2017年03月22日

松田哲夫「縁もたけなわ」(小学館)

ブックオフで安く売られていました。
素晴らしい本でした。
松田さんは「王様のブランチ」で知った方です。
彼の勧める本は結構気になっていました。
天童荒太さんなどここで知りましたし
ちくま文庫は好きな文庫ですから
松田さんの存在も好きでした。
優しい語り口で、好きな本をグイグイ推す、
素敵な編集者だと認識していました。
いつの間にか降板されて残念でした。

この本は松田さんが出逢った素敵な人々の点描。
さすが編集者という人選から
テレビ出演による出逢いも多く
多種多彩なラインナップでした。
私は後半のテレビ関係ニューフェイス群より
前半の歴史残りそうな濃い人々に心惹かれます。
例えば水木しげるさん。
ガロ編集者の長井勝一さん。
つげ義春さん。
松田さんはガロ編集にも携わっていたんです。
安野光雅さんには中学時代美術を教わっていたとか。
鶴見俊輔さんや野坂昭如さん、井上ひさしさんと来たら
惚れ惚れするラインナップではありませんか。
埴谷雄高さんは結構普通のいいおじさんとか、
ほぼほぼトリビアの範疇の話題もあり。
小林信彦さんは井上ひさしさんと仲が良くなかった
とかは、ヘェ〜ですね。
天野祐吉さん、和田誠さん、嵐山光三郎さんとは
もう完全に私トク。
万城目さんもいます。天童荒太さんは3回分です。
イラスト似顔絵の南伸坊さんは長いお付き合いのようで
これもラスト3回分です。

人脈の広さももちろん、松田さんの博覧強記ぶりや
前向きに学ぶ姿勢、編集者の仕事の様子も
垣間見えてそこも面白かったですね。
私、教師やってなかったら、憧れの職業の一つが
実は編集者だったんです。
やってみたかったな。
生まれ変わったらやりたいな。
そんな夢を見せてくれる本でした。
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2017年03月19日

映画「SING」

主人公のムーンはコアラ、内村光良。
ブタのロジータが坂本真綾。
相方のグンターが斉藤司。
ネズミのマイクに山寺宏一。
ヤマアラシのアッシュに長澤まさみ。
ゴリラのジョニーにスキマスイッチの大橋卓哉。
ゾウのミーナに歌姫ディーバ、MISIA。
ヒツジの孫のエディが宮野真守。
ヒツジのばあちゃんナナ元ディーバが大地真央。
トカゲのクローリーが田中真弓。

いやいやうまかった。
みんなうまかった。
ユニバーサル頑張った。
子供にも大人にも耐え得るエンターテイメントを
見事に作りました。
続編ももう予定されているようです。

ストーリーはシンプルです。
様々な人生が折り重なって混ざり合う。
ムーンは劇場支配人だけど無能。
借金だらけでヒットなし。
最後に賭けた歌コンテストも自分のアイデア、
イカのライティングに失敗して劇場自体破壊。
ロジータは25匹の子供たちに翻弄されて
このまま人生を終わらせると感じていた中、
コンテストに応募してみる。
マイクは嘘つきネズミ。
金が欲しくて他人を蹴落とすことも。
その心は本当は音楽好きの小心者。
ジョニーは父親がギャング。
自分のせいで父親が逮捕される。
そのトラウマが彼を傷心に導くけど
最後に認められることで解放される。
ミーナは臆病で自分を出せない。
歌だけは最高。
劇場の裏方で働き、ムーンの信頼を得て
最後は最高の歌を聞かす。
エディはどら息子だけど劇場の裏方で実力発揮。
ムーンの生き様に徐々に共感していく。
ナナは厳しいけれど、本物を見抜く。
クローリーは長年この劇場に仕える年寄り。
どの人もいそう。
そうしたそれぞれの人生が「あるあるネタ」で
共感するところです。

あとはもちろん、歌がいい。
サントラ欲しいと思ったけど
なんと真綾さんとMISIAは入ってない。
ギャラの関係か会社の関係でしょうな。
久しぶりにスッキリした楽しい映画です。
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2017年03月14日

小林信彦「アイドル女優に乾杯」(文春文庫)

2013年週刊文春に掲載されたエッセイ集。
本音を申せばシリーズの10巻目。
小林さんの韜晦的文章は大好きです。
しかし、内容で「分かる!」と膝を打てるのは
真木よう子の良さ絶賛(「さよなら渓谷」など)と
ヒッチコックのくだりと、スティーブン・キング位。
「あまちゃん」はあれだけ流行ったけど
全く見てないです。小林さんはクドカン絶賛。
そこは同感しますが、モノを見てないから
何も言えないです。
洋画の小林さんお気に入り女優は
名前くらいは分かっても、見てないからなぁ〜。
小林さんの映画通は半端ないですから。
小林節に酔って気持ちよくなったという
あたりで感想は勘弁していただきますね。
posted by 大ねこ at 21:43| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書の記録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年03月10日

三三・左龍二人会 内幸町ホール

内幸町ホール、定例の三三・左龍の二人会。
成績無理やり終わらせて
駆け付けました、遠目の新橋。
静かな佇まいのこのホールは
ハイソ感満載。
そういえば、帝国ホテルで近日
小三治師匠と三三師匠2人で
食事付きとはいえ1人23000円の
落語会があると、三三師匠ホームページで
拝見。ムムム。
ドレス買わなきゃいけない。
だから行きません。(正しくは行かれない)

その点今日はハイソ感あってもお気楽。

2人の口上から始まり、前座は柳家こはぜ。
「転失気」

三三、「アナ雪」のアナの能天気さを
コキ下ろしてのマクラ、弾けてて好きです。
三三さんはアナが嫌いな女代表。
もっと話したそうでしたけど、さらりと「短命」へ。
好きだな、この噺。
ただマクラ喋りすぎたらしくて
後半端折られました。

左龍「宗論」
三三さんが戻った瞬間に延びてごめん、
みたいなことを言ったそうで、
即噺に入りました。
浄土真宗のお店のご主人と
キリスト教かぶれの息子の
ダジャレ満載の笑える噺でした。
サゲは、番頭さんの「じゃあこの壺買って」
とは、なかなかに確信をついていました。
この方も表情で語りますね。

中入り

左龍「犬の目」
新作なのかな、目医者舞台で目を出して
洗うというなんともシュールなお笑い。
最後は犬の目を入れる。ウヒャヒャ。
でも、左龍のあの風貌で語られると
なんとも可笑しい。嫌いじゃない。

三三「棒鱈」
たくさん登場人物出てる噺で、しかも
薩摩言葉と江戸っ子の対比もあるから
簡単そうに見えて、難しい噺なんだろうと
素人にも分かります。
巧みですね〜。相変わらず。
ただ、サゲの「コショウが入りました」は
スッキリしないです。
そういう噺だからしょうがないんでしょうけど。

でもいいや。気持ちよく聞けた。
もうこの会、85回目なんですって。
二つ目からなんですね。
いいな、切磋琢磨の会なんでしょうね。

ウソつきだらけの森友問題で
ニュース見るのも辟易しています。
今日は保護者会でもありました。
こちらは和気藹々でしたけどね。
疲れた心に落語は染み入ります。
明日は震災から6年目。
オリンピックやら盛り土で騒いでいていいんでしょうかね。
笑った後、また少し
考えなくちゃです。
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2017年03月07日

万城目学「悟浄出立」(新潮文庫)

題名からの印象で
いつものおふざけが入って、と
思いきや、大真面目!
万城目さん、すごい実力だと感心。
かつての武田泰淳さんばりじゃないですか。
好きで、良かった。うまい。

中国の名作の一部を自分流に好き勝手に
料理して思い切り想像の翼を広げて
思わず読み手に「わあ!」と言わせるような
仕掛けで、短編ながら読み応えばっちりでした。

悟浄出立
孫悟空の脇で、猪八戒より目立たず
ああ、いたなという存在の彼を
主人公に配したところがまず素晴らしい。
何か悟り、自分も仲間もそこにいることに
気づく瞬間に味わいあり。
趙雲西航
これも関羽,張飛,諸葛亮に比べ
英雄ながら劉邦に愛されていないと
思う彼の迷いがどうにも人間臭くて良かった。
虞姫寂静
項羽に愛された虞は愛されるがままに
アイデンティティを失っていく。
しかし項羽が死を決意し彼女は
生かそうと情けをかけるが
そこで彼女は、自分が単に項羽のかつて愛した
女の身がわりだと知り
反逆をする。
ああ、女が女に戻る瞬間はなかなかに怖い。
でもこれも好きな小説^_^
法家孤憤
史記の刺客列伝中の荊軻の話から。
荊軻と読みの同じ京科の話。
同名だけでなく、運命のいたずらで荊軻の代わりに
官吏となった偶然も重なり
これも自分のアイデンティティとの闘いに陥る
結構重い話。
最後が
父司馬遷
あれですね、中国にあった去勢。
李陵との関係で無実の罪を着せられ
宮刑にあった司馬遷。
娘の父への思いがあって
今も残る史記が世に出たっていう想像。

小説、まさに小説。
今更中島敦読もうかとついつい思いました。
若者に学ばされました。

万城目さん頑張れ。期待しています。
伊坂さんより実は小説としては好きです。
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2017年03月04日

三三、たい平、花緑三人会

リリアメインホール、地元。

わん丈 前と同じ「がまの油 現代版」

お目当三三は何度も聴いた学校寄席揶揄いネタの
マクラから、これまた何度も聴いた「元犬」
楽しいけど、あ、またこれか
と思いました。多分トップバッターっていう
掴み役の時演るんでしょうね。
サゲは「やっとおっかさんに会えた」でした。

次の林家たい平。
先日の小遊三、昇太のイマイチイメージが強く
まあ、笑点メンバーだしな、くらいで
期待はしていませんでした。
テレビでのマラソンの件も一種売名、
さもなくば林家の名を売るためでは、と
穿った見方さえしていました。
笑顔は爽やかなイケメンキャラで決して
嫌いではなかったですが、林家だしな、と
高を括っていました。
ごめんなさい!
めちゃくちゃ面白かったです!
マクラはほんのすこしだけ。
昨今の北朝鮮騒ぎや豊洲移転、
さらに森友学園問題にさらりと触れて
「今日はそんな政治家達に聴かせたい噺を」
と言って始めたのが「井戸の茶碗」
聴いてみたかった演目でした。
実に爽やかに、侍と間を取り持つ屑屋の
誰1人悪党のいない正義の噺を
嫌味なく聞かせてくれました。
早口でしたけど、聞き取りやすい良い声で
滑舌も良く、聴き終わって「ああ、スッキリ!」
という気持ちになりました。
勉強してますね。
真剣な気持ちの良い高座でした。

中入り後に二楽さん紙切り。
桃太郎、ゆりの花、
たい平さんと東京マラソンする注文者、
稀勢の里の土俵入り。
難しい注文をみごときり上げました。
プロ!

トリは花緑。
これまた聴き終わって、鳥肌!
落語後にこんな思いしたのは初めてです。
「中村仲蔵」、志の輔で寝ちゃったやつ、
時間の都合上、さらに落語素人さん向けに
だいぶはしょり、あらすじ説明部分も多かったですが、
その説明も面白かった。
残り10分で、仲蔵が定九郎しくじったと思い込み
都落ちしようとして妻に別れを告げ、
師匠に呼び出され実は大成功だと知り、
妻とサゲまでの会話がメインでしたけど、
その妻の描写が絶品でした。
素晴らしい人情味が表れていました。
「お前にはまだ弁当幕だ」
の仲蔵の一言が胸に沁みました。

以前「試し酒」で、その実力は分かっていたけど
とんでもなく上手くなってしまった。
じいちゃんの血、以上に努力とか修練とか
そんなものを感じました。
今日は三三が完全に霞みました。
これはたい平さんも花緑さんも独演会行くしかないです。

今日は成績付け最中で、
また世情も嘘が渦巻き、いろいろウンザリな中
聴いて良かった。こんな満足感もらえて
超ハッピーです。
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2017年03月02日

青羽悠「星に願いを、そして手を。」(集英社)

王様のブランチで紹介していて
可愛い高校生16歳が書いた本、しかも
ご本人も可愛い。買っちゃいました。

16歳らしいか、意外と大人っぽいか、
どうかなと期待しながら読みました。

うーーーーん。
悪くないです。
でも詰めは甘いし、経験値不足による
若書き感は否めないし、
せっかくの館長・細山・乃 々の人間関係の
クライマックスの書き込みが浅く、
全体に伊坂調がきつい上、
大人になった主人公たちの生活感が希薄。

一つ一つのエピソードや真っ直ぐに生きる
姿には好感が持てました。
でも底は浅い。
高校生以下が読むにはいいでしょう。

しかし、おばさんが読むには
少々期待外れでありました。

夢は叶うものでもなく待つものでもなく、
見果てぬ夢として一生抱えていくものでした。
今はそのように思います。

小ねこの彼氏は先ほどご帰宅。
5日間我が家の住人となり
料理も作ってくれて中ねこもお気に入りです。
うまくいくといいな。

ムッシュかまやつさん亡くなりましたね。
また一時代が終わった感がありました。
posted by 大ねこ at 22:29| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書の記録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年02月26日

矢野誠一「落語と歩く 鑑賞三十一話」(河出文庫)

昔気質の江戸っ子、落語に造詣の深い
矢野さんは文体も江戸っ子で
昭和の40年代に既に東京が江戸から
遠く離れていることを嘆いています。

私は斉藤和義さん大好きですが
その歌の中でも「メトロに乗って」は
お気に入りです。
あの歌を口ずさんで東京大ねこ散歩するのが
仕事引退後の夢の一つです。
1日乗車券買ってメトロ巡り、いいな。
こういう本を読むとより行ってみたくなります。

噺は目黒のサンマから始まり明烏で終わります。
らくだは、下落合辺りとか、
文七元結は、浅草吾妻橋、
長屋の花見は、何と王子飛鳥山だった。
もちろん大門吉原は定番中の定番。
知っている地名、行ったことある場所もたくさん。
今は余り演られていないであろう噺も掲載。
「お若伊之助」(根岸)「わら人形」(北千住)
「孝行糖」(後楽園)「鍬潟」(旧両国国技館)
知らないです。
演られていたらすみません。にわか愛聴者なので。

間も無く三月。
今日から小ねこの彼氏が京都から来ます。
私は成績との闘いが本格化します。
その後に来る春の訪れを
楽しみにもう一頑張りします。
posted by 大ねこ at 18:49| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書の記録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年02月25日

映画 「ララ・ランド」

ララ・ランド、という題名だったし
ミュージカル映画という鳴り物入り
だったし、そりゃあフレッド・アステアや
ジーン・ケリーの再来をどうしても
期待するちゅうもんです。
残念ながら、その期待は外れました 。
ジャズの音楽が満ちた映画、とでも
しておいてくれれば、とても良い映画でした。

出会った男女が、それぞれの夢を見つつ
互いを愛し尊重するも
現実問題やちょっとした行き違いで
最後は離れる運命という
わかりやすいストーリーで
観る側を疲れさせません。
男セブはジャズピアニスト。
女ミアは女優。
それぞれ成功します。
ただ一緒にはならない。

まあ、ストーリーもそれでいいでしょう。
不満が残る訳は
これはミュージカル映画ではない、からです。
特に最初のシーンは圧巻で
ウエストサイドなどのオープニングに
勝るとも劣らない現代的な良い切り口の
見事なものでした。
しかし、それ以降は、
駐車場でのタップダンスと
プラネタリウムでの恋のダンスくらいで
ラストの回想シーンにはせめて
ダンスや歌をぶっ込んで欲しかった。
ジャズの音楽は随所に出てきます。
主演の男性も哀愁のあるピアノが上手です。
いっそ「カサブランカ」の再来で
行ってしまったら良かったのでは、と思います。
映画の中にも、「あの窓がカサブランカの」
というようなセリフありましたしね。
これをMGMミュージカル映画に模した
プロモーションのミスではとも思います。
ポスターも、いかにもMGMですし
それを期待すると裏切られるという形です。

ただし映画そのものは悪くないです。
ただもっとハッピーエンドで良かったのでは
とは思っています。
でもアカデミー最有力とのことですが、
それはちょっとうがち過ぎな気も。
posted by 大ねこ at 18:21| Comment(0) | TrackBack(0) | 音楽・映画・芝居などの鑑賞 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年02月22日

能町みね子「オカマだけどOLやってます。完全版」(文春文庫)

能町さん大好きでーす。
久保みねヒャダ、結構見ています。
ライブにも行ったしね。

この本は、まだ手術前に
格好は女になって、会社の人も男だと
知らず知らせずにOLやってた頃の
blog上の書き込みをキチンと仕上げた本。
チン子が邪魔で、すごく男が好きな訳でもない。
ただ男性でいることが嫌だった時代。
オカマという蔑称をあえて使う感覚は
マツコさんと同じ。

人として両者ともに非常にまっとう。
能町さんに至っては東大ですから
インテリでもあります。
ここでは笑い話として軽く書かれているけど
実際は、多く悩まれたとお察しします。
性同一性障害という病名も好きじゃない。
わかります。
ただ病名がついた方が便利なことも多いんでしょう。
みんな違ってみんないいんですね。
そういう受け入れを今後もしっかりしていきたい。
こういう人たちがカミングアウトして
自分を卑下してメッセージを送ることに
強く共感していきたいと思います。


先日東京都北部で起きた連続放火事件の
犠牲者が、うちのクラスのお子さんの家でした。
命は無事で、本当に良かった。
しかし憤りは止まりません。
早く逮捕して欲しいです。
金某氏の殺人事件もずっと世を賑わせていますが、
わかりきった肉親同士の骨肉の争い、
前時代的な世襲のテーマに
違和感と愚かさを感じる日々です。
posted by 大ねこ at 21:23| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書の記録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする