2018年03月11日

「シャンハイムーン」世田谷パブリックシアター

野村萬斎主演、世田谷パブリックシアター。
萬斎さんとここは繋がりも濃いようで
よく出演されている気がします。
残念ながら、私には遠い街で
大決心しないと来ないところだな。
そもそも渋谷経由っていうところで
二の足を踏みます。げー、渋谷かあ〜。
世田谷そのものは好きなほう。
三茶ももう少し散策したいところ、
なんだけど、経由地渋谷にひくんです。

萬斎さんが魯迅、広末涼子さんが妻、
蒋介石率いる国民党に追われ身を隠しているのが
神田神保町に現在はある内山書店。
その店主がこまつ座の顔、辻萬長さん。
人の良い、身を粉にして来た店主を好演。
その奥様にこれもこまつ座でよく見る鷲尾真知子さん。
緩慢なる自殺を試みんと医師にもかからない
贖罪意識いっぱいの魯迅に
主治医を名乗り親身に働く医師に山崎一さん。
歯科医に土屋佑壱さん。

魯迅の逃亡一か月を支えたのは全て日本人。
時は34年、日本人居留地上海での出来事。
身分差が大きく、日本人が大きな顔をしていた時代。
国籍も人種も言葉の壁も越えて
私達が繋がる方法は、ある。
助けたい人がいれば助けたい。
そんな当たり前のことを3時間かけて
たくさん言葉を費やして教えてくれました。

野村萬斎さんの骨から筋肉から声帯から
全て使う声の良さに魅了されました。
でも私のベストアクターは、やはり辻さん。
安心感が違う。
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2018年03月07日

森まゆみ「昭和ジュークボックス」(ちくま文庫)

私より5歳上のお姉さん。
森さんは、
谷根千の提唱者で地域掘り起こし人間だと
思っています。
それ以上に、本書を読むと
お父さんが町医者の歯医者さん。
お母さんがフランス大好きなアプレゲール。
お父さんもお祖父さんも写真が趣味で
懐かしいセピア色の写真が
本書にたくさん掲載されています。
テーマは自分と音楽。
シャンソンやカンツオーネも大音量で
歌い上げる方で、楽しい。
カラオケのはしりの体験者。

どの曲もよくわかる。
さすがに流しのギターで歌った時代ではないけど
スナックにあるカラオケ機械で
見知らぬ人の前で歌ったことはあります。
歌がその時代その時の鏡だったり
ノスタルジーだったりするのもよくわかる。
私もカラオケでは70年代縛りとか
やらかすため、小ねこもやたら懐メロに詳しい。

私の音楽史は
おじちゃん達が聞いていたヴァケーションなどの
アメリカンポップスからザ.ピーナッツ、中尾ミエが
始まり。その後フォークソングやビートルズ、
グループサウンズが否が応でも入って、
小6でラジオデビュー、
陽水、ユーミン、みゆきさんにノックアウト。
中学時代は百恵さんかな。あと夜のヒットスタジオ。
高校はロック。パープルにツェッペリンからの諸々。
サザンにも出逢った。テクノ。YMO。
大学でウオークマンゲット。そんな青春時代でした。

誰しも語れる音楽史。
私も描きたくなりました。
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2018年03月02日

気になる三人会 きゅりあん大ホール

気になる三人会。
きゅりあん大ホール、1000人入るらしい。

柳家桂花 圭花だっけ、花緑の弟子。
狸の茶釜の噺
なかなかうまかったです。

喬太郎 花筏
マクラから相変わらずトゲがあって
私は大好き。
相撲取りのフリをする提灯屋と
町中の腕っぷしの強い地元若者の負け合う
笑い噺。

中入り

白酒 松曳き。
これは初めて聞きました。
バカ殿とバカ老中に植木職人が絡む
バカ噺。
大真面目に語れば語るほど笑える。
いいですね。押し出しの良い白酒だからこそ
大真面目が笑える。

花緑 愛宕山。
体当たり演技凄まじかった。
若い。若いから出来る芸を
極めましたっていう感じ。
でもでも、ごめんなさい。
睡眠不足祟ってたんだと思う、
初めて落語で睡魔に誘われました。
彼が頑張るほどにウツラウツラ。
まあ、噺が好きじゃない系っていうのも。

三月に入り身辺がバタバタ。
私自身は風邪ひいて声が掠れ酷い以外は
大丈夫ですが、周囲の人事異動情報が
例年になく予想外的動きがある。
ラインやらメールが
正月にはボソリともないのに
ここのところ多い多い。
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2018年02月28日

草野心平「酒味酒菜」(中公文庫)

一月は行く。二月は逃げる。
とはよく言ったものです。
もう三月。
今年間最高の忙しさの中で生きています。
年度末の片付けやまとめ、
新年度の計画、学年じまいの準備等々。

そんな中でほっこりする本書はオススメ。
さりげない本で常識をちょっと覆す事柄が
たくさん書いてあります。

旅に出る時の必需品は、お茶。
宿屋のドクドク淹れられる
お茶の不味さが嫌なんですって。
イカの塩辛作りはワタのみ。
イカの身を入れると保存が効かないんですって。
料理はオモチャいじりと似てるとのこと。
花びらを味わったり
焼き鳥屋を営業して豚のモツを焼いたり、
「火の車」という飲み屋を新宿で営業したり、
貧乏を味わった詩人は
もののうまさをよく知っているんだと再認識。

賢治や中也と同人誌を作った人で、
蛙詩人で、檀一雄や開口健や椎名誠、
ヘミングウェイに通じる野性味ある料理人。
酒に溺れ失態だらけのくだりも
笑えるし、往年の文人。

好きな詩人。
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2018年02月24日

リリア寄席 三人会

志らく、市馬、さん喬の寄席でしたが、
なんと市馬師匠がインフルエンザで休演!
えーーー。
代演が兼好師匠ということで
とりあえずええ声同士っつーことで納得。

前座桃月庵ひしもち「牛ほめ」
まだまだ硬い。
前座噺っていうけど、この噺って
結構難しいと思います。

志らく「親子酒」
禁酒を破って飲み出す親父が
徐々に態度が変わる様子を
時事評や暴露ネタで振ってくるあたり
大爆笑でしょう。うまいなあ。
声までだんだん談志に似てきてません?
語り口もなんだか談志風です。

林家あずみ 三味線漫談
たい平師匠の弟子。
中島みゆきのモノマネなかなかよかった。

兼好、マクラからドッカン笑いゲット。
しばらくご無沙汰のうちにキレがよくなり
テンポは前のまま、私好みです。
また兼好師匠独演会、行ってみたいな。
喬太郎師匠達との落語教育委員会も行きたいけど
なかなか場所と日にちが合わず
遠のいていましたが、
また行きたくなりましたね。

中入り
大神樂翁家勝丸

さん喬はお正月にも聴いた「妾馬」。
いやあ、絶品。
大笑いしながらポロポロ泣いていました。
師匠の福顔が破顔するその表情に
全ての思いが入り、言葉一つ一つに
登場人物の思いが入り、
その全てが私の心に入るのです。
さん喬師匠、最高!


そして今日さっき
平昌オリンピックでカーリング女子
銅メダル受賞。よかった。
そだねー、は今年のハッピーワード。
もぐもぐタイム、は私もおやつで使おう。
美しい女の子が美しい表情で
美しい競技または演技をして
美しい日本語を喋る姿は美しい。
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2018年02月20日

浅田次郎「ブラックオアホワイト」(新潮文庫)

エリートかつ出自の良い主人公が
商社マンとして活躍していたバブル時代、
黒い枕だと悪夢、白い枕だとハッピードリーム
を見るストーリー。
最初の頃は完全に夢なんだけど
徐々に虚実皮膜、どれが本当だ?となり
その頃残念ながら、私は飽きていました。

浅田作品としてはあまり好きではない。
設定的に商社マンというのがまず引きます。
浅田さん特有の外国観や戦争観、
ハードな現実と夢想世界の取り合わせやエピソードは
それぞれ楽しいですが、もろに夢を利用しているのが
苦手だったのかもしれません。
陥れたりいれられたりの行動様式も苦手。
解説によれば週間新潮掲載だったらしいので
読み手ターゲットはおじさまですから
いたしかたないんでしょう。

過去を美化したい中年からリタイアあたりの
男性陣には面白いのでしょう。

以上です。

ところで平昌オリンピック、
羽生結弦さん、すてきでした。
小平さん、かっこ良かった。
基本的に興味はないのに
純粋に頑張る人が結果を導き出す様子は
惚れるし、つい見ちゃいます。
パシュート?バシュート?
あの3人一組で滑るスケート、華麗で素晴らしい。
葛西さんは残念でした。
永遠にジャンプしてほしいです。
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2018年02月16日

柳家三三月例会 イイノホール

三三独演会 イイノホール月例会。
開口一番は「高砂や」。
市馬師匠のが面白かったし
声が良すぎたせいで印象が濃いんです。
三三もよかった。
市馬師匠より軽妙。
でも大工の主人公だから
これでいいと思います。

続けて「幇間腹」。
若旦那の道楽、鍼の実験台にされた
選ばれた幇間の一八。
いやいや付き合う一八の幇間らしさが
出ていました。
ただ、そんな大した噺ではないですね。
演技力は必要な噺ですよ。

中入り。

正太郎の「四段目」。
いい声だけど歌舞伎の真似のところは
睡魔に勝てなかった。

三三、「品川心中」。
うーむ。うまかった。三三だから聴けた。
ストーリー展開や人物造形がしっかりしていて
ああそういう噺なんだとよく理解できました。
初めて聴いたのです、実は。
でも、噺自体が好きじゃない。
だっていくら苦労しているかは知らないけど
トウのたったお女郎が金なくて将来の展望がなくて
適当に心中する相手を選んで
結局金ヅル出てきたから死ぬのヤーメタって
最悪ですよね。
おまけに選ばれた相手を突き落としておいてって。
おまけにその男も情けなさの極み君で。
噺として好きじゃない。
やな感じ。

今回のは三三の追っ掛けとしては
会えて聴けてよかった、でも
噺はどれもお気に入りができなかった、
ということですね。
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2018年02月12日

中村文則「去年の冬、君と別れ」(幻冬舎文庫)

今日は小ねこの1日遅れお誕生会。
雅叙園のバイキングでランチです。
わざわざ南北線はるか遠くの目黒駅まで。
それはそれは高級感あふれる場所で
ランチもどれも美味しく、満足でした。
にしても、目黒駅前は田端駅風、
アトレ以外商店街らしきものもなくて
中継地的便利だけど味わいは少ない場所かなぁ。
まあ雅叙園があってホリプロがあるからな。
都会ですよ。
ついでに寄ったのはアトレのニトリ。
時計激安で壁掛けと目覚まし両方買いました。

その行き帰りに読み終えたんですが
まあ後味悪いこと。
映画化して話題ですが
伏線につぐ伏線で衒学的に読み手を惑わし
犯人と思われる写真家が実は無実で
その事件の顛末や写真家の人生をルポするライターが
二人いて、
その片方が実はーーという手の込んだ話。
猟奇性満載、妖しさ満載、
けれど献辞兼物語エピローグの重要な要素の
イニシャルが「この本全体がフィクションで仮名だから」
という物語内の理屈で意味不明の本名イニシャルって
これはいただけません。
勝手な理屈だなあ。
散散読み手を翻弄しておいて
本名は違うのよ、知らなかった?と
気付けない読者を小馬鹿にされたようで
後味悪いっていうわけです。

話そのものは、グイグイ引き込まれます。
けれど結局私小説っぽいんだよね。
伊坂さんの伏線は気持ち良いのに
なんかちょっとな、ってなります。

映画は違う展開らしいですが
あまり興味はもてません。
もう一作作者の作品を買ったので
そこで私なりの評価を決定したいと思います。
前に読んだ本もうまいけど確か
好きになれずに終わってしまったはず。
才能は買いますが、好みではない
というあたりでしょうか。
posted by 大ねこ at 19:56| Comment(0) | 読書の記録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年02月11日

映画 羊の木

久々に家族3人で浦和に出向き
互いに見たい!と思った映画を観ました。

パルコ内にある新宿中村屋の夕食。
やはり老舗の味は上品で美味しく
間違いがない。

その後パルコ内のユナイテッドシネマにて鑑賞。

吉田大八さんの絵の撮り方は
昔の映画のようで安心、というか
懐かしい回し方で好感が持てます。
前科者を受け入れて過疎化する町の活性化、
というこの大前提がなかなか無理やりな
気もしましたけど、なくはないかと納得させ
観ていくうちにグイグイ引き込まれます。
前科者たちのそれぞれの更生、あるいは様子伺いの
日々が人間としての狭い先入観に
喝を入れてくれる気もしました。
主人公の市役所役人の月末一が
純朴で淡々としているのも
まあ役人ならあるか、と感じるものの
扮する錦戸亮さんの演技力が
もう少しあれば、受け入れる気持ちと
恐れからくる受け入れがたい気持ちの両面が
深く表せたのでは、と惜しまれます。

松田龍平さん演じる前科者の表現は
素晴らしい。この映画の魅力のほとんどは
彼の狂気と深い哀しみに溢れた
演技に寄っていたと思います。
お父さんを超えましたよ。

だからこそエンディングの町のシンボルと
龍平さん錦戸さんのシーンはなくていい。
あれは蛇足。
マンガ原作だからって、あまりにマンガ的。
あのシーンはシンボルの首がーーで
暗転して欲しかった。
伏線は確かに張っていましたが、
だからこそ不要なシーンだと思う。
二人の彼女だった木村文乃に
二人のどちらかの名前を呼ばせて
ラストシーンにいけばよかった。

前科者の一人を追う恨みを持った男が
先年末に亡くなった深水三章さんですが
彼は私の遠縁にあたります。
キッドブラザーズ時代から見ていました。
彼らしい死に方で亡くなったんですが、
まさかこの遺作映画で殺され役だったとは、
まさに神のようなものがあるかと。
ちょっとこの映画だけに
暗示のようなものさえ感じました。
良い演技で納得です。
合掌。

最後に、
エンドロールの出し方が斬新でとてもよかった。
夕日のメタファーです。
沈むもの、しかし美しい。
沈む、しかしまた明日昇る。
こういうのが映画。
映画館で見なきゃダメです。

点数的には80点。
映画らしさの点では90点。
主演ありきの企画だとは思うけど、
主演が違ったらずいぶん変わりますね。
例えば妻夫木聡さんだったらーー。

いやいや、失言はここまで。
楽しかったです。
posted by 大ねこ at 01:20| Comment(0) | 音楽・映画・芝居などの鑑賞 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年02月10日

北村薫「太宰治の辞書」(創元推理文庫)

落語家円紫さんと私シリーズの
とりあえず最終章か。
落語家、太宰治、というところで
惹かれて久々の北村薫さんです。

私、は結婚して野球少年の母になり
みさき書房という出版社に勤める編集者に
なっていました。
芥川の舞踏会に出てくるピエールロチの
「お菊さん」を芥川は「お菊夫人」と表記、
その謎を追って様々な諸本にあたり
様々な人に出会う。
そこでロココ、の言葉に引っかかり
太宰治の「女生徒」の料理がロココ風につながる。
ロココを辞書で調べたら独特な解説が本文にある。
そもそもこの「女生徒」は彼のファンが送ってきた
日記を換骨奪胎したもの。
その日記には辞書のことがない、としたら
その辞書は太宰治の所有物であろうということで
探索が始まるわけです。
ロココ風といえば、次は三島な訳で
全く私が大学時代にどハマりした系譜そのまま。
そのあたりの文献を丁寧に探っていく経過は
さながら本の探偵という様相で
自分もかつて卒論の頃していたような
探っては次の謎、探っては闇の中、
数珠繋ぎの連鎖で諦めるまで終わりがない
面白くも答えのない探索を「私」がしてくれるのです。
そりゃあ面白かった。
円紫さんはほんのちょっとだけ出て来ます。
真打で売れっ子になっていました。
鈴本のトリに出てる設定が今の私とまたかぶる。

とまあ、内容的には事件が起きるわけではないし
小説好きでなければ何も面白くない展開。
私は、久しぶりに小説探訪という視点で堪能しました。

太宰治の「生まれてすみません」が
彼のオリジナルではないどころか
その作者寺内寿太郎という無名の詩人が
悔しがっていた事実も併せながら
決して太宰治の行動を否定せず
作家の性だと認めつつ寺内を大切にする
文章を書いています。
そうした北村薫さんの否定せず肯定せずの
ほんのり柔らかい文体が
読むものに心地よさを与えます。
私、という一人称を用いながらも
極めて客観性を保つ抑制の効いた文章、
手練れだなあと感心して
気持ちよく読み終えました。
posted by 大ねこ at 18:20| Comment(0) | 読書の記録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする