賞 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年09月19日

小林信彦 萩本欽一「ふたりの笑タイム 名喜劇人たちの横顔・素顔・舞台裏」(集英社文庫)

欽ちゃんが、とても素直に小林信彦さんに私淑。
コント55号時代のアドリブの話などは
小林さんもノリノリで聞いている。
私は子供時代に55号好きじゃなかった。
欽ちゃん自身も多才でプロデュース能力の高い点は
評価していますが、好き嫌いで言えば
好きじゃなかった。
そのほかの、渥美さんや森繁さん、のり平さんなどは
以前読んだ小林さんの著書で知ってる。
クレージーキャッツやエノケンの事も
今まで読んだ範疇。
なので目新しさはなかった。
欽ちゃんの聞き上手さで読み切りました。
にしても、小林さんの記憶の良さは健在。
まだまだ長生きして芸能に携わってほしいです。
おそらく芸能人はいっぱいいるけど
喜劇人はいなくなったと感じておられる。
素人の私でもそう思う。
上手い歌い手はいても歌姫や本物のミュージシャンは
いなくなったのと同じ。
posted by 大ねこ at 21:34| Comment(0) | 読書の記録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年09月16日

紀伊国屋サザンシアター こまつ座 「円生と志ん生」

敢えて旧字体、
圓生と志ん生。
プロローグで圓生と志ん生の落語風物語紹介。
満州に渡って酒と飯食い放題で給金貰える、
国策に乗って行ったはいいが
大連で敗戦、ソ連軍侵攻。
帰国出来ない状態。
密航船はバカ高い。
宿も追い出されソ連軍相手の遊郭に下宿。
そこでソ連軍側の戦犯扱いとなり
命からがら逃げ出し、野宿からの
浮浪者状態へ。
そんな生活でも噺ネタの練り上げは忘れない二人。
いつか必ず生きて帰国して
言葉の通じる客相手に噺をしたい。
その夢実現の為、圓生が提案する裏技が、
期間限定結婚。
大連に住む日本人女性は
ほぼシベリアに強制送りされた男たちを
失い、非常に心細くなっている。
だから帰国できるまでの期間限定結婚。
圓生も志ん生も既婚者。
この目論見は上手く行くか、までが第一部。

圓生が真面目でゆったり、実社会でも
十分対応できる人柄。
しかし噺に融通がない。
志ん生は賭事飲み事大好き。生活破綻系。
しかし噺は融通無碍、愉快。
先輩の志ん生が圓生に頼りつつ
噺の師匠&先輩として二人三脚の
戦後の悲惨な外国旅。

第二部は、期間限定結婚に成功した圓生と
密航さえ詐欺に遭って磊落している志ん生。
キリストに見紛うスタイルで修道院で寄宿の件は
同様に修道院で過ごした井上さん自身の事実が
反映されていると見ました。
やっと1947年に引き揚げ船が到着。
圓生は結婚相手との交渉があって同乗せず。
単身帰国の途につくところで幕。

言葉の力を信じた井上さんの
面目躍如のドラマでした。
ラサール石井さんが思っていた以上に良く、
志ん生はきっと本当に
どんな困難な時も冗談言って
ナメクジウジムシのごとくしたたかに
生き延びていらしたんだろうと
目頭熱くなりながら熱演拝見しました。

二枚舌や似非救世主や戦争賛美者や寝返り者が
横行する時代に
笑顔でまっとうに生きることが
何と大変な事か。
しかし、やはり近くに信頼できる人間の
いる事がとても大事な事も
このドラマには含まれていました。

女性4人の演じ分けも素晴らしく
いい舞台でした。真っ直ぐに感動しました。
ああ、また落語行きたくなった。
posted by 大ねこ at 20:52| Comment(0) | 音楽・映画・芝居などの鑑賞 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする